不正な使用事例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/27 05:29 UTC 版)
山口県議会が定めた、政務調査費の使途の基準が、住民への食事の提供を認める内容となっていたことが判明し、公職選挙法に抵触する恐れがあるとして、物議を醸している。 2014年6月〜7月に神戸新聞が兵庫県議会の野々村竜太郎議員の不正利用をスクープしたが、その議員の記者会見が大声で泣き喚きながら出費の正当性を訴えるという異常な光景であったこともあいまって、同ニュースが日本全国はもとより世界中に伝播した。後にこれがきっかけとなり、同県のみならずその他の都道府県の複数の県議の不正利用疑惑が浮上するなど、地方議会全体を揺るがす出来事となった。なお、会見後に辞職したこの元議員は、取り調べで自らの選挙活動に調査費の一部を回す目的での不正利用を認め、翌2015年1月19日付で、正式に書類送検が決定したと報じられた。詳細は「兵庫県議会#政務活動費不正使用問題」を参照 岡山市においても、政務調査費の一部が不正支出であったとして、岡山市長の大森雅夫に対し、市議会の各会派に返還を請求するよう命じる判決が2015年1月20日に岡山地方裁判所で出された。 神戸市議会において、2012年度から2014年度にかけて自民党系会派「自民党神戸」に対し政務活動費から約660万円を支出したとされる業者が、政治資金収支報告書に添付の領収書に記載された住所に実在しないことが、2015年7月に発覚。これを受け、調査を委託した大野一市議が、調査委託費などを市に返還した。また、裏金用の口座が存在していたことも指摘されており、架空の領収書が発行されていたことも判明している。2017年4月28日に、自民党神戸に所属する複数の市議が詐欺容疑で神戸地方検察庁に書類送検された。 富山県議会の副議長であった矢後肇が、2010年9月から2014年9月までの4年間に亘り、政務活動費で書籍約160冊(約460万円相当)を購入したと政治資金収支報告書に記載していながら、実際は全く購入していなかったことが、2016年7月に明らかになった。矢後は全額を返還すると共に、副議長職を辞職した。 2016年4月に実施された衆議院京都3区の補欠選挙で、大阪維新の会所属の京都府議会議員らを中心に構成された『京都維新の会・無所属市議団』が、選挙直前に民主党を批判するチラシを、政務活動費約75万円を使用して作成・配布していたことが、同年7月に判明。有識者からは、目的外支出であるとの批判の声が多く出ている。 東京都議会の自民党会派「東京都議会自民党」が、会計報告を対外的に発表していない研究会(業界団体などとの交流目的で設置したとされる)の会費のうち約8割について、政務活動費が充当されている実態が明らかになり、年間約1,000万円にわたって使途不明金となっていることが指摘されている。 富山市議会においては、自民党・民進党の会派の多数の議員が、政務活動費を不正に受け取っていたことが2016年に明らかとなり、合わせて9人の議員が辞任するに至った。これを受け、同市議会では同年11月6日に補欠選挙を実施することになった。全国市民オンブズマン連絡会議は、2015年度の政務活動費を全国で唯一使い切っていたと発表した。 愛知県豊明市議会に於いては、2011年10月に会派「市政改革の会」「絆」の議員5名が行った三重県伊賀市への視察で、政務調査費から公共交通機関の交通費が支出されていたが、不審に思った市民の住民監査請求によって、実際には公共交通機関ではなく自家用車を使用しており、交通費分の政務調査費を不正受給していたことが2012年10月に明らかになった。初めはマスコミに対しても「不適切な申請は一切ない」と自家用車の使用を否定していた議員だったが、監査委員による調査が始まると一転、自家用車の使用の事実と虚偽の説明を認めた。この議員5名は伊賀市以前に行った3件の視察でも同様に自家用車を使用して交通費の不正受給をしていた。5名は市民から刑事告発されたほか、市議会では特別委員会が設置され、一連の事態の主導権を握っていた「市政改革の会」代表の山盛左千江議員に対しては辞職勧告決議が、他の4名に対しては問責決議が賛成多数で可決された。なお、山盛は「何度も謝罪している」などとして辞職勧告決議を無視している。 千葉県議会では、団体での海外視察に海外政務活動費を充当していた3グループが、グループ毎に全員が同一の体裁や文面の視察報告書を提出していたことが判明している。一部の参加者が書いたものをコピーして使い回しにしており、少なくとも10年以上常態化している模様である。また、議会事務局も、黒塗り処理した議員の報告書を、コピーして他の議員の報告書とすり替えて報告していたことが、その後の取材で判明しており、情報公開制度を蔑にするものだとの批判が出ている。 大阪府阪南市議会では、庄司和雄議員が領収書を繰り返しコピーして同市議会に提出し、政務活動費66万円を不正受給したとして、市民オンブズマンが詐欺容疑で大阪府警察に告発した。 奈良県議会に於いては、上田悟議員が、コピー機が未設置の公民館にコピー代を支払っているなどの内容の不自然な政務活動費の支出があるなどとして、市民団体が詐欺容疑で告発し、上田は全額を返還、その後2016年9月30日に領収書の偽造を認め辞職した。 大阪府議会に於いては、共産党府議団の杤原亮幹事長が、白紙領収書に金額を自らが記入することで政務活動費を水増しして受け取っていたことが明らかとなった。受け取った政務活動費は住宅ローンなどに不正流用されていたことが明らかとなっており、杤原は2016年10月で府議を辞職した。 大阪府東大阪市議会に於いては、2012年から2014年にかけ、当時議会事務局次長を務めていた男性職員が、横山純児市議からの依頼で、政務活動費の収支報告書を代筆していたことが、2016年11月に入って判明している。この職員は、30数年来の付き合いで断りきれなかったと弁明している。 松江市議会においては、8人の自民党系市議が、東日本大震災の被災地を視察した際の視察報告書を使い回す形で議会に提出していたことが判明している。 2016年11月、宮城県議会でも中山耕一議長が白紙の領収書を貰い水増し請求していた事が発覚し、中山は全額返金する意向を示した上、議長を辞任した。 島根県議会においては、民進党島根県連代表を務めていた和田章一郎県議が、虚偽の両収支を作成して政務活動費を受け取っていたことが明らかとなり、2017年4月18日に県議・県連代表の両方を辞職した。 神戸市議会議員の橋本健が、政務活動費を用いて今井絵理子参議院議員(元SPEEDメンバー)との対談を掲載した市政報告書を作成していたことが明らかとなり、市議会側は2017年7月26日に収支報告書を修正。 岡山県議会議員の小田春人が2015年から2016年に掛けて、政務活動費で自己啓発本やビジネス書など教養書約1,200冊を購入していたことが明らかになった。小田は「政治家の教養のため必要」としているが、情報をメディアに提供した全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は、政務活動と無関係な本への支出は返還すべきであると指摘している。 吹田市議会に於いては、住民から監査請求を起こされた後、自由民主党絆の会が2017年度に支出した政務活動費の一部を自主的に返納している。監査委員は自由民主党絆の会の政務活動費の支出に違反があると認定した。 吹田市議会に於いては、吹田新選会が2017年度に支出した政務活動費約111万円に違反があると監査委員が判断し、監査委員が後藤圭二吹田市長に勧告を行った。 報道が過熱する事例もみられ、長野県においては信濃毎日新聞が2008年6月〜7月に長野県議会の政務調査費について、一人の議員の10,000円の支出について領収書のあて先等が修正されていたことから、改竄であるなどと報道した。この議員は「生き恥をさらすことはできません」という遺書を残して自殺した。 金沢市や鳥取市、富山市、明石市、和歌山市、北九州市、小松島市など各地で情報公開請求があった事や氏名などを議会事務局が市議に知らせていた。
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