ラスター彩
ラスター彩
ラスター彩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/03 03:52 UTC 版)
ファイアンスが器などにのみ用いられた一方で、ラスター彩の方は9-10世紀には建物のタイルにも用いられた。知られている最も傑出した例の1つはチュニジアのカイラワーンの大モスク(フランス語版)の、139枚のラスター彩タイルからなる装飾である イラクのサーマッラーの発掘現場からも建築でのラスター彩の使用例が発見されている。 この時代のラスター彩の作品には多色のものと単色のものがあり、多色のものはより稀であるが、矛盾したことに、単色のものよりも早くから作られていたようである。 多色のラスター彩 多色のラスター彩は単に1つの作品に複数の色のラスター(ルビーレッドから黄金色や緑がかったものまで極めて幅がある)が施されているというのみならず、様式や図像にも特徴がある。これらの作品には、同時代のイスラームの他の作品に見られたような図像がほとんど見られないのである(サーマッラーで発見された鶏のタイルは有名な例外である)。従って、その装飾は主に幾何学文様や植物文様から構成されており、これらは非常に様式化されていることが多く、目玉模様、山形模様、縞模様などのさまざまなモチーフで埋められていた。シンメトリと戯れることも多い。ルーヴル美術館のOA 747の鉢のように、様式化された花束の文様が多く知られている。 単色のラスター彩 単色のラスター彩は速やかに多色のそれを置き換えていったようである。単色のラスター彩では動物や人間の図像が再出現した。フリーア美術館蔵の壺はその例の1つである。とはいえ充満する文様と相容れないということはなく、この壺でも装飾に分割があり構成に空白が入りこそしているが、依然として目玉模様が肩の部分を飾っている。ルーヴル美術館蔵の「旗手の鉢」 では、芸術家は強烈な「余白恐怖症」を見せているが、白い輪郭線が下地から主要なモチーフを分離している。また、この時代に典型的な、他の分野でもしばしば単純な装飾モチーフとして用いられていた銘文がこの作品にも見出される。
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