津風呂ダム 津風呂ダムの概要

津風呂ダム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/04 06:42 UTC 版)

津風呂ダム
所在地 左岸:奈良県吉野郡吉野町大字河原屋
右岸:奈良県吉野郡吉野町大字河原屋
位置 北緯34度23分58秒 東経135度53分28秒 / 北緯34.39944度 東経135.89111度 / 34.39944; 135.89111
河川 紀の川水系津風呂川
ダム湖 津風呂湖
ダム諸元
ダム型式 重力式コンクリートダム
堤高 54.3 m
堤頂長 240.0 m
堤体積 222,000
流域面積 160.7 km²
湛水面積 150.0 ha
総貯水容量 25,650,000 m³
有効貯水容量 24,600,000 m³
利用目的 かんがい上水道
事業主体 農林水産省近畿農政局
電気事業者
発電所名
(認可出力)
施工業者 大成建設
着手年/竣工年 1954年/1962年
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沿革

吉野川分水」構想は、水利権を巡る和歌山県との対立によって容易に決定できず、数度にわたる水紛争にまでもつれこんだ。奈良盆地は大きな河川が無く、水の確保が極めて難しい地域であり、他地域が豊作でも奈良盆地だけは不作という矛盾した状況が江戸時代まで続いていた。

一方、水が豊富に見える和歌山県も、夏季に雨が集中する為に夏季の渇水は致命的であった。安定した水供給はかつて氾濫原だった地域の新田が中心であり、高台や川から離れた地域の水需要は悪く、奈良盆地と同様ため池による確保を行っていた。

戦後、限りなく逼迫した食糧事情を解決する為には農地開拓による食糧増産以外には無く、所管官庁である農林省(現・農林水産省)は1947年昭和22年)より『国営農業水利事業』を全国で展開した。紀の川流域においても長年の懸案であった「吉野川分水」の実現へ向けた動きが行われたが、奈良県・和歌山県双方が納得する事業でなければ分水の実現性はゼロに等しかった。そこで建設省(現・国土交通省)が熊野川に建設を予定していた猿谷ダムを利用して熊野川の河水を紀の川に導水、補填する事でようやく奈良県への分水が実現する事となった。

これが1949年(昭和24年)に策定された『十津川・紀の川総合開発事業』であり、紀の川本川に大迫ダム貴志川筋に山田ダムを建設して農業用水を確保する事としたが、同時に計画されたのが津風呂ダムであり、吉野町宮滝付近で紀の川に合流する津風呂川下流に建設が計画された。

概要

ダムは1954年(昭和29年)より建設が開始された。ダム建設に伴い72戸の住民が移転を余儀無くされたが、「吉野川分水」の必要性を十分すぎるほど理解していた住民は最終的には故郷を離れる苦渋の決断を行った。一部の住民は、平城村大字山陵(戦後の市町村合併により奈良市に編入され、現在の奈良市山陵町)にあった奈良競馬場跡地に移住し、同地に「津風呂町」地区を拓いた。1962年(昭和37年)にダムは完成し、奈良盆地に水を供給し始める。

ダムは堤高54.3mの重力式コンクリートダムである。利水専用の多目的ダムで、洪水調節機能は持たない。紀の川・津風呂川合流点より下流にある下渕頭首工より取水した水が幹線水路を通って奈良県北部に送水される。奈良盆地の農地に対する新規灌漑用水供給と、奈良市・生駒市大和郡山市天理市桜井市宇陀市香芝市大和高田市橿原市葛城市御所市の11市と北葛城郡生駒郡高市郡の15町村に上水道を供給することが目的である。この後1973年(昭和48年)には大迫ダムが完成して水供給はさらに補強され、2009年平成21年)に大滝ダムが完成すると、安定した水供給は更に確実性を帯びる。なお、奈良県北部は淀川水系からも導水を行っており、室生ダム(宇陀川)より初瀬水路を経て大和川に上水道用水を導水している。




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