ヒスパニア・F110とは? わかりやすく解説

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ヒスパニア・F110

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/09 22:40 UTC 版)

ヒスパニア・F110
バーレーンGPでのF110
(※:ブルーノ・セナがドライブ)
カテゴリー F1
コンストラクター HRT
デザイナー ルカ・ピグナッカ
後継 ヒスパニア・F111
主要諸元
エンジン コスワースCA2010
タイヤ ブリヂストン
主要成績
チーム ヒスパニア・レーシング・F1チーム
ドライバー カルン・チャンドック
ブルーノ・セナ
山本左近
クリスチャン・クリエン
出走時期 2010年
コンストラクターズタイトル 0
ドライバーズタイトル 0
通算獲得ポイント 0
初戦 2010年バーレンGP
最終戦 2010年アブダビGP
出走優勝表彰台ポールFラップ
180000
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ヒスパニア・F110 は、ヒスパニア・レーシング・F1チーム2010年のF1世界選手権で使用したフォーミュラ1カー。設計・製作はダラーラが担当した。

概要

カンポスからHRTへ

2009年6月、当時カンポス・グランプリのオーナーであったエイドリアン・カンポスがダラーラとの技術提携で合意した[1]。他の新参チームが数値流体力学(CFD)によるシミュレーションでマシンの製造を行ったり、有名エンジニアを迎え入れてマシンの製造を行うなどの各チームのヴィジョンが早期に示される中、カンポスはダラーラとの技術提携からマシンの製作を行う事を発表する。しかし、予定していたよりも資金調達が難航し、遂には資金不足に陥った為にダラーラ側へ約束していた支払いを滞納させてしまう事態が発生した。一時は製造を止めていたダラーラであったが、ホセ・ラモン・カラバンテへチーム経営権を譲渡し、「ヒスパニア・レーシング・F1チーム(HRT)」として再建。滞納していた支払いもダラーラ側へ支払われ、マシン製造は再開された。それにより開幕戦バーレーンGPまでに製造は急ピッチで行われ、開幕直前の3月4日の発表会にF1マシンがお披露目された[2]。冬季テストも終わった開幕10日前の発表であった為、開幕戦であるバーレーンGPの金曜フリー走行が実質的なシェイクダウンとなった。又、この発表会ではまだマシン名称が決まっていなかったが、後に「F110」と発表された。

マシンカラーはダークグレーにスペインのナショナルカラーである赤と黄色、そして白のラインが施されている。サイドポンツーン側面には両ドライバーのファーストネームである「BRUNO」、「KARUN」、「SAKON」、「CHRISTIAN」が白抜きでペイントされているのが特徴である。

2010年ヒスパニア・レーシングのマシン「F110」。開幕戦までに全くマシンテストが出来なかった為に、実質的なシェイクダウンを開幕戦バーレーンGPで行われた。(写真はブルーノ・セナ

2010年シーズン

当初のF110はサスペンションが金属製であった。通常のF1マシンのサスペンションはカーボンファイバー製のものを使用している。また、予定していたよりも重量が20kg近く重いことも明らかとなった[3]。したがって、開幕戦バーレーンGPの予選ではトップチームより10秒遅れ、他の新参チームからも3秒以上も遅いタイムとなってしまった。

第2戦オーストラリアGPでは、開幕戦までに間に合わなかったカーボンファイバー製サスペンションが装着され、その他にも細部のマシン開発が見られた。その後、第4戦中国GPより、チャンドックのマシンのみ新型燃料タンクが投入された。これにより、マシンの重量配分の改善を狙ったアップデートが施された。

先述のとおり、第2戦オーストラリアGPにおいて、F110のサスペンションもカーボンファイバー製の物へ代わった他、その他の開幕戦までの間に合わせの様なマシンに対するアップデートも功を奏し、実質予選で3秒近いタイムアップを果たした。尚、このレースでカルン・チャンドックが14位で完走し、これがF110にとっての初完走記録となる。

その後も、チャンドックは第4戦中国GPまで3戦連続完走を果たした。又、チームメイトのセナも第3戦、第4戦で完走を果たし、序盤の開幕遠征ラウンドにおいては新参チームの中で最も高い完走率となった(単純に完走率ではロータス・レーシングと同率)。但し、他の新参チームとの差を依然として予選・決勝においても1秒近く開かれており、今後のマシン開発の必要性が課題となっている。

その後も、シーズン中にはマシンが改善されると言われていたものの、マシンを開発したダラーラとの契約解消によりアップデートは出来ず、シーズンで最も低速サーキットであるモナコGPで走ったウィングと同じスペックのウィングを最速のサーキットであるイタリアGPでも使った。これは過去10年間で初めての出来事で、極めて異例である。

最終的にアップデートはされなかったが、信頼性はそこそこであり新規参入チームであるヴァージンを抑えてコンストラクターズ11位となった。

スペック

シャーシ

エンジン

(※:上記スペック及び、関係者や製造元等の情報文献はFormula One Supporters Associationによる。)

記録

No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 ポイント ランキング
BHR
AUS
MAL
CHN
ESP
MON
TUR
CAN
EUR
GBR
GER
HUN
BEL
ITA
SIN
JPN
KOR
BRA
ABU
2010 20 チャンドック Ret 14 15 17 Ret 14 20 18 18 19 0 11位
クリエン Ret 22 20
20/21 山本 20 Ret 19 20 19 16 15
21 セナ Ret Ret 16 16 Ret Ret Ret Ret 20 19 17 Ret Ret Ret 15 14 21 19
  • 太字ポールポジション斜字ファステストラップ。(key)
  • 山本はイギリスグランプリではNo.21を、それ以降はNo.20をドライブ。
  • クリエンは山本に代わりシンガポールグラプリ・ブラジルグランプリ・アブダビグランプリでNo.20をドライブ。

脚注

  1. ^ “カンポス・グランプリとは”. F1-Gate.com. (2009年6月13日). http://f1-gate.com/campos/f1_3849.html 2009年6月13日閲覧。 
  2. ^ F1 Gate.com2010年3月5日
  3. ^ F1 Gate.com2010年3月6日
  4. ^ a b 開幕戦はカーボンファイバーを使用したサスペンションが間に合わなかった為、金属製の物を使用した。
  5. ^ 当初はさらに20kg近く重かった



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