隠し球 隠し球に関する記録

隠し球

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/13 05:20 UTC 版)

隠し球に関する記録

日本プロ野球

日本プロ野球で隠し球をはじめて成功させたのは苅田久徳と言われているが[11]、その苅田は六大学時代に、法政大学のチームメイトだった若林忠志から教えてもらったと話している[12]。苅田は1933年都市対抗野球でも隠し球を記録している[13]

1970年に1年で4度も成功させた大下剛史東映フライヤーズ)や[14]広島東洋カープで大下の教えを請うた木下富雄(通算2度成功)[15]、そのほか南海ホークスなどで活躍した飯田徳治[14]、同じく南海の立石充男[1]読売ジャイアンツ元木大介(通算2度成功)[16]らが名手として有名だった。元木によると、隠し球を敢行する際には「投手の演技力」も重要であるとしており、通算2回成功させた際にそれぞれ関わった桑田や斎藤雅樹は「ボールを持っているふり」が上手かったが、逆に槙原寛巳は演技が下手だった為、槙原の挙動の変化が原因で走者に隠し球の企図を見破られた事もあったという[17]

シーズン記録では前述の大下の他、1983年に3度成功させたティム・アイルランド(広島)が続くが、アイルランドはユニフォームの袖の中(脇の下)にボールを隠すという手法を用いており[16]、後に木下もこの手法を採用した[15]

佐伯貴弘横浜ベイスターズ在籍時に通算3度成功させている。

山﨑浩司は広島東洋カープ時代の2007年オリックス・バファローズ時代の2009年に2度達成し、両リーグで隠し球を成功させている[18]

上記の2009年の山﨑による隠し球以降、2020年シーズン終了現在、NPBにおける隠し球の成功例はない[16][19]

2010年代以降は、守備側もボールの傷や汚れによる変化球への影響や、異物の付着による攻撃側からの反則投球の指摘などを警戒する風潮から[20]、プレイが止まった際にタイムを取って球審に対して「ボールの交換」を要求する事が増えてきた事も、隠し球の成立をより困難にする要因の一つとされている[16]今浪隆博も「今の近代野球の方がタイムをかける割合っていうのが多いねん」と指摘している[21]

メジャーリーグベースボール

メジャーリーグベースボールでは、正確な記録ではないものの[22]、かつてデトロイト・タイガースの三塁手だったビル・コーリンが、判っているだけで計9度の隠し球を成功させたとされている。コーリンは1907年のワールドシリーズでも隠し球を成功させており、現在ワールドシリーズ唯一の記録となっている。

隠し球を多く成功させている他の選手としては、ジョージ・ストヴォールとフランク・クロセッティが6度、スティック・マイケルが5度成功させたとされている。

隠し球を使って三重殺を完成させた事例が、メジャーリーグには2例ある(三重殺の項目を参照)。


  1. ^ a b c d e f g 室井昌也 (2015年5月29日). “31年前の珍プレー 日本一有名な「隠し球」の主役たち”. 韓国プロ野球応援サイト ストライク・ゾーン. 2021年6月1日閲覧。
  2. ^ 読売新聞1999年4月4日、27頁
  3. ^ 戦時中の野球ルール
  4. ^ http://www.jhbf.or.jp/rule/specialrule/ 高校野球特別規則 2010年7月31日閲覧
  5. ^ 「◆丸子修学館高校野球部、甲子園を目指す強力な指導体制!新コーチに宮崎郁男さん(64)=長野県上田市秋和=が就任! 同校野球部OBで甲子園出場経験 長野県 上田市」『東信ジャーナル』 2012年3月7日付
  6. ^ 上宮・元木大介、隠し球で抗議電話 初甲子園で見せた「くせ者」の片鱗”. J:COM番組ガイド (2020年3月26日). 2021年5月9日閲覧。
  7. ^ 西武vs南海 11回戦 - 日本プロ野球記録
  8. ^ 4人がかり"史上最大の隠し球" 走者騙されベンチ唖然、気づいた「打者の憤りよ」 - Full-Count
  9. ^ Pitcher completely fools baserunner with elaborate hidden-ball trick - For The Win
  10. ^ Delaware Post One wins American Legion World Series - Delawareonline.com
  11. ^ 1936年、日本プロ野球初年度最初の公式戦、甲子園球場で春に行われた「第1回日本職業野球リーグ戦」の5月4日、セネタース×タイガース戦で記録した。同じ試合で大阪タイガース・藤井勇が日本プロ野球第1号ホームランを放っている(定本・プロ野球40年、報知新聞社、1976年12月、66頁)。
  12. ^ 高橋安幸 『伝説のプロ野球選手に会いに行く』 白夜書房、2008年、32頁
  13. ^ 東京倶楽部のメンバーとして大連実業団との準決勝延長11回裏に記録(小川正太郎、鈴木美嶺、松尾俊治 『都市対抗野球優勝物語』 ベースボールマガジン社、1956年、53頁)。
  14. ^ a b 竹中半平『背番号への愛着』あすなろ社、1978年、172頁
  15. ^ a b 【昭和野球列伝】隠し球の隠し場所は広島・木下の脇の下だった - サンスポ
  16. ^ a b c d “かつてはイチローも魔の手に…球界の“絶滅危惧プレー”?「隠し球」を振り返る”. BASEBALL KING. (2021年4月13日). https://baseballking.jp/ns/column/272817 2021年6月1日閲覧。 
  17. ^ 上宮・元木大介、隠し球で抗議電話。初甲子園で見せた「くせ者」の片鱗【二宮清純コラム】 - J:COMテレビ番組ガイド
  18. ^ オリ山崎浩、隠し球効果で1500万円増 日刊スポーツ 2009年12月4日
  19. ^ “プロ最後の「隠し球」も昔…名手の証言から迫る極意”. 日刊スポーツ. (2020年4月26日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/202004250000437.html 2021年6月1日閲覧。 
  20. ^ プロ野球でボールをすぐ変えるのはなぜ?交換後はどうなるのかも! - スポーツなんでも情報クラブ
  21. ^ プロ野球から「隠し球」が消えて13年。隠し球はなぜ絶滅したのか? 今浪隆博のスポーツメンタルTV 2022/09/02 (2024年3月13日閲覧)
  22. ^ 野球記録調査団体であるレトロシートが、2007年頃まで調査結果をweb上に公表していた。


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