林羅山 家族

林羅山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/18 18:51 UTC 版)

家族

弟に林永喜。羅山には4人の男子があり、長男と二男は夭逝した。元和4年(1618年)に三男・春勝、寛永元年(1624年)に四男・守勝がいずれも京都に生まれており、春勝は鵞峰、守勝は読耕斎(とくこうさい)と号した。鵞峰は父の後継者として幕府に仕えて大学頭と称することを許され、読耕斎も幕府に召し抱えられた[3]

エピソード

  • 8歳の時に、ある浪人が『太平記』を読むのをそばで聞いていて、これを暗唱した。一度聞いたことは忘れないので、人々は「この児(こ)の耳は嚢耳(ふくろみみ)だ、一度入ったものは脱(ぬ)けてゆかない」と言ったという[15]
  • 江戸城に出仕した大名がそれぞれ自分の持参した弁当を食していた際、長府藩主・毛利秀元の弁当のなかにの切り身が入っていた。このとき羅山は、武蔵岩槻藩主・阿部重次らとともに「珍しい」と言って、鮭の切り身を少しずつ分けてもらったという[16]
  • 羅山は、慶安4年(1651年)に後水尾上皇が突然出家して法名を円浄と称した際、そのことを「ああ驕子の父にしたがわざる。これをいかんともするなし。他年武門これを愛惜せんと欲するも、いずくんぞ得べけんや」と評している[17]
  • 明暦2年(1656年)、妻を亡くした際には、その死を悼む詩を26首詠むなど、愛妻家であった。
  • 明暦3年1月18日(1657年3月2日)から三日三晩におよぶ明暦の大火(通称「振袖火事」)では、羅山は周囲の騒擾をよそに読書に余念がなかったが、神田の自宅に火がせまったため、1月19日3月3日)、読みかけの本1冊だけをもって上野方面に逃げたが、自宅が焼失し、書庫に納められていた蔵書もすべて焼亡したと聞いて発病したといわれる[18]

林羅山像

羅山は室町時代の万里集九と同じく有馬温泉草津温泉下呂温泉の三温泉を「天下の三名泉」と記した(日本三名泉[19]

下呂温泉街の白鷺橋には林羅山の像がある[20]。なお、下呂温泉で開催される下呂温泉まつりの参進行列は「温泉感謝祭(万里集九祭・林羅山祭)」として開催されている[21]


注釈

  1. ^ 京都大学総合博物館蔵。原本の絵師は不明。本図は江戸時代後期の模写。
  2. ^ 羅山、道春のほか、羅浮子・夕顔巷・胡蝶洞・梅花村その他の号がある[1]
  3. ^ しかし家康自身は、羅山よりも崇伝天台宗の僧侶天海を政治的助言者としてはむしろ重用しており、儒学者をことさら特別視したわけではなかった。
  4. ^ つねに言動をつつしみ、礼儀をただすべしというこの思想には、武士階級に指導者として自己を律すべしとの自覚をうながした側面があることも指摘されている[10]
  5. ^ 羅山は手広く自らの学術宗教を喧伝したため、後世、中江藤樹山崎闇斎からの批判を受けている。
  6. ^ 岩城隆利は、これを中世末期の伊勢神道の流れを汲む発想であろうとしている[13]

参照

  1. ^ 宮崎(1994)
  2. ^ a b 宮崎(1994)
  3. ^ a b c d e f g 石田(2004)
  4. ^ a b c d e f 松岡正剛の千夜千冊『徳川イデオロギー』ヘルマン・オームス
  5. ^ 宮本義己「徳川家康と本草学」(笠谷和比古編『徳川家康―その政治と文化・芸能―』宮帯出版社、2016年)
  6. ^ a b 辻(1974)pp.210-211
  7. ^ a b c d e f g h i 岩城(1979)p.108
  8. ^ a b 御厨(1995)pp.188-189
  9. ^ 白取(2005)p.88-89
  10. ^ 高橋ほか(2003)p.42
  11. ^ 深谷(1993)pp.259-262
  12. ^ 深谷(1993)p.262
  13. ^ 岩城(1979)p.108
  14. ^ 和辻哲郎埋もれた日本 ――キリシタン渡来文化前後における日本の思想的情況――』(青空文庫)
  15. ^ 物語日本史(下)P.59
  16. ^ 辻(1974)p.132
  17. ^ 辻(1974)pp.386-387
  18. ^ 深谷(1993)p.170
  19. ^ 下呂市エコツーリズム推進全体構想(下呂市エコツーリズム推進協議会)”. 環境省. 2021年12月1日閲覧。
  20. ^ 下呂温泉街マップ”. 下呂温泉観光協会. 2021年12月1日閲覧。
  21. ^ 下呂温泉まつり開催!”. 日本温泉協会. 2021年12月1日閲覧。


「林羅山」の続きの解説一覧




林羅山と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「林羅山」の関連用語

林羅山のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



林羅山のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの林羅山 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS