LS結合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 16:11 UTC 版)
軽い原子(一般的にZ < 30)では、電子スピンsi は互いに相互作用しているので、結合して全スピン角運動量Sを作る。同じことが軌道角運動量ℓi でも起こり、全軌道角運動量Lを作る。量子数LとSの間の相互作用は「ラッセル–サンダーズ結合」または「LS結合」と呼ばれる。この場合、SとLは結合して全角運動量Jを作る。 J ^ = L ^ + S ^ {\displaystyle {\hat {\mathbf {J} }}={\hat {\mathbf {L} }}+{\hat {\mathbf {S} }}} ここで L ^ = ∑ i ℓ i ^ {\displaystyle {\hat {\mathbf {L} }}=\sum _{i}{\hat {{\boldsymbol {\ell }}_{i}}}} S ^ = ∑ i s i ^ {\displaystyle {\hat {\mathbf {S} }}=\sum _{i}{\hat {\mathbf {s} _{i}}}} LS結合では、 J ^ 2 {\displaystyle {\hat {\mathbf {J} }}^{2}} 、 J ^ z {\displaystyle {\hat {J}}_{z}} を指定する以下の量子数J, Mもよい量子数となる。 J = | L − S | , | L − S | + 1 , ⋯ , L + S {\displaystyle J=|L-S|,|L-S|+1,\cdots ,L+S} 、 M = − J , − J + 1 , ⋯ , J {\displaystyle M=-J,-J+1,\cdots ,J} このようなL, S, J で指定される状態をラッセル–サンダーズ状態という。スピン軌道相互作用まで考えれば、L とS は良い量子数ではなく、J とM だけが良い量子数となる。この場合1つのエネルギー準位は、同じJ、Mを持つラッセル–サンダーズ状態の線形結合で表される。そこで原子のエネルギー準位はしばしば最も寄与の大きいラッセル–サンダーズ状態を使って2S+1LJ のように表記して区別される。 LS結合は外磁場が弱い場合、良い近似を与える。強い磁場では、2つの角運動量はデカップルすることでエネルギー準位における異なる分裂パターンを引き起こし(パッシェン-バック効果)、LS結合項を小さくする。 他のLS結合の適応例については項記号を参照。
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