OSI参照モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/19 06:17 UTC 版)
概要
OSI参照モデルは、1977年から1984年にかけて定義されたOSIのために策定された。OSI自体は普及せず、OSI参照モデルだけがネットワークの基礎知識として広まったものである。現在幅広くに利用されているEthernet、TCP/IPとは適合していないという主張や[2]、ネットワークを理解するためのモデルとして不適切であるという意見がある[3]。タネンバウムは、OSI参照モデルは参照モデルとしては仕様と実装の区別をしている点で有用だが、プレゼンテーション層とセッション層は不要だったとしている[4]。実際、これら最上位の3層はアプリケーション層として1つにまとめられることが多い[5]。
OSI参照モデルは ISO 7498 として規格化され、後にITU-Tでは X.200[6]、JISでは JIS X5003 として、同一内容を定義している。ITU, JISともにネットで規格文書を公開しており、通信規約を規定する技術仕様を記述する上での出発点として用いることができる。
レイヤー構成
国際標準化機構 (ISO) によって制定された、異機種間のデータ通信を実現するためのネットワーク構造の設計方針「開放型システム間相互接続 (Open Systems Interconnection、OSI)」に基づいて通信機能を以下の7階層(レイヤ)に分割する。
OSI参照モデル |
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- 第7層 : アプリケーション層[注釈 1]
- 具体的な通信サービス(例えばファイル・メールの転送、遠隔データベースアクセスなど)を提供。HTTPやFTPなどの通信サービス。
- 第6層 : プレゼンテーション層
- データの表現方法(例えばEBCDICコードのテキストファイルをASCIIコードのファイルへ変換する)。
- 第5層 : セッション層
- 通信プログラム間の通信の開始から終了までの手順(例えば接続が途切れた場合、接続の回復を試みる)。
- 第4層 : トランスポート層
- ネットワークの端から端までの通信管理(エラー訂正、再送制御など)。
- 第3層 : ネットワーク層
- ネットワークにおける通信経路の選択(ルーティング)。データ中継。
- 第2層 : データリンク層
- 直接的(隣接的)に接続されている通信機器間の信号の受け渡し。
- 第1層 : 物理層
- 物理的な接続。コネクタのピンの数、コネクタ形状の規定など。銅線–光ファイバ間の電気信号の変換など。
注釈
出典
- ^ "OSI参照モデル". 日本大百科全書(ニッポニカ)、ASCII.jpデジタル用語辞典. コトバンクより2021年6月17日閲覧。
- ^ Metzler, Steve Taylor and Jim (2008年9月23日). “Why it's time to let the OSI model die” (英語). Network World. 2021年8月28日閲覧。
- ^ “Computers Are Bad”. computer.rip. 2021年8月28日閲覧。
- ^ アンドリュー・S・タネンバウム、デイビッド・J・ウエザロール『コンピュータネットワーク』(第5版)日経BP社、2013年9月12日、106,115頁。ISBN 9784822284763。
- ^ 日経クロステック(xTECH) (2007年5月17日). “アプリケーションに属する第5~7層(第29回)”. 日経クロステック(xTECH). 2024年2月19日閲覧。 “実際にはOSI第5~7層が別々のプロトコルとして実装されることはまれです〔…〕インターネットで使われているTCP/IPの体系では、OSI第5~7層に相当する階層がアプリケーション層と呼ばれる一つの階層になっているからです。”
- ^ “ITU X.200-1988” (PDF) (英語). ITU. Reference Model of Open Systems Interconnection for CCITT applications. 国際電気通信連合 (1988年11月). 2024年2月19日閲覧。
- ^ ITU-T Recommendation Q.1400 (03/1993), Architecture framework for the development of signalling and OA&M protocols using OSI concepts, pp 4, 7.
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