運動量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/20 16:05 UTC 版)
質点系の運動
運動量は加法的な量であり、系の全運動量は部分の運動量の和で表される。
質点系の全運動量 P は、質点 i = 1, 2, 3,... の運動量 pi = mivi = midri/dt とすれば
となる。 ここで質点系の全質量 M と質量中心 rg を
により導入すれば
となる。 即ち、質点系の全運動量は、質量中心に全質量が集中していると考えたときの運動量に等しい。
質点 i の運動量 pi の時間変化は、質点 i に作用する力 Fi に等しく
を満たす。 ここで質点 i に作用する力は、質点系の外部から作用する外力と、系に含まれる他の質点との内部相互作用に分けられる。 質点 i に作用する外力を fi、質点 j から質点 i に作用する内力を fij とすれば
と表される。 ただし、質点 i から質点 i 自身に作用する力は fii = 0 とする。 全運動量の時間変化を考えると
となる。 ここで運動の第3法則から、質点 j から質点 i に作用する力 fij と 質点 i から質点 j に作用する力 fji は大きさが等しく符号が逆なので
が成り立ち、内力を全て足し合わせたものは 0 となる。 従って
となり、質点系の全運動量の時間変化は作用する外力の総和と等しい。 これは、重力などの単純な外力の下では質量中心の運動が相対位置の運動から分離できることを意味している。
注釈
出典
- ^ 松田 1993, p. 21.
- ^ Newton 1729, Axioms, or Laws of Motion; Law II.
- ^ 須藤 2008, pp. 42–43, 48–51, §5 ハミルトン形式と正準変換.
- ^ 須藤 2008, pp. 42, 51, §5 ハミルトン形式と正準変換.
- ^ a b c 須藤 2008, pp. 202–204, 付録 A 電磁場の古典論.
- ^ 砂川 1987, p. 234, 第 5 章 §2 電磁場のエネルギーと運動量.
- ^ 砂川 1987, pp. 156–160, 234–240, 第 3 章 §5 定常電流間に作用する力; 第 5 章 §2 電磁場のエネルギーと運動量.
- ^ 須藤 2008, pp. 45–47, 5.2 ルジャンドル変換.
- ^ 田崎 2000, pp. 259–270, 270–278, 付録 G. 凸関数; H. Legendre 変換.
- ^ ランダウ & リフシッツ 2008.
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