イブン・ルシュドとは? わかりやすく解説

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イブン‐ルシュド【Ibn Rushd】


イブン・ルシュド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/21 18:38 UTC 版)

アブー・アル=ワリード・ムハンマド・イブン・アフマド・イブン・ルシュドアラビア語: أبو الوليد محمد بن أحمد بن رشدabū al-walīd muḥammad ibn ʾaḥmad ibn rušd, 1126年4月14日 - 1198年12月10日)は、スペインコルドバ生まれの哲学者医学者。膨大なアリストテレス注釈を書いたことで知られる。ムワッヒド朝のもとで君主の侍医、後にはコルドバのカーディー(裁判官)となった。1197年にはムワッヒド朝の君主ヤアクーブ・マンスールが哲学を禁止したことでイブン・ルシュドは追放され、その後モロッコのマラケシュで亡くなっている。


  1. ^ H-Net Review: Eric Ormsby on Averroes (Ibn Rushd): His Life, Works and Influence
  2. ^ イスラームの哲学者たち. 岩波書店. (1975) 
  3. ^ a b イスラーム思想史. 中央公論社 
  4. ^ a b 中世思想原点集成11. 平凡社 
  5. ^ a b 『「(アルガゼルの)哲学矛盾論」の矛盾』. 田中, 千里. 近代文芸社. (1996.3). ISBN 4773348275 


「イブン・ルシュド」の続きの解説一覧

イブン・ルシュド(アヴェロエス)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 09:39 UTC 版)

イスラーム哲学」の記事における「イブン・ルシュド(アヴェロエス)」の解説

イブン・トファイルの後を受けて登場するのが、アヴェロエスことイブン・ルシュドである。彼の名は、イスラム屈指の哲学者として西洋哲学史においてはイブン・スィーナー並んで必出思想家である。イブン・ルシュドは1126年に、コルドバ生まれ法学哲学医学で名をとどろかしていた。彼は、イブン・トファイル引退したのを受け、王朝の主侍医として仕えたカリフは、イブン・ルシュドの哲学対す知識優秀さ認めカリフ保護の下、アリストテレス註釈するように言われた。このアリストテレス注釈業績は非常に優れたものとして、後の西洋哲学多大な影響与えた。 イブン・ルシュドは、イブン・スィーナーネオプラトニズム的なアリストテレス批判し、あくまで純粋な姿のアリストテレス哲学を見つめよう努めた。この姿勢後の世にイブン・ルシュドは、「アリストテレス神格化した人物」とさえ評されるほどでもあった。無論アリストテレス注釈のみならず彼の独自の思想は、多くが後の西洋哲学史論争惹き起こした宇宙無始論や、神の個物知の問題知性単一説、二重真理説などか有名である。 項目の性質いずれも詳細割愛するが、西洋哲学者で後の世彼の反駁者でもあるトマス・アクィナスまで持ち越されたこの宇宙無始論は、宇宙創造永遠性認めるものの、時間的な始まり否定したのである。この思想神学上では、矛盾した考えであるが、イブン・ルシュドによると神学者たちは世界の創造をある一点でのみ考えているが、そこが誤謬であり、世界は常に創造されているものであると、イブン・ルシュドは宇宙世界)が絶え間なく変動する中に一つ本源的秩序(つまり真理)を見ていた。これが、イブン・ルシュドの思想バックボーンにもなっている。 これにより、独特の知性論、即ち知性単一説を説く。すなわち、知性とは個々人により別の知性持ち合わせているのではなく、あるのはただ一つ同一普遍的知性というものであり、これが個々人の間で顕現化したものである。という考え方である。個々人対す顕現の差はあるが、この知性向かっていくものは一であるという。人は、個々人知性が完全に最高度の知性イスラーム哲学用語で言えば能動的知性」)と合一したとき、現世において最高の幸福が訪れるという。イブン・ルシュドのこの独特な思想は、アリストテレス解釈よるものとされているが、ネオプラトニズム的な流出論もみて取れる。 これに関連して、イブン・ルシュドは、人間三段階説を唱える。この能動的知性働きに応じて最下級の大衆中間に立つ神学者、そして最上位哲学者である。彼によれば、中間の神学者のみが「病人」であり、みだりに聖典解釈し間違った解釈施しこれを絶対的な真理として、民衆与えている。しかし、これによって宗教不必要害悪なものとして捉えることはできない民衆はこの宗教通じて哲学者が自らが直観する真理を、近づきやすい感覚的なものに置き換えられ接することができるからである。しかし、哲学者にはすでに直視し体得することができるため、必要のないのであるという。これは、イブン・ルシュドによれば哲学と宗教が違うものを意味しているのではない。哲学者は、聖典言葉矛盾どこまでも追究し解釈していくのが聖なる努めであって一方一般民衆哲学者違い知性不十分なのであるから、知性ではなく信仰という能力によってこの聖典に近づかなくてはならない民衆は、神学者誤った解釈惑わされてはならないという。従って、究極には、哲学と宗教とは一致しなくてはならない説くこのような考えは、後の世にイブン・ルシュドに対して少なからぬ無神論的な評価下されることにもなるが、これは前のイブン・トファイル思想にも見られていたことでもある。 この知性論と関連して、かの二重真理説の諸端になる説が展開された。これは哲学と宗教協調させようという試みで、相矛盾する二つ命題が、一方哲学原理真理であれば真理であり、他方宗教的信条によって真理であれば真理であるという立場である。しかし、このような立場は、前に触れた人間三段階説を見てもわかるとおり、結果的に哲学的真理追求をする立場である哲学優位にたつようにできており、かえって神学サイドから、批判をあびた。この二重真理説は、ラテン・アヴェロイズムの信奉者によってキリスト教世界もたらされ度重なる異端宣告を受けるに到った。 イブン・ルシュドは、1198年モロッコ没した彼の思想は、アラビア語圏よりもむしろヘブライ語ラテン語翻訳され影響を残すことになった彼の哲学ラテン語への翻訳は、ラテン・アヴィセンナ主義昂揚もたらしパリ禁令引き金になった

※この「イブン・ルシュド(アヴェロエス)」の解説は、「イスラーム哲学」の解説の一部です。
「イブン・ルシュド(アヴェロエス)」を含む「イスラーム哲学」の記事については、「イスラーム哲学」の概要を参照ください。

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