私立探偵 濱マイク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/16 18:41 UTC 版)
映画版
三部作として1993年から1996年までに3本が製作・劇場公開された。いずれも監督は林海象、脚本は林と天願大介の共作である。古き日本映画へのオマージュとして、1作目はモノクロで撮影され、2作目は1950年代のカラーの日本映画のようなシネマスコープサイズ・総天然色で撮影する予定だったが、製作当時は既に総天然色の技術適用が困難になっていたため、2・3作目は通常のカラーフィルムで撮影された。
主な出演者
- 濱マイク:永瀬正敏
- 横浜日劇の2階に事務所を構える私立探偵。本名で活動する稀な探偵。少年時代に親に捨てられた経歴を持つ。養護施設を経て日劇支配人の福寿に引き取られるが、たびたび傷害事件を起こして鑑別所行きとなる。当時の呼び名は「狂犬マイク」。その後自衛隊に入隊し、すぐに除隊。宍戸に引き取られ、探偵修行を行なって独立し、1990年に横浜日劇の2階を借りて改装し、「濱マイク探偵事務所」を開設。友達想いで正義感が強く、頼まれるとなかなか断れない。いつも金欠状態である。服装や小物にも凝っており、趣味は靴集め。愛車ナッシュ・メトロポリタン(Nash Metropolitan)を劇場前に駐車している。ギャンブル好きで暇があれば麻雀、競輪などに興じている。11歳年下の妹がおり、夢は探偵で稼いだお金で妹を大学に通わせること。口癖は「困ったときはいつでも来なよ」
- 濱茜:大嶺美香
- マイクの妹。マイクと共に養護施設に預けられた後、福寿に引き取られる。山手のお嬢様学校に通う高校生。マイクに似ずしっかり者で学業成績も優秀。横浜国立大学に入学した。将来の夢は弁護士などの自立した職業に就くこと。いつもマイクのことを心配している。
- 宍戸錠:宍戸錠
- 関内に「エース探偵事務所」を構える私立探偵。マイクの師匠。元伊勢佐木署の刑事。
- 星野光:南原清隆
- 白タク運転手兼情報屋。乗客からは法外な運賃を取り、乗車中に情報屋の仕事が入った場合は客をたたきおろす。少年時代にスリ、詐欺の常習犯で鑑別所送りとなる。マイクとは鑑別所で知り合い意気投合。マイクが唯一の友達で「濱君」、「星野君」と呼び合う仲。暴力団事務所などから密かに実銃を蒐集しているガンマニアであり、マイクが危険な仕事に臨む際には自らのコレクションを提供することもある。横浜ベイスターズのファンでもある。タクシーとして使用しているのは日産セドリックワゴン(ホワイトボディーに木目)。
- 中山八平:麿赤児
- 伊勢佐木署捜査四課に勤務する刑事。マイクとは少年課勤務時代からの腐れ縁で、互いに目の敵にしている一方、必要な際にはマイクに捜査協力を求めることもある。
- 岩崎:梶原善
- マイクの中学時代の同級生で喧嘩仲間。立ち飲み屋「岩崎屋酒店」のドラ息子。ボウリングが大好き。
- 北村:阿南健治
- マイクの同級生。「北村精肉店」の二代目。気が弱く優しくて働き者。断りきれず今でもマイクたちと付き合う。小心者。
- 近藤:近藤芳正
- マイクの同級生。アジア雑貨「神風」のオーナー。口が達者で商売上手。雅子と結婚している。
- 雅子:宮地雅子
- マイクの同級生。近藤の妻。昔はマイクに惚れていた。面倒見がよく今でもマイクの世話を焼いている。遊び好きで浮気癖がある。
- 晝間あさ:千石規子
- 横浜日劇オープン時から勤めるモギリのベテラン。探偵事務所に依頼に来た客からも必ず入館料を徴収する。口癖は「映画を観る余裕もなくっちゃ、人間おしまいだわぁ」
- 福寿祁久雄:福寿祁久雄
- 横浜日劇の支配人で、日劇の他にも横浜にある映画館を興行している。横浜を愛する男。マイクと茜の養父である。
- 濱リリー:鰐淵晴子
- マイクと茜の母親。黄金町の伝説のストリッパーで、2人の子どもを捨てて黄金町を去った後、全国を転々としながら生活している。
作品リスト
「私立探偵濱マイクシリーズ」
- 第1弾 『我が人生最悪の時 THE MOST TERRIBLE TIME IN MY LIFE』
- 1994年公開 モノクロ(パートカラー)93分 シネマスコープサイズ
- 他の出演者:南果歩、佐野史郎、塚本晋也、楊海平、侯徳健、鰐淵晴子 他
- スタッフ
- 監督 - 林海象
- 製作 - 後藤由多加
- エグゼクティブ・プロデューサー - 嵯峨芳春
- プロデューサー - 古賀俊輔、林海象、余為彦
- 企画 - 福寿祁久雄
- 脚本 - 林海象、天願大介
- 撮影 - 長田勇市(J.S.C.)
- 照明 - 長田達也
- 音楽 - めいなCo.
- 音楽プロデューサー - 西垣克啓
- 美術監修 - 木村威夫
- 美術 - 増本知尋
- 装飾 - 嵩村裕司
- 衣裳 - 宮本まさ江
- 特殊メイク - 原口智生
- 記録 - 内田絢子
- 視覚効果 - 中野稔
- 録音 - 浦田和治
- 編集 - 冨田伸子
- 助監督 - 行定勲、萩生田宏治
- 効果 - 帆苅幸雄、岡瀬晶彦(東洋音響)
- 探偵指導 - 児玉尚道
- スタント - TA・KA
- 擬斗 - 中本龍夫
- 現像 - 東映化学工業
- 協力 - 横浜日劇、日本探偵協会、TBSラジオ、玉川紗己子、榎浩一、斉藤正治
- 製作 - フォーライフ・レコード、映像探偵社
- 配給 - ナカチカピクチャーズ
- 第2弾 『遥かな時代の階段を The Stairway to the Distant Past』
- 完結編 『罠 THE TRAP』
その他
- 林監督作『ZIPANG』に端役でもいいからと出演を願った永瀬であったが叶わず、次を待つよう説得された。その2年後に「アジアンビート」シリーズが製作され、エピソード「アイ・ラブ・ニッポン」を林が監督する約束で、主役に永瀬を抜擢した。しかし、シリーズプロデュースに多忙となった林は監督を降板することとなり、永瀬に借りを作った形となった。その後、雑誌「BRUTUS」で2人は対談を行い、この時の借りを返すべく、濱マイクシリーズを製作することとなった。[2]
- 3作共に次回予告が本編後上映された。しかしこれは本編撮影時に製作された為、実際の次回作とは違いがある。
- 佐野史郎、鰐淵晴子、杉本哲太など、同じ役者が別役で出演している。
- 横浜日劇支配人(当時)の福寿祁久雄が『濱兄妹を引き取った義父』という設定で本人役として出演した(ドラマ版では出演していない)。
- 「罠」は1995年公開の予定だったが、作品の中で薬物を使った連続殺人事件が描かれており、当時世間を騒がせたオウム真理教の事件の影響で、翌年に公開が延期された。
- 2023年、公開30周年を記念して、劇場版三部作の4Kデジタルリマスターが完成し、7月より全国の映画館で上映された[3]
- ^ “永瀬正敏 「濱マイク」配信開始受け語るドラマへの思い 「才能」「ジャンルレス」「ミックス」”. 日刊スポーツ (2022年8月17日). 2022年8月17日閲覧。
- ^ BRUTUS No.308 1993年12月1日号 96頁
- ^ “映画『私立探偵 濱マイク』公式サイト - 30周年記念4Kデジタルリマスター”. 映画『私立探偵 濱マイク』公式サイト - 30周年記念4Kデジタルリマスター. 2023年7月29日閲覧。
- ^ 番組公式サイト(2002年8月7日)
- ^ 永瀬正敏オフィシャル・ポータル・ウェブサイト内『濱マイク』特設ページ(2002年12月5日)
- ^ 私立探偵 濱マイク CS日テレプラス(2017年9月15日)
- ^ 濱マイク大回顧展(横浜みなと映画祭2013)
- ^ 第1話
- ^ 第2話
- ^ 第3話
- ^ 第4話
- ^ 第5話
- ^ 第6話
- ^ 第7話
- ^ 第8話
- ^ 第9話
- ^ 第10話
- ^ 第11話
- ^ 第12話
- ^ “第284話「中華街雨のデジャビュ(前編)」”. 事件ファイル 名探偵コナン. 読売テレビ (2002年7月1日). 2021年4月11日閲覧。
- ^ “朗読劇「私立探偵 濱マイク」-我が人生最悪の時- 公式サイト”. 2023年10月21日閲覧。
- ^ “朗読劇「私立探偵 濱マイク」開幕、植田圭輔「佐藤流司が最強のハマり役」と絶賛”. ステージナタリー (2021年2月18日). 2023年10月21日閲覧。
- ^ “舞台『私立探偵 濱マイク -我が人生最悪の時-』公式サイト”. 2022年12月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月21日閲覧。
- ^ “佐藤流司、熱望の「私立探偵 濱マイク」舞台化に「成功が約束されたような気持ち」と笑顔”. ステージナタリー (2022年11月16日). 2023年10月21日閲覧。
- ^ “アクション・歌・ダンス交えて立ち上げる、佐藤流司主演の舞台「私立探偵 濱マイク」開幕”. ステージナタリー (2022年12月16日). 2023年10月21日閲覧。
- ^ 宝島社 第1巻
- ^ 宝島社 第2巻
- ^ 宝島社 第3巻
固有名詞の分類
- 私立探偵 濱マイクのページへのリンク