OSI参照モデル 歴史

OSI参照モデル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/19 06:17 UTC 版)

歴史

1970年代中ごろ、ネットワーク機器各社独自のネットワークアーキテクチャーが次々に発表され始めた。IBMSNADECのDNA、富士通FNA日立製作所のHNA、日本電気(NEC)のDINA電電公社のDCNAなどである。機器を一つのメーカー製で揃えられるのであれば問題は無いが現実的には難しく、異なる機種同士を接続するための標準化が急がれていた。

ISO(国際標準化機構)の情報処理システム技術委員会は1977年3月にSC 16を設置、OSIの国際標準化を開始する。

しかし、CCITT[注釈 2](国際電信電話諮問委員会)がOSI参照モデル案を参考として独自の検討を開始。CCITTとSC 16での意見のすり合わせを行い、基本的な意見を合意。1982年にトランスポート層の標準、1983年にセッション層の標準の草稿が完成。

1984年、情報処理システム技術委員会はSC 16からSC 21にOSIの標準化を引き継がせ、1985年に応用層の新プロトコルを標準化項目に追加した。その後現在まで、拡張や新たなプロトコルの制定が続けられている。[要出典]

その後、当初の予定では、OSI参照モデルを基に、準拠した通信機器やソフトウェアが開発・製品化していくはずであった。TCP/IPが1990年代中ごろから急速に普及したため、OSI準拠製品は普及しないまま、現在に至る。

回線速度と通信速度

ISDNADSLやIEEE 802.3などで表記される回線速度は第2層のことであり、例えばファイル転送で計測する通信速度とは異なる。ファイル転送で計測する速度は実アプリケーションから見た速度であって、通常は第3層以上の各種制御情報が付記されるため、回線事業者の謳う回線速度より若干低い値となる。

比喩

米国では、OSI参照モデルの7階層モデルを拡張して技術的でないことまで指し示してしまう、というジョークもある。良く知られているのは10階層モデルであり、「第8層ユーザ層」「第9層財務層」「第10層政治層」あるいは「第8層お金層」「第9層政治層」「第10層宗教層」などとなっている。

ネットワーク技術者が「第8層問題だよ」と言っていれば、それは「ネットワーク自体には問題は無くて、エンドユーザに問題があるんだよ」という意味である。同様に、財務層に問題があるとはコストの面で問題があるということ。お金で解決できることは決して少なくない。政治層は、社内政治や導入に関連するSI同士の競合によって導入できる技術仕様に制限がかかる、といった状況を指す。宗教層は「信ずるもの」の意味である。導入責任者の技術志向性や信念などに相当する。

OSIモデルをタコベルモデル(7段重ねのブリートで有名)と比喩することもある。

「第0層土建層」(有線ネットワークを敷設する建物の構造)という比喩もある。

OSIモデルを”あぷせとねでぶ”と頭文字を取って学習することがある。


注釈

  1. ^ OSI参照モデルの第7層における「アプリケーション」とは、あくまでHTTPやFTPなどの通信サービスのことであり、いわゆる「アプリケーションソフト」の意味ではない。また "ユーザーが操作するインターフェース" (UI) のことでもない。これは頻繁に誤解されている[要出典]ことなので注意が必要である。第7層も一般ユーザーには直接には全く見えない形で、メーリングソフトやホームページ作成公開ソフトなどのアプリケーションソフトの背後で動作しているものである。
  2. ^ 現在はITU-Tと呼ばれている。

出典

  1. ^ "OSI参照モデル". 日本大百科全書(ニッポニカ)、ASCII.jpデジタル用語辞典. コトバンクより2021年6月17日閲覧
  2. ^ Metzler, Steve Taylor and Jim (2008年9月23日). “Why it's time to let the OSI model die” (英語). Network World. 2021年8月28日閲覧。
  3. ^ Computers Are Bad”. computer.rip. 2021年8月28日閲覧。
  4. ^ アンドリュー・S・タネンバウム、デイビッド・J・ウエザロール『コンピュータネットワーク』(第5版)日経BP社、2013年9月12日、106,115頁。ISBN 9784822284763 
  5. ^ 日経クロステック(xTECH) (2007年5月17日). “アプリケーションに属する第5~7層(第29回)”. 日経クロステック(xTECH). 2024年2月19日閲覧。 “実際にはOSI第5~7層が別々のプロトコルとして実装されることはまれです〔…〕インターネットで使われているTCP/IPの体系では、OSI第5~7層に相当する階層がアプリケーション層と呼ばれる一つの階層になっているからです。”
  6. ^ ITU X.200-1988” (PDF) (英語). ITU. Reference Model of Open Systems Interconnection for CCITT applications. 国際電気通信連合 (1988年11月). 2024年2月19日閲覧。
  7. ^ ITU-T Recommendation Q.1400 (03/1993), Architecture framework for the development of signalling and OA&M protocols using OSI concepts, pp 4, 7.





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