等濃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/13 13:23 UTC 版)
デデキント無限集合
集合がその真部分集合と等濃になる場合がある(例えば自然数全体の成す集合はその真部分集合である偶数全体の成す集合と等濃である)。そのような集合はデデキント無限であると言う[1][7]。
デデキント無限でない集合が実際に有限集合となることを示すには(選択公理 (AC) よりも弱い)可算選択公理 (ACω) が必要になる。選択公理を持たないツェルメロ–フレンケル集合論 ZF は任意の無限集合がデデキント無限となることを示すには十分な強さではないが、ZF に可算選択公理を加えた ZF+ACω はそれに十分である[9]。集合の有限性と無限性の別な定義では、選択公理を要しない[1]。
各集合算との両立性
等濃性は基数の算術のもとで集合の基本演算と両立する[1]。具体的に例えば非交和との両立性は:
- 命題
- 集合 A, B, C, D は A と C および B と D がそれぞれ互いに素かつ濃度は A ~ B かつ C ~ D であるものとすると A ∪ C ~ B ∪ D が成り立つ。
これは基数の加法を正当化するものである。
あるいは例えば直積との両立性は
- A ~ B かつ C ~ D ならば A × C ~ B × D が成り立つ。
- A × B ~ B × A が成り立つ。
- (A × B) × C ~ A × (B × C) が成り立つ。
というような形で述べられる。これらの性質により基数の乗法が正当化できる。
冪についても、Y から X への写像全体の成す集合を XY と書けば
- A ~ B かつ C ~ D ならば AC ~ BD が成り立つ。
- AB∪C ~ AB × AC (ただし B ∩ C = ∅) が成り立つ。
- (A × B)C ~ AC × BC が成り立つ。
- (AB)C ~ AB×C が成り立つ。
これらの性質により基数の冪が正当化される。
他にも、与えられた集合 A に対してその冪集合(A の部分集合全体の成す集合)は A から二値集合への写像全体の成す集合 2A に等濃である。
圏論的定義
すべての集合を対象としその間のすべての写像を射とする圏 Setにおいて、二つの対象の間の同型射とは二つの集合の間の全単射のことにほかならず、したがって二つの集合が等濃であることはこの圏において同型であるということにほかならない。
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l Suppes, Patrick (1972) [originally published by D. van Nostrand Company in 1960]. Axiomatic Set Theory. Dover. ISBN 0486616304
- ^ Enderton, Herbert (1977). Elements of Set Theory. Academic Press Inc.. ISBN 0-12-238440-7
- ^ ベルマン 2016, p. 357, 定義 7.1.1.
- ^ 松坂 1968, p. 61.
- ^ 瀬山士郎 (2013), 数学記号を読む辞典, 技術評論社, ISBN 9784774160672
- ^ cardinaity - PlanetMath.(英語)
- ^ a b c d Jech, Thomas J. (2008) [Originally published by North–Holland in 1973]. The Axiom of Choice. Dover. ISBN 978-0-486-46624-8
- ^ Tiles, Mary (2004) [Originally published by Basil Blackwell Ltd. in 1989]. The Philosophy of Set Theory: An Historical Introduction to Cantor's Paradise. Dover. ISBN 978-0486435206
- ^ Herrlich, Horst (2006). Axiom of Choice. Lecture Notes in Mathematics 1876. Springer-Verlag. ISBN 978-3540309895
- 1 等濃とは
- 2 等濃の概要
- 3 濃度
- 4 カントールの定理
- 5 デデキント無限集合
- 6 関連項目
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