ニオブ合金
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C-103合金は1960年代初頭にワー・チャン(英語版)とボーイングが共同で開発した。デュポン、ユニオンカーバイド、ゼネラル・エレクトリック他数社が、冷戦と宇宙開発競争を背景としてニオブ合金(英語版)を同時期に開発していた。89パーセントのニオブ、10パーセントのハフニウム、1パーセントのチタンで構成されており、アポロ月着陸船のメインエンジンなど、液体燃料ロケットのスラスターノズルに使われている。 スペースXがファルコン9の上段用に開発したマーリン・バキュームシリーズのロケットエンジンのノズルはニオブ合金で作られている。 ニオブは、酸素との反応性のため、真空中または不活性気体中で加工する必要があり、生産の費用と難度を大きく上げる原因となっている。当時新規開発されていた真空アーク溶解(英語版)または電子ビーム溶解(英語版)により、ニオブやそのほか反応性の高い金属に関する開発が可能となった。C-103合金を開発したプロジェクトは1959年に始まり、ボタン状の金属を溶かして板金に圧延できる、256ものCシリーズ(おそらくコロンビウムの頭文字に由来する)の試作ニオブ合金を開発した。ワー・チャンは、原子力用ジルカロイを精製する過程で得られたハフニウムを在庫しており、これを商業用に利用したいと考えていた。Cシリーズ合金で103番目に試したニオブ89パーセント、ハフニウム10パーセント、チタン1パーセントの組み合わせが、成形性と高温特性の点で最適であった。ワー・チャンは1961年に、真空アーク溶解および電子ビーム溶解を用いて、最初のC-103合金500ポンド(約225キログラム)を製造し、インゴットから板金にした。意図されていた用途はガスタービンエンジンや液体金属用熱交換器であった。当時C-103に競合していたニオブ合金としては、ファンスティール冶金製のFS85(ニオブ61パーセント、タングステン10パーセント、タンタル28パーセント、ジルコニウム1パーセント)、ワー・チャンおよびボーイング製Cb129Y(ニオブ79.8パーセント、タングステン10パーセント、ハフニウム10パーセント、イットリウム0.2パーセント)、ユニオンカーバイド製Cb752(ニオブ87.5パーセント、タングステン10パーセント、ジルコニウム2.5パーセント)、およびスペリアー・チューブ製のニオブ99パーセント、ジルコニウム1パーセント合金であった。
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ニオブ合金
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詳細は「ニオブ」を参照 ニオブは、ほぼ常にタンタルと同時に採掘され、タンタルの名前の由来であるギリシア神話における王のタンタロスの娘であるニオベーにちなんで名づけられている。ニオブには多くの用途があり、その中には他の耐火金属と共通のものがある。焼なましを使って広い範囲の強度と弾性を実現でき、耐火金属の中ではもっとも低い密度を持つという点が特徴である。電解コンデンサやもっとも実用的な超伝導合金でも用いられる。ニオブは航空機のガスタービン、真空管や原子炉などでも用いられる。 アポロ月着陸船のメインエンジンなど、液体ロケットスラスターノズルに用いられる合金はC103と呼ばれるもので、89パーセントのニオブ、10パーセントのハフニウム、1パーセントのチタンからなる。また、アポロ司令・機械船のロケットノズルには異なるニオブ合金が用いられている。ニオブは摂氏400度を超えると酸化されるため、合金がもろくなってしまうのを避けるために、こうした用途では保護コーティングが必要となる。
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