遠藤胤統 経歴

遠藤胤統

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/23 04:00 UTC 版)

経歴

寛政5年(1793年)11月22日、美濃大垣藩の第7代藩主・戸田氏教の三男として江戸呉服橋の戸田屋敷で生まれる。享和元年(1801年)12月8日、三上藩の第4代藩主・遠藤胤富の養子となる。文化6年5月15日、将軍徳川家斉に拝謁する。文化8年(1811年)6月23日に胤富が病で隠居したため家督を継ぎ、12月11日に従五位下・但馬守に叙位・任官する。

文化9年(1812年)2月3日に江戸城田安門番に任じられ、4月17日に日光祭祀奉行に任じられる。その後も大坂城青屋口加番、江戸城馬場先御門守衛、大坂城雁木坂加番、大坂城玉造口定番など諸役を歴任した。

天保8年(1837年)の大塩平八郎の乱の際には玉造口定番を務めていた。京橋口定番は米倉昌寿であったがまだ着任していなかったため、胤統が両口の守備を兼務し、大坂城代土井利位の下で鎮圧に功績を挙げた。大久保忠真松平乗寛水野忠邦の三老中連署の感状が贈られ、将軍家斉からは鞍鐙が下賜された。

第11代将軍・徳川家斉と第12代将軍・家慶の双方から信を受けて天保12年(1841年)8月10日、若年寄に任じられ、嘉永4年(1851年)まで10年間務めた。嘉永5年(1852年)12月25日、江戸城御勝手掛および西ノ丸造営奉行、海岸防御筋御用掛を命じられ、2000石の加増を受けて領地は計1万2000石となる。

胤統が構築に関わった第六台場
胤統と樺太問題で交渉したニコライ・ムラヴィヨフ=アムールスキーの肖像画(1863年)

幕末期の幕政にも参与し、徳川将軍家の諸大名との婚姻の事務関係の処理を務め、ロシアとの領土交渉や、第14代将軍・徳川家茂和宮の婚姻をまとめる功も挙げている。和宮の関東御下向の際には、婚姻大礼御用掛を勤めた。

安政元年(1854年)内海台場築造用掛(お台場)を命じられ、万延元年(1860年)4月15日には城主格に任じられ、本丸造営御用掛に就任、5月には国益主法御用掛、外国貿易筋御用掛に就任した。

安政6年(1859年)、ロシアの東シベリア総督ニコライ・ムラヴィヨフ=アムールスキーが、自ら軍艦7隻を率いて江戸湾の品川に来航。樺太全土は露領と威嚇、主張したが、同年7月26日、虎ノ門天徳寺における江戸幕府とムラヴィヨフの会談の席上、幕府は外国事務掛の胤統と酒井忠毗を通してこれを完全に退けた。

安政7年3月3日(1860年3月24日)早朝、桜田門外の変により、大老井伊直弼は討たれた。井伊家の行列に襲撃をかけた実行犯の一人、有村次左衛門が直弼の首級を掲げて現場を離れたが、有村は深手を負っており逃走不能と判断し、遠藤家屋敷の門前で自決を図った。有村は遠藤家藩邸内に収容されたが、同日中に死亡した。たまたま遠藤家の門前であっただけなのだが、これにより”井伊直弼の首級”を遠藤家が入手してしまい、直弼に対しあまり良い感情を持っていなかった胤統ら遠藤家側と、首級の返還を求める井伊家との間で、返還交渉は同日夕方まで押し問答となった。

万延元年(1860年)7月、老齢を理由に諸役を免ぜられたが、文久元年(1861年)4月16日、軍制用掛・陸海軍備向に任じられた。7月15日に従四位下に昇叙され、7月19日には民部大輔に遷任された。この官位は1万石クラスの大名としては異例の高位である。

文久3年(1863年)10月7日、老齢を理由に隠居を許され、家督を三男の胤城に譲って引退した。それでもなお、元治元年(1864年)12月19日には中務大輔に遷任するなど、幕府の信は厚かった。

明治3年(1870年)9月25日に死去。享年78。




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