ザウバー・C29とは? わかりやすく解説

ザウバー・C29

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/09 22:39 UTC 版)

ザウバー C29
マレーシアGP、予選Q3で
ペドロ・デ・ラ・ロサがドライブするC29
カテゴリー F1
コンストラクター BMWザウバー
デザイナー ウィリー・ランプ
先代 ザウバー・C24
後継 ザウバー・C30
主要諸元
エンジン フェラーリTipo056
タイヤ ブリヂストン
主要成績
チーム BMW・ザウバーF1チーム
ドライバー 小林可夢偉
ペドロ・デ・ラ・ロサ
ニック・ハイドフェルド
出走時期 2010年
コンストラクターズタイトル 0
ドライバーズタイトル 0
通算獲得ポイント 44
初戦 2010年バーレーンGP
最終戦 2010年アブダビGP
出走優勝表彰台ポールFラップ
190000
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ザウバー・C29 (Sauber C29) は、ザウバー2010年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カーBMWの撤退後、チームの経営主体がペーター・ザウバーの手に戻ってから使用した最初のマシンである。ただし、コンストラクター登録上は「BMWザウバー」のままであるため、「BMWザウバー・C29」と表記・呼称する場合もある。

概要

元々、BMWワークスとしてのBMWザウバーのマシン、F1.09の後半戦仕様を元に改良されたマシンになる予定だったが、BMWの撤退によって継続参戦が危ぶまれたために開発が中断され、ペーター・ザウバーが買収したことで継続が決まってから再度開発が進められたマシンである。

2010年1月31日バレンシア・サーキットで発表会が行われ、同日そのまま現地でシェイクダウンが行われた[1]BMWの撤退に加え、前年までメインスポンサーだったペトロナスメルセデスにスポンサー先を切り替えた影響から、マシンにはほとんどスポンサーロゴがなく、全体的に白一色に近いデザインとなっている。

エンジンは2005年C24以来5年ぶりにフェラーリから供給を受ける。

チームはマクラーレンが採用したFダクトを早くから取り入れ、第2戦マレーシアGPから試用した。ザウバーはマクラーレンとは異なり、フロントからの空気をリヤウィングのメインエレメントに吹き付けてダウンフォースを調整する方法を生み出した。この方式は先駆者であるマクラーレンも終盤に取り入れている。

2010年シーズン

冬季テストでは好調が伝えられ、フェルナンド・アロンソなどからダークホースに指名されていたが、開幕後数戦はフロントウイングの脱落やエンジンブローといったマシントラブルに立て続けに見舞われ、新規参入チーム以外では唯一のノーポイントという散々な結果となった。その信頼性の低さは、小林が「F1て、こんなに壊れますか?」と嘆くほどだった[2]

C29の課題は燃料の少ない状態で挙動が安定しないという点だった。チーム関係者からは「冬季テストでタイムが良かったのは他チームに比べ燃料搭載量が少なかった可能性が高いかも」との言葉もあった[要出典]

しかし、フォース・インディアよりジェームス・キーが移籍しテクニカルディレクターに就任してから改良が進み始め、第7戦トルコGPで小林が予選10位から10位に入賞すると、第9戦ヨーロッパGPではファイナルラップでアロンソとセバスチャン・ブエミをオーバーテイクし、7位入賞を果たした(なお、デ・ラ・ロサもゴール時には10位入賞していたが、その後ペナルティにより12位完走となった)。さらに、小林の手によってイギリスGPでは6位、日本GPでは合計5回のオーバーテイクをヘアピンカーブで見せ、7位入賞を果たした。

マシン全体で稼げるダウンフォース量は他のマシンよりも少なく、高速セクションで最高速度を稼ぐことができない傾向に変わりはなかったが、シーズン中19戦37台の出走中11回の入賞で44ポイントを獲得した。小林に限っては全19戦の出走中8回の入賞を果たした。

エピソード

  • 小林可夢偉の乗るC29の通称は「朋子」。これはフジテレビ系列『すぽると!』8月9日放送回に出演した際、ベッテルが自分のマシンに女性の名前を付けているという話題になった時に、「やっぱり名前をつけるなら日本的な名前がいいんで朋子にします」と、直前に話していた本田朋子アナの名前から取ったことに由来する。

スペック

第16戦日本GPでニック・ハイドフェルドがドライブするC29

シャーシ

  • 重量 620kg(ドライバーを含む。燃料タンクは空状態)

エンジン

記録

No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 ポイント ランキング
BHR
AUS
MAL
CHN
ESP
MON
TUR
CAN
EUR
GBR
GER
HUN
BEL
ITA
SIN
JPN
KOR
BRA
ABU
2010 22 デ・ラ・ロサ Ret 12 DNS Ret Ret Ret 11 Ret 12 Ret 15 7 11 14 44 8位
ハイドフェルド Ret 8 9 17 11
23 小林 Ret Ret Ret Ret 12 Ret 10 Ret 7 6 12 9 8 Ret Ret 7 8 10 14

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 初披露されたBMWザウバーC29 - ESPN F1・2010年1月31日
  2. ^ 西山平夫 (2010年5月22日). “一か八かの“秘策”に賭けた可夢偉。「F1て、こんなに壊れますか?」”. 今こそモータースポーツ. Number web. pp. 2/2. 2012年3月29日閲覧。

ザウバー・C29

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 00:47 UTC 版)

Fダクト」の記事における「ザウバー・C29」の解説

マクラーレン続き、第2戦オーストラリアGPテストし、第4戦中GPから実戦使用当初吸気口は左サイドポンツーン上に設置されたが、第5戦スペインGPからはマクラーレンと同じコクピット前方変更された。ドーサルフィンからの空気フラップではなく、メインプレートに送り込まれるのが特徴である。

※この「ザウバー・C29」の解説は、「Fダクト」の解説の一部です。
「ザウバー・C29」を含む「Fダクト」の記事については、「Fダクト」の概要を参照ください。

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