聖家族 (ミケランジェロ) 『聖家族』に影響を与えた作品

聖家族 (ミケランジェロ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/26 03:45 UTC 版)

『聖家族』に影響を与えた作品

『聖家族』に影響を与えたレオナルド・ダ・ヴィンチの『聖アンナと聖母子』の完成版(1510年)

『聖家族』の構成は、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画『聖アンナと聖母子』の下絵の影響を多少なりとも受けている[22]。『聖アンナと聖母子』の初期の下絵同様、ミケランジェロが描いた聖家族は押し込むように小さなスペースにまとめられ、ダ・ヴィンチの肖像画に良く見られる左右対称の三角形の構図が採用されている。ミケランジェロはフィレンツェでダヴィデ像を制作していた1501年に、ダ・ヴィンチが描いた『聖アンナと聖母子』の下絵を目にしていたことがわかっている[12]

『ラオコーン像』

また、『聖家族』はシニョレッリの作品で、ウフィツィ美術館所蔵のメディチ家の聖母マリアとの関連性も指摘されている[23]。シニョレッリを賞賛していたミケランジェロはこの作品もおそらく知っており、そのアイディアを自身の作品にも取り入れたいと考えた可能性が高い。シニョレッリの『聖母マリア』は『聖家族』と同じ円形画で、地面に直接マリアが座り、その背景に裸体の男性たちが描かれている作品である[11]

このような類似点は古代の紅縞メノウのカメオや、15世紀のドナテッロの円形彫刻にも見られる。例えば円形だったり、筋肉の表現手法、男性のような身体のマリアなどであり、当時フィレンツェのメディチ・リッカルディ宮殿に所蔵されていたこれらの作品をミケランジェロが目にしていても不思議ではない[23]。『聖家族』に描かれたマリアの右腕はカメオに彫刻されたサテュロスの腕に酷似し、さらにカメオのサテュロスの肩には幼児が乗せられており、これは幼児キリストがマリアの肩にある構図と非常によく似ている[16]

古代彫刻『ラオコーン像』にも影響を受けていると指摘する学者たちもいる。1506年に発掘されたこの彫刻はミケランジェロにとって馴染み深いものだった可能性がある[7]。『聖家族』の背景に描かれた裸体の男性たちのポーズや肉体表現は、『ラオコーン像』の蛇に巻きつかれて身体をよじっている男性像によく似ている。

さらに額縁から立体的に突き出している5つの頭部は、ルネサンス初期の彫刻家ギベルティのフィレンツェ、サン・ジョヴァンニ洗礼堂の扉彫刻『天国への門』などにも見られるように、当時よく使われたモチーフだった。そしてこの彫刻をミケランジェロが絶賛していたことはよく知られていた[13][15]




  1. ^ en:The Torment of Saint Anthony (Michelangelo), a copy, was done when he was twelve or thirteen
  2. ^ Hayum,209
  3. ^ Hayum,211
  4. ^ 他にミケランジェロはアニョロ・ドーニの肖像画も描いている
  5. ^ a b c Hayum,210
  6. ^ イタリア語の題名「Tondo Doni」は「ドーニ家の円形画」という意味になり、日本では『ドーニ家の聖家族』と呼ばれることもある
  7. ^ a b Painted Devotional Tondi, 219
  8. ^ a b c d d’Ancona, 43
  9. ^ a b d’Ancona, 44
  10. ^ a b c Buzzegoli, 408
  11. ^ a b c d d’Ancona, 45
  12. ^ a b c d e f Hartt and Wilkins, 506
  13. ^ a b c Hayum, 214
  14. ^ ミケランジェロ自身が制作したという説もある
  15. ^ a b c d Painted Devotional Tondi, 220
  16. ^ a b Smith,85
  17. ^ a b d’Ancona, 48
  18. ^ Lost and Partially Found, 31
  19. ^ Zimmer, 60
  20. ^ Hartt and Wilkins, 507
  21. ^ Grove, 442
  22. ^ 現在『聖アンナと聖母子』はパリのルーブル美術館所蔵で制作年度は1510年頃だが、ロンドンのナショナル・ギャラリーに所蔵されているものなど、下絵は1500年以前から制作されている
  23. ^ a b Smith, 84
  24. ^ d’Ancona, 46
  25. ^ d’Ancona, 46–47
  26. ^ Barolsky, 11
  27. ^ Barolsky, 8
  28. ^ Hayum, 218
  29. ^ Hayum 217-218
  30. ^ Hayum, 216
  31. ^ Painted Devotional Tondi, 226
  32. ^ a b Painted Devotional Tondi, 221
  33. ^ Painted Devotional Tondi, 224-225


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