穂高岳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/19 08:13 UTC 版)
概要
奥穂高岳は北アルプス最高峰で、北に向かって涸沢岳、北穂高岳、前穂高岳、南岳、中岳、大喰岳と山稜が連なっており、さらに北に位置する槍ヶ岳も含めて槍・穂高連峰と称されている[7]。前穂高岳以外は主に長野県松本市と岐阜県高山市の境界に位置している。地質的には柱状節理の発達した穂高安山岩類が、山岳氷河の氷蝕作用を受けた地形であり、峻厳な岩峰が南北に走っている[7]。
これらの山々とは別に奥穂高岳の東方には屏風の頭(標高2,565.4m)、前穂高岳、明神岳と連なる山稜があり、吊尾根と呼ばれる尾根で奥穂高岳につながっている[7]。前穂高岳から屏風の頭までの岩峰にはそれぞれI峰(前穂高岳)からVIII峰、明神岳の南方の岩峰にもそれぞれI峰(明神岳)からV峰の番号が付いている[7]。
さらに槍ヶ岳から奥穂高岳までの南北の山稜は、奥穂高岳から南西方向に向きを変えて、西穂高岳や西穂高独標に連なっており、これらも穂高安山岩類で構成されている[7]。これより南西側は緩やかな地形の滝谷花崗閃緑岩の分布域で、その延長線上に焼岳が位置している[7]。
山麓へは奥穂高岳より吊り尾根を経て、前穂高岳に至り、カール (圏谷) を下れば、上高地河童橋に至る。また、岐阜県側に穂高岳山荘から白出沢を下るか、あるいは西穂高岳からロープウェーかその下の道を下れば、新穂高温泉である。
穂高岳は、剱岳、谷川岳と共に日本三大岩場に数えられている。特に、涸沢岳から南岳の稜線の飛驒側には、谷川岳一の倉沢と並ぶ有数の岩場滝谷を擁する。滝谷は急峻なだけでなく、崩れやすい岩も多く、岩の墓場と形容される。また、前穂高岳の東側、奥又白谷の上部も角度の高い岩壁となっている (前穂東壁と呼ばれる) [注釈 2]。
穂高岳登山の拠点となる涸沢は、奥穂高岳と前穂高岳に挟まれた吊り尾根よりU字型にえぐられた圏谷で、夏でも雪渓が残る。
長年、南アルプスの間ノ岳と並び国内第3位の標高とされてきたが、2020年11月1日放送の林先生の初耳学ではGNSSにより3191mと測量された。国土地理院も参考にするとしており[8]、今後単独3位となる可能性がある。
注釈
出典・脚注
- ^ a b 日本の主な山岳標高(岐阜県の山) 国土地理院、2011年1月3日閲覧。
- ^ 中部山岳国立公園区域の概要 環境省、2011年1月3日閲覧。
- ^ 『日本百名山』 深田久弥(著)、1982年、朝日新聞出版、pp209-213、ISBN 4-02-260871-4
- ^ 『新日本百名山登山ガイド〈下〉』 岩崎元郎(著)、山と溪谷社、2006年、ISBN 4-635-53046-9、pp52-55で、奥穂高岳が選定されている。
- ^ 『花の百名山』 田中澄江(著)、文春文庫、1997年、ISBN 4-16-352790-7、pp278-280で、西穂高岳が選定されていて、代表する高山植物としてセンジュガンピを紹介した。
- ^ a b “中部山岳国立公園南部地域管理計画書”. 長野自然環境事務所. 2021年1月7日閲覧。
- ^ a b c d e f 原山智. “上高地地域の地質”. 地質調査所. 2021年1月7日閲覧。
- ^ “【初耳?】1位は富士山、2位は北岳。標高3位の山とは?”. 毎日放送. (2020年11月7日) 2020年12月13日閲覧。
- ^ a b 東京国立博物館 -トーハク-. “【1089ブログ】私のイチオシ!円空仏 山に登る円空 「十一面観音菩薩立像」”. www.tnm.jp. 2023年7月20日閲覧。
- ^ a b “日本山岳会-1984年11月-No.473会報”. 日本山岳会. 2023年7月20日閲覧。
- ^ 『新日本山岳誌』 日本山岳会(編)、ナカニシヤ出版、2005年、ISBN 4-779-50000-1、pp954-962
- ^ 穂高安山岩類 - ジオランドぎふ「モバイル端末版」
- ^ 小野有五、日本における1960–2010年の氷河地形研究 ― 一研究者の回顧と展望 ―」 『地学雑誌』2012年 121巻 2号 p.187-214, doi:10.5026/jgeography.121.187
- ^ 岩田修二、「転向点にたつ日本アルプスの氷河地形研究:今村学郎・五百沢智也と今後の課題」 『第四紀研究』2014年 53巻 6号 p.275-296, doi:10.4116/jaqua.53.275
- ^ 『日本アルプスの登山と探検』 ウォルター・ウェストン(著)、青木枝朗(訳)、岩波文庫、ISBN 4-00-334741-2
- ^ 深野稔生『燃えあがる雲 大島亮吉物語』白山書房、2021年、P122-127.
- ^ 穂高岳山荘について 穂高岳山荘 2010年11月5日閲覧
- ^ “ごあいさつ”. 西穂山荘. 2010年11月5日閲覧。(アーカイブ版)
- ^ a b c 岳沢の沿革 岳沢小屋HP 2010年11月5日閲覧
- ^ “ご祭神・御由来”. 穂高神社. 2016年11月13日閲覧。(アーカイブ版)
- ^ “別冊(内国郵便約款第79条及び第97条関係) 交通困難地・速達取扱地域外一覧”. 日本郵便 (2022年2月21日). 2022年5月1日閲覧。
- ^ 基準点成果等閲覧サービス 国土地理員、2011年3月1日閲覧。
- ^ 『山と高原地図 槍ヶ岳・穂高岳 上高地2010』昭文社、ISBN 978-4-398-75717-3
- ^ 『山と渓谷社 2011年 01月号付録(山の便利手帳2011)』 山と溪谷社、2010年12月、149-164頁、ASIN B004DPEH6G
- ^ “テント泊のお客様へ”. 穂高岳山荘. 2010年11月5日閲覧。
- ^ “岳沢小屋の宿泊・施設のご案内”. 槍ヶ岳山荘グループ. 2016年11月13日閲覧。
- ^ “焼岳小屋”. 上高地観光施設事業. 2010年11月5日閲覧。
- ^ “北穂高小屋”. 2016年11月13日閲覧。
- ^ “南岳小屋の宿泊・施設のご案内”. 槍ヶ岳山荘グループ. 2016年11月13日閲覧。
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- ^ “涸沢小屋”. 2016年11月13日閲覧。
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- ^ “おすすめの山(穂高岳)”. NHK. 2012年1月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年2月4日閲覧。
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- ^ “NHKクロニクル 保存番組検索結果詳細 夏の北アルプス あぁ絶景!雲上のアドベンチャー”. NHK. 2016年11月13日閲覧。
穂高岳と同じ種類の言葉
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