ルーター
【英】router
ルーターとは、複数の異なるネットワーク間でデータのやりとりを中継するための機器のことである。
ある閉じたネットワーク内では、プライベートアドレスと呼ばれる宛先情報を利用して、通信が行われている。しかし、プライベートアドレスは、そのネットワーク内においてのみ有効なアドレスであるため、異なるネットワークをまたがって使用することができない。ルーターは、このプライベートアドレスを、インターネット上で一意に識別可能なグローバルアドレスと呼ばれる宛先情報へ変換し、複数の異なるネットワーク間での通信を可能としている。
ネットワーク上では、データは細かい単位に分割された上でヘッダ情報が付与された、パケットと呼ばれる単位で扱われる。ルーターは、アドレス情報と各通信機器との対応関係が記載されたルーティングテーブルと呼ばれるデータベースを持っており、パケットを受け取った際に、パケットのヘッダ部分に含まれているアドレス情報をルーティングテーブルと照合することで、適切な経路選択(ルーティング)を実現可能としている。
インターネットでは、通信プロトコルにTCP/IPが採用されているため、インターネットを通じた通信のルーティングにはIPアドレスが用いられている。TCP/IP以外に、IPXやXNSといった複数のプロトコルにも対応しているルーターは、特にマルチプロトコルルータと呼ばれている。ルーターが対応していない通信プロトコルのデータは、ルーターによってすべて破棄される。
ルーターは、以前は、比較的規模の大きな企業が利用するもので、一般家庭などではADSLモデムやONU(光回線終端装置)にパソコンを直接接続してインターネットに接続するような場合が多かった。しかし、最近では、小規模なオフィスや家庭などにおいてもLANが構築され、ネットワークに接続するためにルーターが必要となる場合が増えている。家庭用のルーターとしては、ダイヤルアップルーターやブロードバンドルーターと呼ばれる機器が利用されている。最近では、ADSLやFTTHによるブロードバンド環境が普及しているため、ブローバンドルーターによって、PCをはじめ家庭内LANに接続されたすべての機器が同時に、ブロードバンドでインターネットに常時接続できるようにされている場合が多い。
ルーターの種類や性能は、企業や通信事業者が運用する大規模なネットワークを相互接続するための、高速で信頼性の高いハイエンドモデルから、低価格な家庭向けモデルまで、用途によって多種多様である。また、ルーティング機能だけではなく、フィルタリング機能やファイヤーウォールを備えていたり、無線LAN機能やADSLモデム、ONUを内蔵していたりと、他の機能を併せ持っている場合も多い。
※画像提供 / ヤマハ株式会社
ルータ
ルーター
(ルータ から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/10 08:25 UTC 版)
ルーターまたはルータ(英: router)は、コンピュータネットワークにおいて、データを2つ以上の異なるネットワーク間に中継する通信機器である。通信プロトコルにTCP/IPが使われるようになってから普及した。データをネットワーク層で、どのルートを通して転送すべきかを判断するルート選択機能を持つ。
注釈
- ^ CATVやADSLが広まった後も、安定したインフラクチャであるナローバンドとしての利用は続いた[4]。
- ^ ただし、ブロードバンド普及についての経緯や規模は各国の政策、通信事情により異なる[5]。
- ^ レイヤ2スイッチもASIC実装に至る。
- ^ 主にヤマハ製品で使われる呼称。ヤマハはエッジルーターを拠点ルーターと呼ぶ。
- ^ 概ね2010年代前半までの機種。2010年代後半以降最新のIPv6/IPv4 over IPv6方式には対応していないものも多い
- ^ 本体に穴を開け、PC用ケースファンを設置するユーザもいる[9]。
- ^ 2010年代後半以降、フレッツ網におけるIPv6でのIPv6 IPoEやIPv4 over IPv6の普及以降は、日本の各メーカーにおいて標準的機能となった。(生産終了機種を除く)
- ^ 一部のISP回線事業者(FVNE)での方式
- ^ フレッツ網におけるIPv6 IPoEルーティングは、「フレッツv6オプション」を契約により登録して、特定のVNE/ISPに接続(NGN網上の固定ルート設定)する形態であり、フレッツ網側からプレフィクスが広告(RA)される仕組みは共通であり、VNE/ISPによる差異は小さい。
- ^ IPv4 over IPv6の方式は各種類があり(基本的にはVNEごとに方式が違う場合がある)、ISP毎に対応する方式が異なる。ルーター側も全方式を網羅している訳ではないため、ルーターが非対応のサービス方式にはそのままでは接続不可。
- ^ セッションの発生から終了までを完全に監視し、中間者攻撃やリセットパケットによる攻撃を排除する。(家庭用BBRでは基本的機能と言って良い)
- ^ (特定のプライベートアドレス機器をポート変換してグローバルIPアドレスとして公開)
- ^ (対応機器は限定的である)
- ^ スマートフォンなどモバイル機器の普及により、無線アクセスポイント機能としての開発比重が高まっており、純粋な(ブロードバンド)ルーター的機能は付加的なものとなっている。例えばフレッツではHGW(ホームゲートウェイ)によるルーター機能の提供、フレッツ以外でもISP回線事業者によるレンタルルーター提供などが一般的である。
- ^ 2010年代以降、家庭向けルータ機器のCPUパワーでは非現実的となり、サービス終了・機能終了していった。近年ではDNSサービス側でのフィルタリングサービスを選択可能なものもあるが限定的である(サービス終了のものもある)
- ^ Infonetics Researchは、「EthernetとIPサービスへの移行が早まっている。2015年までにはATMやフレームリレーは実質的になくなるだろう、一方、専用線はもう少し先まで残る」と予測している[11]。
- ^ モジュラー型はインターフェースカードをスロットに差し込むことでユニット交換が可能であり、拡張性に優れている。
- ^ フレームリレーの場合、ルーターをFRAD (Frame Relay Access Device) に設定し、接続先をデータ回線終端装置 (DCE) とする。
- ^ ルーターがIPパケットをルーティングする際、IPパケット・ヘッダーのTTL(Time To Live、IPパケットの寿命を表す数値)を1減らす。また、NAT/NAPTなどのアドレス変換時も、IPパケット・ヘッダーを書き換える。また、転送先のルートに合わせて、IPパケットを分割する場合もある。
- ^ cisco社ではアクセスリストまたはアクセス制御リスト (Access Control List) として実装する。
- ^ ルーティングテーブルは、宛先アドレス、ネクストホップ、送出元のインタフェースの各情報を持つ。
- ^ cisco社では、これをアドバタイズメント (advertisement) と呼ぶ。
- ^ ヤマハのRTシリーズなどでは、ネットワークバックアップ機能と呼ばれる[16]。
出典
- ^ Layer3 Switching Overview (PDF) p.6
- ^ a b 日経NETWORK 2005年1月号「発掘!ルーター開発物語」
- ^ 経済産業省資料『ルーター・スイッチの現状』
- ^ 「Amazingly, AOL still has 3.5 million dialup subscribers」
- ^ 「米国のブロードバンド事情」 (PDF)
- ^ LANをギガビットに導いた紫の遺伝子の軌跡 2009年8月13日
- ^ ルータを大衆化した先駆者「MN128-SOHO」2009年05月05日
- ^ ただし、ONUと呼ばれる機器には、純粋なONUであり光 - UTPのイーサネットブリッジであるものと、ONU+ブロードバンドルータ的機能を内包したものとの二種類がある。いずれにせよ、WAN側の光ファイバとLAN側のUTP等イーサネットの間を中継する。
- ^ 熱にだって負けない! ファンでクールなブロードバンドルーターを作る!
- ^ “無線LANのWEP暗号、60秒でクラッキング”. ITmedia NEWS. 2021年1月20日閲覧。
- ^ Ethernet、IP MPLS VPNサービスは2016年に810億ドル 2012年7月27日
- ^ ネットワーク機器講座ルータ編
- ^ QoS機能の特性と設定のポイント
- ^ 優先制御(2012年11月7日)
- ^ 帯域幅制限に関するトラフィック ポリシングとトラフィック シェーピングの比較 (PDF)
- ^ [1]
- ^ 「05群4編5章 IPデータ系システム」電子情報通信学会知識ベース (PDF)
- ^ 『日経NETWORK 2004年8月号』 P68の記事2012年12月14日閲覧
- ^ “SD-WANの新しい使い道 新たなトレンドSDCIとは?|BUSINESS NETWORK”. BUSINESS NETWORK (2023年2月20日). 2024年4月10日閲覧。
- ^ 日経クロステック(xTECH). “SD−WANサービス 徹底解剖”. 日経クロステック(xTECH). 2024年4月10日閲覧。
ルータ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 15:34 UTC 版)
家庭用インターネット回線で広く使われる、いわゆるブロードバンドルータと呼ばれるルータも広義のサーバである。ルータにはファイアウォールが内蔵されているものが多く、自宅サーバ系構築でそれを利用することも多い。最近のルータはルータとしての本来の機能やファイアウォールの他にも様々な機能を兼ね備え、スイッチングハブや、ADSLモデム、無線LANアクセスポイント、DHCPサーバ、IP電話、ビデオサーバ、携帯電話からのテレビ番組録画予約機能を内蔵したものも存在する。 ルータをPCにインストールされたLinuxで構築することもできるが、手間がかかり、電力消費と騒音、物理的サイズが大きい問題がある。オープンソースなファイアウォールソフトウェアは、Linuxではiptablesなどが挙げられる。
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