索道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/21 07:55 UTC 版)
分類
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単線自動循環式のゴンドラ、ハノーヴァー万国博覧会の会場にて
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愛知万博の会場内交通「キッコロゴンドラ」、自動循環式の普通索道(ゴンドラリフト)
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滑走式リフト(スイス)
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単線自動循環式の6人乗りリフト(オーストリア)
支持牽引方法
- 複線(二線式)
- 搬器を支える支索と搬器を牽引する曳索とに索条が分かれているものである。通常の鉄道における複線とは意味が異なり、複数の索条があることをさすものではない。
- 三線式[7]
- 複線の曳索が二本あるもの。かつては安全面から曳索を二本以上備えることが法令で定められていたため用いられた。また欧州など日本国外では、日本とは逆に支索が二本で曳索が一本の方式が普及しており、この中で自動循環式のものは3Sロープウェイと呼ぶ。
- 単線
- 1本の索条(支曳索)で搬器を支え牽引するもの。これも通常の鉄道における単線とは意味が異なる。リフト、ゴンドラリフトはこれに当たる。
- 複式単線
- 2本の並行させた支曳索で搬器を支え牽引するもの。横風に強い利点がある。2本の支曳索の間隔が搬器の横幅より広いものをフニテル(Funitel)と呼ぶ。
走行方式
- 交走式
- 起点停留場と終点停留場間に架空された支索に2台の搬器を懸垂させ、これらを曳索で接続して駆動させることで搬器が交互に行き交うようにした方式[1]。つるべ式に2つの搬器が往復するもので、ケーブルカーと同様の方式である。搬器は常に同じ側の索条を往復し、片道分の時間がそのまま待ち時間となるため、輸送力は循環式に比べると多くはない。このため搬器は定員数十名から100名ほどの大型の物が多い。
- 固定循環式
- 起点停留場と終点停留場の滑車間に架空された支曳索に、搬器を一定間隔で懸垂し、握索装置を利用して循環させる方式[1]。ほとんどは定員1 - 8名のチェアリフトが使われ、スキー場などの特殊索道で多く導入されている。基本的に乗降時の減速は無いが、普通索道では乗降時に路線上の全ての搬器を減速または停止させるパルスゴンドラという方式があるほか、スキー場のチェアリフトにおける近年の物は係員への申し出によっての減速操作が可能となっている。その他、乗車停留場に「ローディングカーペット」と呼ばれるベルトコンベア様式の乗車補助装置が設けられる事もある。ローディングカーペットの速度をチェアリフト搬器よりもやや遅く動かす事で地面・ローディングカーペット・チェアリフト搬器とのそれぞれの相対的な速度差を小さくして乗りやすくする。
- 自動循環式
- 自動循環式は、起点停留場と終点停留場の滑車間に架空された支曳索又は曳索を循環させ、搬器に自動握索装置を設けて停留場への到着時には自動的に放し(放索)、出発時には搬器速度に合わせて固定(握索)するようにした方式[1]。定員4 - 12名ほどの小型の搬器(ゴンドラリフト等)や、スキー場などの定員2 - 8名の高速リフト(デタッチャブルリフト)でよく使用される。乗降時には固定循環式よりも低速になり、線路上ではかなりの高速となるため、近年の主流となっている。
- 滑走式
- 滑走式は、旅客がスキー・スノーボード等の滑走具を装着したまま、搬器に掴まる・跨がる・背中や腰にあてがうなどして雪面上を移動する方式[1]。総称として滑走式リフトやシュレップリフト等と言い、構造によりロープトゥ・リフト、Tバーリフト、Jバーリフト、プラッターリフト、リングバーリフトと呼ばれるほか、テレスキー・シュレップリフト等とも呼ばれる。設置費用は最も安く済むが、構造上、極端な急斜面や谷を挟んだ地形[注 2]などで使用する事は出来ず、ほとんどは初心者向けコースに設置されるが、その乗降や滑走にはある程度のスキーの技量が要求される[注 3]。また、ロープウェイや他の構造のリフトと異なり全線の圧雪・平滑化・除雪(必要以上に雪が降り積もった場合)等のコース整備が必要である。なお、滑走式リフトはマジックカーペットと呼ばれる、スキーヤー・スノーボーダー等がベルトコンベア様式のベルトに乗って上昇する物も含まれている。
動力
ほとんどの索道で電動機を動力源としており、その電動機は始点駅または終点駅のどちらかに設置されているものがほとんどである。なお、停電時は使用できないため、ディーゼルエンジンなどの非常用発動機が装備されている。構造上、貨物用など限られた搬器以外は動力を持たず、電力供給も受けないことが多い。ただし、電力供給については3Sロープウェイでの例はある。
日本においては、山口きらら博のパルスゴンドラ「きらゴン」で初めて空調装置を搭載した搬器が登場した。これは内燃機関発電機を搭載した電源専用の小型搬器を、乗客用搬器後部に連結する形態を採用していた[8][9]。またYOKOHAMA AIR CABINでは、駅において急速充電を行うバッテリーシステムを搬器に搭載し、空調装置やLED照明、安全監視装置などの電力供給を行えるようになった[10]。
注釈
- ^ a b “曳”は常用漢字でないため「えい索」「支えい索」と表記されることもある。
- ^ ただし、谷越えの地形に橋梁を設置して対応する事もある。
- ^ ただし、旧式のロープトゥ・リフトといった単純にロープを掴むだけの物は、自分のタイミングでロープに掴まるだけで良いのでそれほどの技量を必要とせず、特に初心者には使いやすい。
- ^ 前身は索道事業規則(「逓信省令第36号」『官報』1927年9月3日)。1926年(大正15年) 紀伊自動車が旅客索道の認可申請を行なった時点では根拠法令が存在せず、貨物索道の拡大解釈という形で三重県の認可によって営業を開始した。
- ^ 「ひばり号」は空中ケーブルカーと呼ばれ、東急百貨店の東館(当時は「東横百貨店」)から西館(当時は玉電ビル)を回遊して戻る全長75mのルートで運行されたが、西館での下車はできず、定員12名ながら子どものみ乗車可能という制約もあったため、遊園地の遊具に近い性質を持っていた。ただし、東京の中心商業地でその路線が私有地を越えた例も(当時の日本国有鉄道の渋谷駅の上空を通過した)、展覧会輸送などの期間限定ではなく通年で市街地内運行が行われた例も、日本の索道・ロープウェイ史上で類似事業はない。
出典
- ^ a b c d e f g h i j 千島美智男. “ロープウェイの安全技術”. 国際交通安全学会. 2017年12月17日閲覧。
- ^ 明・曹学佺 《蜀中広記》
- ^ “Recent Developments in Cable-Drawn Urban Transport Systems”. mas.rs. 2015年11月17日閲覧。
- ^ “ラジキャリー”. イワフジ工業株式会社. 2020年5月14日閲覧。
- ^ “新交通システム・都市型自走式ロープウェイ Zippar”. Zip Infrastructure株式会社. 2021年5月3日閲覧。
- ^ “黒部ダム建設の記録 コンクリートの打設”. ダム便覧. 2020年5月14日閲覧。
- ^ “ロープウェイの変遷 » ロープウェイ/谷川岳ロープウェー株式会社”. www.tanigawadake-rw.com. 2021年11月29日閲覧。
- ^ 索道観察日記 (2005年9月10日). “山口きらら博パルスゴンドラ「きらゴン」~初の冷房付きゴンドラ”. 2021年1月4日閲覧。
- ^ “索道の空調装置付き搬器” (2017年4月6日). 2021年1月4日閲覧。
- ^ “2021年春に開業! 横浜 貨物線跡の上空に“新たな鉄道” 泉陽興業がつくる国内初 世界最新 都市型循環式ロープウェイ”. 鉄道チャンネル (2021年1月3日). 2021年1月4日閲覧。
- ^ “索道、ケーブルクレーン、”. 加越技建工業. 2020年5月14日閲覧。
- ^ “「索道について」”. 丸架索道. 2020年5月14日閲覧。
- ^ a b 『るるぶ ケアンズ ゴールドコースト 2017』、17頁。
- ^ “新しい都市交通システム エアートラム(都市型ロープウェイ)”. 一般社団法人 日本索道工業会. 2019年3月13日閲覧。
- ^ “Urban”. Doppelmayr Seilbahnen GmbH. 2019年3月13日閲覧。
- ^ “Urban ropeways as public means of transport”. LEITNER ropeways. 2019年3月13日閲覧。
- ^ “東京五輪前に開業へ 新港地区-桜木町ロープウエー計画”. カナロコ. (2019年2月13日)
- ^ “Koblenz”. CWA Constructions SA. 2020年4月4日閲覧。
- ^ “London”. CWA Constructions SA. 2020年4月4日閲覧。
- ^ “La Paz - El Alto”. CWA Constructions SA. 2020年4月4日閲覧。
- ^ “ホンマでっか!?渋谷駅~東横線渋谷駅&東急東横店にまつわる雑学14連発 1と3/4番線”. 渋谷文化プロジェクト. 2019年12月10日閲覧。
- ^ “東京臨海部の貧弱交通はロープウェーが救う”. 東洋経済オンライン. 2019年3月13日閲覧。
- ^ “ヨコハマ都心臨海部のまちを楽しむ多彩な交通”. 横浜市 (2018年5月24日). 2019年3月27日閲覧。
- ^ “スキーリフト | JFEプラントエンジ株式会社”. www.jfe-planteng.co.jp. 2019年3月27日閲覧。
- ^ 十津川探検 ~十津川巡り~「野猿」 十津川かけはしネット(十津川村教育委員会)
- ^ 鬼怒グリーンパーク 水上アスレチック(宝積寺)
- ^ 鬼怒グリーンパーク公式Instagram 写真ギャラリー
- ^ 那賀川倶楽部2007年11月号 - ウェイバックマシン(2012年1月13日アーカイブ分) (PDF) 四国地方整備局那賀川河川事務所
- ^ 失われたロープウェイ 五台山ロープモノレール
- ^ 永井正夫「事故および潜在的事故に学ぶ安心安全(ロープウェイ事故から自動車事故)」『計測と制御』第45巻第1号、計測自動制御学会、2006年1月、75-80頁、doi:10.11499/sicejl1962.45.75、ISSN 04534662、NAID 10017154578。
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