桜宮サーガ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/03 01:37 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動概要
当初は、『チーム・バチスタの崩壊』、『碧翠院桜宮病院の崩壊』、『桜宮オートプシー・イメージングセンターの崩壊』の「崩壊三部作」となる予定であった[1]。
『桜宮サーガ』という名称は、書評家の東えりかが文庫版『ナイチンゲールの沈黙』の巻末解説において用いたことから誕生した。
物語は主に、時代を1988年頃~2022年前後に設定し、東海地方の架空の都市・「桜宮市」を中心に、他にも架空の都市として「極北市」、「浪速府」を設置し東京とともに舞台展開されている。尚、この舞台設定は東京と地方の1対1で対応している日本社会を表している[2]。その作品間のリンクによりある作品の登場人物が、その性格や経歴などの設定を引き継ぎながら別の作品にも登場するというクロスオーバー展開を見せている。
著者はこの手法を「虚数空間の統一」[3] と定義しており[2]、フィクション上でも現実を描こうとする意図が含まれている[4]。
作品一覧
出版社は多岐に渡るが、2014年現在までに発表された小説作品のほぼ全てが「桜宮サーガ」に組み込まれる。以下は、刊行順。
タイトル | 出版社 | 刊行年月 | 主要人物 |
---|---|---|---|
チーム・バチスタの栄光 | 宝島社 | 2006年1月 | 田口公平 白鳥圭輔 |
ナイチンゲールの沈黙 | 宝島社 | 2006年10月 | 浜田小夜 水落冴子 |
螺鈿迷宮 | 角川書店 | 2006年11月 | 天馬大吉 白鳥圭輔 姫宮香織 |
ジェネラル・ルージュの凱旋 | 宝島社 | 2007年4月 | 速水晃一 |
ブラックペアン1988 | 講談社 | 2007年9月 | 世良雅志 高階権太 渡海征司郎 |
夢見る黄金地球儀 | 東京創元社 | 2007年10月 | 平沼平介 久光穣治 |
医学のたまご | 理論社 | 2008年1月 | 曾根崎薫 |
ジーン・ワルツ | 新潮社 | 2008年3月 | 曾根崎理恵 清川吾郎 |
ひかりの剣 | 文藝春秋 | 2008年8月 | 速水晃一 清川吾郎 |
イノセント・ゲリラの祝祭 | 宝島社 | 2008年11月 | 田口公平 白鳥圭輔 彦根新吾 |
ジェネラル・ルージュの伝説 | 宝島社 | 2009年2月 | 速水晃一 |
極北クレイマー | 朝日新聞出版 | 2009年4月 | 今中良夫 |
マドンナ・ヴェルデ | 新潮社 | 2010年3月 | 山咲みどり 曾根崎理恵 |
ブレイズメス1990 | 講談社 | 2010年7月 | 世良雅志 天城雪彦 |
アリアドネの弾丸 | 宝島社 | 2010年9月 | 田口公平 白鳥圭輔 高階権太 |
モルフェウスの領域 | 角川書店 | 2010年12月 | 日比野涼子 曾根崎伸一郎 佐々木アツシ |
ナニワ・モンスター | 新潮社 | 2011年4月 | 村雨弘毅 彦根新吾 |
極北ラプソディ | 朝日新聞出版 | 2011年12月 | 今中良夫 世良雅志 速水晃一 |
玉村警部補の災難 | 宝島社 | 2012年2月 | 加納達也 玉村誠 |
ケルベロスの肖像 | 宝島社 | 2012年7月 | 田口公平 高階権太 |
スリジエセンター1991 | 講談社 | 2012年10月 | 世良雅志 天城雪彦 |
輝天炎上 | 角川書店 | 2013年1月 | 天馬大吉 |
カレイドスコープの箱庭 | 宝島社 | 2014年4月 | 田口公平 白鳥圭輔 |
アクアマリンの神殿 | 角川書店 | 2014年6月 | 佐々木アツシ |
スカラムーシュ・ムーン | 新潮社 | 2015年7月 | 名波まどか 彦根新吾 |
玉村警部補の巡礼 | 宝島社 | 2018年4月 | 加納達也 玉村誠 |
氷獄 | 角川書店 | 2019年5月 |
主要登場人物
作品によって描かれる地域、医療テーマ、年代がバラバラなため一貫した主人公は存在しない。
前述のようにある作品の登場人物が、その性格や経歴などを引き継ぎながら別の作品にも登場するのが一連の海堂小説の最大の特徴であり、デビュー作の『チーム・バチスタの栄光』の登場人物を例にすると田口公平はその後の『田口・白鳥シリーズ』でも主要人物として活躍するが、『田口・白鳥シリーズ』以外の作品では脇役[5][6][7][8][9][10][11] として登場、あるいは未登場[12][13][14][15][16][17] である。 また、時代を1988年頃~2022年頃に設定しているため再び田口公平を例にすると、過去を舞台とした1988年前後には東城大学医学部の医学生[6][8]、研修医[9] として登場し、現代を舞台とした『田口・白鳥シリーズ』では神経内科学教室講師兼リスクマネジメント委員会委員長として活躍し、未来を舞台とした2022年では東城大学医学部教授[7] として栄達しており、一人の人物の時間の流れが表現されているのも海堂作品の特徴である。
桜宮市
- 田口公平
- 東城大学医学生[6][8]→同大学医学部付属病院神経内科学教室講師及び、不定愁訴外来責任者[18]→同病院教授。[7] 他の院内の役職はリスクマネジメント委員会委員長。[18] 電子カルテ導入委員会委員長。東城大学Aiセンターセンター長。
- 同期の速水晃一、島津吾郎からは「行灯」と、また他の病院関係者からは陰で「グッチー」と呼ばれている。
- 速水晃一
- 東城大学医学生[6][8]→同大学医学部付属病院総合外科学教室[9]→同病院オレンジ新棟救命救急センター部長[19]→極北救命救急センター副センター長。[14][17]
- 「ジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)」の異名を持つ救命医。
- 高階権太
- 帝華大学医学部第一外科講師→東城大学医学部付属病院総合外科学教室講師[6][20]→同病院消化器腫瘍外科ユニット教授及び病院長[10][18]→同大学学長。[7]
- 田口に何かと厄介事を押しつける。また医学生時代より剣道に勤しみ帝華大学、東城大学医学部剣道部の顧問を務める。[8]
- 世良雅志
- 東城大学医学生→同大学医学部付属病院総合外科学教室[6][20]→極北市民病院院長。[14][17]
- 医学生時代はサッカー部に所属し、東城大学医学部付属病院で研修医生活を送ったのち病院再建請負人として極北の地を踏む。
東京
- 白鳥圭輔
- 帝華大学医学生→厚生労働省大臣官房秘書課付技官及び、医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長。[18]
- 「ロジカル・モンスター」、「火喰い鳥」の異名を持つ官僚の異端児。
- 姫宮香織
- 厚生労働省大臣官房秘書課付医療技官及び、医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長補佐[18]。
- 桃色フレームのメガネがトレードマークの長身な美女だが、出会った男性の多くには"モデル系美人"というよりも"デカイ"という印象を与えている。医師免許、国家公務員試験主席合格に加え司法試験合格など頭脳明晰の才媛で、各省庁や機関がこぞって彼女の獲得を狙っていた(現在も狙っている省庁は多い)逸材だが、彼女は白鳥の部下に着く事を望んだ。非常に優秀なはずなのに、数々の医療機器を破壊し患者に怪我を負わせる不器用な面がある。
- 白鳥の唯一の部下で、白鳥の命令で東城大学医学部付属病院オレンジ新棟、[19] 碧翠院桜宮病院、[5] 極北市民病院[14] に医療従事者として潜入する。
- 曾根崎理恵
- 東城大学医学生→帝華大学医学部付属病院産婦人科学教室助教[13][15]→セント・マリアクリニック院長。
- 顕微鏡下人工授精のエキスパートで「クール・ウィッチ(冷徹な魔女)」の綽名を持ち、日本学術会議が自主規制している代理母出産に手を染める。
- 清川吾郎
- 帝華大学医学生[8]→帝華大学医学部産婦人科学教室准教授。[13][15]
- 「ラパロスコピック・ゴッドハンド(腹腔鏡下手術の神の手)」と呼ばれるほどの高い技術を持つ産婦人科医。医学生時代は医鷲旗大会で速水と竹刀を交える。
極北市
- 今中良夫
- 極北大学医学部第一外科→極北市民病院外科部長→[14] 同病院副病院長→[17] 極北救命救急センター。[17]
- 極北市民病院の内情を憂い改善に奮闘する。室町病院長の命令で極北市民病院の病院環境改善検討委員会、リスクマネジメント委員会、医療事故調査委員会の委員長を務める。
浪速府
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- ^ 『野性時代』(角川書店)2009年1月号「海堂尊 解体新書」より。
- ^ a b ジェネラル・ルージュの伝説 海堂尊ワールドのすべてより
- ^ 同一人物による複数の小説や楽曲がどれを読んでも聞いても「この人の作品だと」認識するのは、その人物が持つ虚数空間が同じだからという解釈によるもの。
- ^ 『文蔵』 2009年7月号より
- ^ a b c 螺鈿迷宮
- ^ a b c d e f g ブラックペアン1988
- ^ a b c d e 医学のたまご
- ^ a b c d e f g ひかりの剣
- ^ a b c d ジェネラル・ルージュの伝説
- ^ a b c d e モルフェウスの領域
- ^ a b 玉村警部補の災難
- ^ a b c d e 夢見る黄金地球儀
- ^ a b c ジーン・ワルツ
- ^ a b c d e f g h 極北クレイマー
- ^ a b c d マドンナ・ヴェルデ
- ^ a b c d ナニワ・モンスター
- ^ a b c d e 極北ラプソディ
- ^ a b c d e 田口・白鳥シリーズ
- ^ a b c d e f ジェネラル・ルージュの凱旋
- ^ a b c d ブレイズメス1990
- ^ a b c ナイチンゲールの沈黙
- ^ a b c d チーム・バチスタの栄光
- ^ a b イノセント・ゲリラの祝祭
- ^ a b アリアドネの弾丸
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