水からの伝言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/24 08:53 UTC 版)
概要
本書には、著者である江本の研究所で撮影された「雪花状の氷」[注釈 1]の写真が多数収録されている。名勝の水や「ありがとう」等の言葉を見せた水からは綺麗な結晶ができ、水道水や「ばかやろう」等の言葉を見せた水からはいびつな結晶ができるといった、科学的には荒唐無稽な話が写真と共に語られる。
江本の会社による自主出版であり一般書店では販売されなかったが[2]、支持者の手で配布されるなどして広まり[3]、その後2009年までには45ヶ国語に翻訳、世界75カ国で出版されシリーズで250万部以上が発行された[要出典]。
思いやる心の大切さを示す「いい話」として信奉者を生み、小学校の道徳の授業にも使われ、ホメオパシーや積極思考の推進者からも支持される一方[4][5]、疑似科学だとして批判も起きた(#反響)。
内容
- 第一章 身近な水の話
- 各地の水から生まれた結晶の写真。
- 第二章 変化する水の話
- 音楽や文字の影響を受けた結晶。支持者が行った米の実験の紹介。
- 第三章 江本勝・水の世界は拡がる!
- 江本の会社で販売する波動測定器やマイクロクラスター水の紹介とそれらによる結晶。船井幸雄の「愛の気」を受けた結晶など。
米での試み
江本の講演を聞いた一般人によって行われたという試み。炊いた米(ご飯)を二つのガラス瓶に入れ、「ありがとう」と「ばかやろう」と手書きした紙をそれぞれの瓶に貼り、小学生二人がそれぞれの瓶に紙と同じ言葉を毎日掛け、一月後に「ありがとう」の方は発酵して良い香りになり、「ばかやろう」の方は腐敗して黒くなったというもの。
本書で瓶の写真と共に紹介し、江本は微生物が言葉に反応して善玉菌と悪玉菌に別れたのだろうと述べている(P.89)。
撮影方法
水に音楽を「聴かせる」場合には精製水を入れた瓶をステレオスピーカーの間に置いて曲を流し(P.73)、言葉を「見せる」にはワープロで打ち出した紙を内向きにして瓶に貼り(P.90)、共に一晩置いた上で複数のシャーレに一滴ずつ垂らして冷凍し、摂氏マイナス5度の冷蔵室に移して倍率200から500の顕微鏡に取り付けたカメラで撮影する(P.15, P.73)[注釈 2]。
出来上がった結晶の形はシャーレ毎に異なるが(P.74)、その中から一つを選んで掲載している。ただしエルビス・プレスリーの『ハートブレイク・ホテル』を聴かせて作られた結晶については様子の異なる三つの写真を掲載し、曲の内容に結びつけた解説を行っている(P.86)。また「アドルフ ヒトラー」(アドルフ・ヒトラー)の文字を見せて作られた結晶には、いびつなものと整ったものを二つ並べ、根っからの悪人は存在しないと結んでいる(P.109)。
注釈
出典
- ^ “『水からの伝言』 – オフィス・マサル・エモト”. 2023年11月24日閲覧。
- ^ 『水は答えを知っている』P.1
- ^ 『水は答えを知っている』P.31
- ^ ホメオパシーとは | Aiko Nakano Holistic & Homeopathic Clinic
- ^ a b c SHARON KLEYNE Emoto Peace Project Director Michiko Hayashi & Sharon Kleyne Remember Dr. Masaru Emoto
- ^ 『水は答えをしっている2』2刷 P.176
- ^ 朝日新聞社「AERA」2005年12月5日号 P.35、『学校の授業でも「水からの伝言」の仰天』
- ^ a b c 江本勝の日記ウェブサイト 2007年10月23日(火) 読者からの質問6 「ジェイムズ・ランディ教育財団(James Randi Educational Foundation)と何か行なってみてはいかがですか?」
- ^ ザ・プレミアム 「超常現象~科学が挑む不可思議の世界~」 - 007.pdf
- ^ 水の結晶の形に遠隔地からの想いが与える影響についてのダブルブラインドテスト Masaru Emoto's Website
- ^ doi:10.1016/j.explore.2006.06.004 Double-Blind Test of the Effects of Distant Intention on Water Crystal Formation - Explore: The Journal of Science and Healing
- ^ a b Commentary, May 23, 2003 — Chiropractic Crackup, Talking to Water, Sylvia Emerges!, Bidlack's Lumps, An MS Miracle, and a Korean Magic Stone... - ジェイムズ・ランディによる2003年の記事。江本に対し、二重盲検法での試験を呼びかけている。
- ^ 『トンデモ本白書2005』40-42ページ参照
- ^ Latest Message from Water: Is Dr. Emoto a Spiritual Madoff? - Spirituality & Health(「最新の水からの伝言:ドクター江本はスピリチュアル界のマドフか?」) Stephen Kiesling June 21, 2012 - アメリカのスピリチュアル情報誌。編集者が2002年頃に江本へ実験手法を問い合わせたが、返事は無かったという。
- ^ Pollack Laboratory | EZ Water | University of Washington | jerry
- ^ 『水からの伝言』とポラック博士の「第四の水の相」 | 株式会社 I.H.M.
- ^ 根本泰行「水の情報記憶について」『国際生命情報科学会誌』第34巻第1号、2016年、75-75頁、doi:10.18936/islis.34.1_75。
- ^ 松永和紀 2007, p. 189.
- ^ 松永和紀 2007, p. 190.
- ^ 理系白書’07:第1部 科学と非科学/2 教室にニセ科学 - 毎日jp(毎日新聞)
- ^ 教育委員だより No.137 トンデモ科学と道徳の授業 小牧市教育委員会 教育長 副島孝
- ^ 「TOSSランド」(教育技術法則化運動)へのコメント 天羽優子 水商売ウォッチング
- ^ この話が授業で使われたって、どういうこと? 田崎晴明
- ^ 「水からの伝言」をめぐって 菊池誠 (大阪大学サイバーメディアセンター)
- ^ a b For children in Myanmar with innocent eyes, looking toward the future | Masaru Emoto's Hado World
- ^ 朝日新聞社「AERA」2005年12月5日号 P.34
- ^ a b 第2回 ウォーター・フォー・ライフ・フェスティバル チラシ(PDF)
- ^ EPPニューズレター2016年 第6号(2015年下半期活動報告)、エモトピースプロジェクト、2016年3月1日。
- ^ a b 松永和紀 2007, pp. 181–192.
- ^ 参議院会議録情報 第151回国会 文教科学委員会 第3号
- ^ ありがとうの波動 – 浦安市と松崎ひできの18年のあゆみ
- ^ Britain's best scientific brains give us their verdicts on a film about quantum physics The Guardian 2005年5月16日
- ^ 映画”ウォーター”|OFFICE MASARU EMOTO
- ^ 2006年6月2日放送
- ^ 『まんとら〜マンガ虎の穴〜』まんとら製作委員会 2007年5月4日
- ^ Cover Model 佐藤 健 2012年5月号 | ダ・ヴィンチニュース
- ^ 博士も知らないニッポンのウラ #002 疑似科学のウラ
- ^ 物理と社会シンポジウム
- ^ 菊池誠、「30aWA-2 「ニセ科学」入門(30aWA 物理と社会シンポジウム:「ニセ科学」とどう向き合っていくか?,物理と社会)」 『日本物理学会講演概要集』 61.1.1巻 (2006), doi:10.11316/jpsgaiyo.61.1.1.0_128_1
- ^ 研究所長プロフィール
- ^ 23aSF-13 言葉が水の氷結状態と水中元素濃度に及ぼす影響 ししゃ科も会
- ^ CiNii Articles - 23aSF-13 言葉が水の氷結状態と水中元素濃度に及ぼす影響(23aSF 検出器・イオン源他,実験核物理領域)
- ^ a b 学問の黒板 9/23 日本物理学会 言葉が水の氷結状態と水中元素濃度に及ぼす影響
- ^ 『「ニセ科学」横行防げ』読売新聞2006年10月2日夕刊、縮刷版No.578 P.100
- ^ 九州大学工学部 大学院工学府 大学院工学研究院
- ^ 「水からの伝言」と科学立国 化学と工業2006年9月号、日本化学会(PDF)
- ^ 論説『「水からの伝言」と科学立国』に対する読者からの意見 化学と工業2006年12月号、日本化学会(PDF)
- 水からの伝言のページへのリンク