索道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/21 07:55 UTC 版)
各国での利用
日本
日本は世界有数のロープウェイの基数を有しており、大半は山間部で使用されているが、YOKOHAMA AIR CABINやスカイシャトルといった都市部での導入もされている。
旅客輸送
日本国内では2002年現在、公共輸送システムとして約3,000基が設置されており、年間5億6,000万人余りの旅客を輸送している[1]。
旅客輸送用の索道は、日本では以前は索道規則[注 4]が根拠法令だったが、1987年に廃止され、以後は鉄道と同様に鉄道事業法にもとづいて運営が行われる。同法では「索道事業」を「他人の需要に応じ、索道による旅客又は貨物の運送を行う事業」と定義している。「索道事業」は、原則として国土交通大臣の許可が必要としている(例外は、専ら貨物を運送するものや、国が経営する索道のとき)。こうして同法で「鉄道事業」ではなく「索道事業」に分類されることから、「鉄道事業」に分類されているトロリーバスやモノレールなどと異なり、鉄道として扱われることはほとんどない。ただし、図鑑などには鉄道として掲載されることもある。単にロープウェイというと、支索と曳索が分かれている複線で、人や貨物を載せる搬器にも車輪がついているものを指す。搬器に車輪が備わっておらず単線自動循環式のものは一般的に「ゴンドラリフト(単にゴンドラとも)」と呼ばれる。
日本において索道は鉄道事業法施行規則第47条により「普通索道」と「特殊索道」に分類されている。
- 普通索道とは「扉を有する閉鎖式の搬器を使用して旅客又は旅客及び貨物を運送する索道をいう」とされ、ロープウェイやゴンドラリフトがこれに相当する。
- 特殊索道とは「外部に解放された座席で構成されるいす式の搬器を使用して旅客を運送する索道をいう」とされ、いす式リフトがこれに相当する。なお、滑走式の索道は「いす式の搬器」を備えていないが特殊索道に含まれる。
1997年5月29日の鉄道事業法施行規則改正以前は、特殊索道はさらに甲種・乙種・丙種の3種類に区分されていた。
- 甲種特殊索道とはスキーリフト専用ではない、いす式のリフト(チェアリフト)である。
- 乙種特殊索道とはスキーリフト専用の、いす式のリフトである。
- 丙種特殊索道とは滑走式の索道(Tバーリフト・ロープトゥ・Jバーリフト・プラッターリフト等)である。
貨物輸送
貨物輸送は、旅客輸送に付随して行われるもののほか、専用の索道を利用して行われる。山間部のダム建設現場への資材搬入[11]や伐採した木材の搬出[12]など、目的に応じて規模や設置(仮設)期間。使用する搬器は多様である。
米国
ニューヨークでは都市交通に通勤用・通学用のロープウェイが存在する[1]。
オーストラリア
オーストラリアの著名なロープウェイにスカイレールがある[13]。地球最古と呼ばれる熱帯雨林を通るルートであり、環境への影響を与えないように、建設には世界初の工法が多く採用され、環境に配慮したロープウェイ建設として高く評価され様々な賞を受賞している[13]。
ボリビア
南米にあるボリビアの事実上の首都ラパスとその近郊都市エル・アルトを含む、人口100万人を超える都市圏ではロープウェイ網「ミ・テレフェリコ」の整備が進んでいる。アンデス山脈の山中にあるラパスは標高3600m以上、エル・アルトは同4100m以上という超高地にあり、従来はこの2都市間を結ぶ公共交通は路線バスしかなかったが、2014年に1期線が開業したミ・テレフェリコは地下鉄より安い建設費で高低差のある両都市を結び、1時間あたり片方向3000人の輸送力を持つ3路線は合計で1日あたり8-9万人の輸送人員を記録した。これを受けてボリビア政府は2期線の整備を決定し、2019年3月までに10路線、30.2kmに及ぶ世界最大の都市ロープウェイ路線網が開業した。
注釈
- ^ a b “曳”は常用漢字でないため「えい索」「支えい索」と表記されることもある。
- ^ ただし、谷越えの地形に橋梁を設置して対応する事もある。
- ^ ただし、旧式のロープトゥ・リフトといった単純にロープを掴むだけの物は、自分のタイミングでロープに掴まるだけで良いのでそれほどの技量を必要とせず、特に初心者には使いやすい。
- ^ 前身は索道事業規則(「逓信省令第36号」『官報』1927年9月3日)。1926年(大正15年) 紀伊自動車が旅客索道の認可申請を行なった時点では根拠法令が存在せず、貨物索道の拡大解釈という形で三重県の認可によって営業を開始した。
- ^ 「ひばり号」は空中ケーブルカーと呼ばれ、東急百貨店の東館(当時は「東横百貨店」)から西館(当時は玉電ビル)を回遊して戻る全長75mのルートで運行されたが、西館での下車はできず、定員12名ながら子どものみ乗車可能という制約もあったため、遊園地の遊具に近い性質を持っていた。ただし、東京の中心商業地でその路線が私有地を越えた例も(当時の日本国有鉄道の渋谷駅の上空を通過した)、展覧会輸送などの期間限定ではなく通年で市街地内運行が行われた例も、日本の索道・ロープウェイ史上で類似事業はない。
出典
- ^ a b c d e f g h i j 千島美智男. “ロープウェイの安全技術”. 国際交通安全学会. 2017年12月17日閲覧。
- ^ 明・曹学佺 《蜀中広記》
- ^ “Recent Developments in Cable-Drawn Urban Transport Systems”. mas.rs. 2015年11月17日閲覧。
- ^ “ラジキャリー”. イワフジ工業株式会社. 2020年5月14日閲覧。
- ^ “新交通システム・都市型自走式ロープウェイ Zippar”. Zip Infrastructure株式会社. 2021年5月3日閲覧。
- ^ “黒部ダム建設の記録 コンクリートの打設”. ダム便覧. 2020年5月14日閲覧。
- ^ “ロープウェイの変遷 » ロープウェイ/谷川岳ロープウェー株式会社”. www.tanigawadake-rw.com. 2021年11月29日閲覧。
- ^ 索道観察日記 (2005年9月10日). “山口きらら博パルスゴンドラ「きらゴン」~初の冷房付きゴンドラ”. 2021年1月4日閲覧。
- ^ “索道の空調装置付き搬器” (2017年4月6日). 2021年1月4日閲覧。
- ^ “2021年春に開業! 横浜 貨物線跡の上空に“新たな鉄道” 泉陽興業がつくる国内初 世界最新 都市型循環式ロープウェイ”. 鉄道チャンネル (2021年1月3日). 2021年1月4日閲覧。
- ^ “索道、ケーブルクレーン、”. 加越技建工業. 2020年5月14日閲覧。
- ^ “「索道について」”. 丸架索道. 2020年5月14日閲覧。
- ^ a b 『るるぶ ケアンズ ゴールドコースト 2017』、17頁。
- ^ “新しい都市交通システム エアートラム(都市型ロープウェイ)”. 一般社団法人 日本索道工業会. 2019年3月13日閲覧。
- ^ “Urban”. Doppelmayr Seilbahnen GmbH. 2019年3月13日閲覧。
- ^ “Urban ropeways as public means of transport”. LEITNER ropeways. 2019年3月13日閲覧。
- ^ “東京五輪前に開業へ 新港地区-桜木町ロープウエー計画”. カナロコ. (2019年2月13日)
- ^ “Koblenz”. CWA Constructions SA. 2020年4月4日閲覧。
- ^ “London”. CWA Constructions SA. 2020年4月4日閲覧。
- ^ “La Paz - El Alto”. CWA Constructions SA. 2020年4月4日閲覧。
- ^ “ホンマでっか!?渋谷駅~東横線渋谷駅&東急東横店にまつわる雑学14連発 1と3/4番線”. 渋谷文化プロジェクト. 2019年12月10日閲覧。
- ^ “東京臨海部の貧弱交通はロープウェーが救う”. 東洋経済オンライン. 2019年3月13日閲覧。
- ^ “ヨコハマ都心臨海部のまちを楽しむ多彩な交通”. 横浜市 (2018年5月24日). 2019年3月27日閲覧。
- ^ “スキーリフト | JFEプラントエンジ株式会社”. www.jfe-planteng.co.jp. 2019年3月27日閲覧。
- ^ 十津川探検 ~十津川巡り~「野猿」 十津川かけはしネット(十津川村教育委員会)
- ^ 鬼怒グリーンパーク 水上アスレチック(宝積寺)
- ^ 鬼怒グリーンパーク公式Instagram 写真ギャラリー
- ^ 那賀川倶楽部2007年11月号 - ウェイバックマシン(2012年1月13日アーカイブ分) (PDF) 四国地方整備局那賀川河川事務所
- ^ 失われたロープウェイ 五台山ロープモノレール
- ^ 永井正夫「事故および潜在的事故に学ぶ安心安全(ロープウェイ事故から自動車事故)」『計測と制御』第45巻第1号、計測自動制御学会、2006年1月、75-80頁、doi:10.11499/sicejl1962.45.75、ISSN 04534662、NAID 10017154578。
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