施釉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 03:06 UTC 版)
詳細は「釉薬」を参照 釉は焼きもののガラス質のコーティングである。装飾と保護をおもな目的とする。多孔質の焼きものの器を、水やその他の液体が染み出さないようにすることも重要な役割である。釉は固体のものをまぶしたり、釉薬と水の薄い懸濁液を吹き掛けたり浸したり流したり刷毛で塗ったりして施される。焼成する前と後とでは釉の色は大きく違う場合もある。焼成の際に施釉した作品が窯の備品にくっついてしまわぬよう、作品の一部(脚など)に施釉しない部分を残しておくか、あるいはスプール(ハマ)と呼ばれる耐火性の支持体が用いられる。ハマは焼成が終わると取り外され廃棄される。 特殊な施釉法に以下のものがある。 塩釉(英語版) - 焼成中に、塩化ナトリウムが窯に入れられる。塩は高温のため揮発し、焼きものの表面に堆積して胎土と反応しアルミノケイ酸ナトリウムの釉を形成する。17 - 18世紀には家庭用の陶器の生産に塩釉が用いられていた。今日では、一部の陶芸家が行うのみとなっている。塩釉の下水道管の生産が大規模な使用の最後の例で、大気汚染の問題のために行われなくなった。 灰釉(英語版) - 植物を燃焼して出た灰が釉の溶剤の成分として用いられる。灰は窯の燃料の燃え残りが用いられることが普通であるが、耕作物のごみの灰が用いられていた可能性も研究されている。燃料の灰が降りかかりひとりでに釉が形成されたものは「自然釉」と呼ばれる。灰釉は極東において歴史的重要性があるが、アメリカ合衆国のカトーバ谷の陶芸(英語版)などでも小規模に行われていたという報告がある。現在では、素材の可変性から来る予期できない効果に価値を置く一部の陶芸家が行うのみとなっている。
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