日産・セドリック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/16 09:07 UTC 版)
7代目 Y31型系(1987年 - 2014年)
ハードトップ: 1987年 - 1991年
セダン: 1987年 - 2002年
営業車(セダンのタクシーおよびハイヤー仕様): 1987年 - 2014年
日産・セドリック(7代目) Y31型系 | |
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![]() V20ツインカムターボ ブロアム 前期型 フロント(1987年6月 - 1989年6月) | |
![]() V20ツインカムターボ ブロアム 前期型 リア(1987年6月 - 1989年6月) | |
![]() V20ツインカムターボ グランツーリスモSV 後期型(1989年6月 - 1991年6月) | |
概要 | |
別名 | 日産・グロリア(8代目) |
販売期間 | 1987年6月 -2014年9月 |
設計統括 | 三坂泰彦 |
デザイン | 若林昇 |
ボディ | |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 4ドアハードトップ / セダン |
駆動方式 | FR |
パワートレイン | |
エンジン |
VG30ET型 3.0L V6 SOHCターボ VG30E型 3.0L SOHC VG20DET型 2.0L V6 DOHCターボ VG20E型 2.0L SOHC RD28型 ディーゼル2.8L 直6 RB20P型 LPG2.0L 直6 CA20P型 LPG2.0L 直4 |
変速機 |
5速 / 4速AT 5速 / 4速MT |
前 |
前:マクファーソンストラットコイル 後:セミトレーリングアームコイル |
後 |
前:マクファーソンストラットコイル 後:セミトレーリングアームコイル |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,730mm |
全長 | 4,690mm |
全幅 | 1,695mm |
全高 | 1,400mm |
車両重量 | 1,480kg |
その他 | |
ブレーキ | 4輪ディスク |
データモデル |
4ドアハードトップV20ツインカムターボ グランツーリスモSV(前期型) |
潤沢な開発費に恵まれた時期で、エンジニアリング、スタイリング共に大きな変化が見られる世代である。CMには当初坂本龍一、菊池武夫、鈴木エドワードを起用するなど、既存の保守的な層に代わり、より若くアクティブな層をターゲットにした。
従来からの「ブロアム」に加え、901運動の反映でスポーツ性を向上させた「グランツーリスモ (GranTurismo) 」が新たに設定される。デザインも曲線を巧みに使用した張りのあるモダンなものへと変化した。
4ドアハードトップと4ドアセダンのみがY31型系として新規開発され、ステーションワゴンはWY30型の継続生産となった。セド・グロのハードトップとしてはセンターピラーの無い最後の世代であり、また、遅れて発表されたシーマの開発費に予算を取られたことから、歴代セドリックで初めてステーションワゴンやバンが起こされなかったボディでもある。開発主管の三坂はテレビ番組「新車情報」内で、司会の三本和彦にワゴンのモデルチェンジが見送られた件について質問された際には「あれ(ワゴン)は耐久材に近いもの」と答え、先代を継続販売することを表明している。初代シーマのボディはY31セドリック/グロリアのハードトップがベースとなっており、上屋、インナーパネルは共通である。また、インテリアも共通部分が多い。
開発主管の三坂は日産自動車の歴史上初めて文系出身で開発主管に任命された。
エンジンはVG30ET、VG30E、VG20DET、VG20E、RD28、RB20P(LPG仕様)、CA20P(LPG仕様)。グロリア同様、VG20DET型エンジンを初めて搭載した車種であり、セドリック初のDOHCでもある。
ドアハンドルは、当時の日本車では数少ないグリップタイプのものが採用された。これ以降Y34型系まで引き続いて採用されている。
このY31型系から営業車を除くリアサスペンションにセミトレーリングアーム式サスペンション+コイルを採用、セドリック初の4輪独立懸架となる(前輪はマクファーソンストラット+コイル)。フロアAT車のパーキングブレーキ操作がレバーから足踏み式になった。コラムAT車はセダンのみの設定となる。1987年の東京モーターショーにオーテックジャパン製の「セドリック・ロイヤルリムジン」が出品され、後に市販される。最上級グレードのロイヤルセレクションIIIでは車両価格が1300万円以上に達し、プレジデントはおろか、メルセデス・ベンツ・Sクラス560SELやBMW 7シリーズ750iLよりも高価だった。香港とシンガポールなどのアジア圏でもブロアムVIP(中文:公爵VIP)として販売される。このモデルからは欧州枠とオセアニア枠がマキシマへバトンタッチされた。なお、タクシーやハイヤー用途としてこの型は2014年まで生産された(セドリック営業車を参照)。
年表
- 1987年6月 - セダン・ハードトップがモデルチェンジ。ワゴン・バンは先代モデルのY30型が継続し生産。
- 1987年9月 - VG20E型エンジン車にブロアムおよびRD28ブロアムの4WAS(4輪ABS)付車追加。
- 1987年12月 - 教習車用ベース車を発売。
- 1988年1月 - モデルチェンジ時から予告していたY31型系をベースとした上級派生車、シーマを販売開始。
- 1988年4月 - 一部改良。フルオートエアコンに「エコノミーモード2」機能追加。
- 1988年6月 - ハードトップのみの設定だった「グランツーリスモ」が新たにセダンにも1車種追加される(V20ツインカムターボ グランツーリスモSV)。ATシフトロックシステム採用。
- 1988年10月 - 特別仕様車「4ドアハードトップ グランツーリスモ スーパーSV」発売。
- 1989年3月 - パーソナル キーの材質を洋白からステンレスに変更。
- 1989年6月 - マイナーチェンジ。リアコンビネーションランプが大幅に変更された。V20ツインカムターボ系を中心としたテコ入れが行われ、VG20DET型エンジンはインタークーラーの追加とハイオク化によって最高出力が185psから210psに向上、同エンジン搭載車にトルクコンバータ式としては世界初の5速E-ATが搭載された。同エンジン搭載のV20ツインカムターボブロアムをバンパーとモールの変更で3ナンバー化(車両寸法はHT:4860×1720×1405mm/セダン:4860×1720×1425mm)。デジタルメーターおよびマルチAVシステムをオプション設定。
- 1989年8月 - サンルーフをオプション設定。
- 1989年9月 - セダンV30ブロアム系に、ホイールベースを155mm延長、リアドアを150mm拡幅したLシリーズを追加(WB2885mm、車両寸法5010×1720×1425mm)。
- 1990年1月 - セドリック30周年記念特別仕様車を発売。
- 1990年3月 - モール類のメッキに火山灰による腐食対策を施した「鹿児島仕様車」を設定。
- 1990年8月 - VG20E・RD28車にブロアムセレクション(3ナンバー車)およびVG30E30・SV(クラシックSVの3リッター版)を追加。VG20DETブロアムに5ナンバー車復活。クラシック・グランツーリスモ車の仕様向上。
- 1990年10月 - グランツーリスモS・グランツーリスモスーパーSVを追加。
- 1991年3月 - VG20E・RD28車にクラシックSを追加。
- 1991年5月[11] - ハードトップの生産終了。在庫対応分のみの販売となる。販売終了前月までの新車登録台数の累計は24万5076台[12]。
- 1991年6月 - ハードトップの販売終了。Y32型にフルモデルチェンジ。
注釈
- ^ フロントマスク形状がほぼ同時期に登場した鉄道車両の東武1720系電車と似ていることから類似性も指摘されることがあるが、本車の発売が1960年4月なのに対し、東武が1720系をメーカーに発注したのが1960年1月(同年9月落成)であり、直接の関連は薄いと思われる。
- ^ 電球もダブルフィラメントからシングルへ変更された。
- ^ 2600エンブレムのデザイン変更、前後バンパーにオーバーライダー装着など
- ^ カスタムDX以上のグレードはELR式
- ^ 同系統が担っていたパーソナルカー市場は翌年登場するレパードに引き継がれた。
出典
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第24号3ページより。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第41号3ページより。
- ^ 出力は全てグロス値
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第13号9ページより。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第12号9ページより。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第12号19ページより。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第6号11ページより。
- ^ a b デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第17号7ページより。
- ^ “セドリックバン(日産)のカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
- ^ “セドリックワゴン(日産)のカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
- ^ “セドリック(日産)1987年6月~1991年5月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第52号9ページより。
- ^ “セドリック(日産)のカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第63号7ページより。
- ^ “セドリック(日産)1995年6月~1999年5月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第77号7ページより。
- ^ 新型「セドリック」「グロリア」を発売 NISSAN PRESS ROOM
- ^ “セドリック/グロリアに新世代トランスミッション「エクストロイド CVT」搭載車を追加”. 日産自動車ニュースルーム (1999年10月1日). 2024年6月16日閲覧。
- ^ “セドリック(日産)のカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第37号9ページより。
- ^ “全新天籁公爵teana-vip-Nissan东风日产官方网站”. 2018年1月4日閲覧。
- ^ a b c d 日本放送協会. “走行距離100万キロ 走ってみたらどうなった? | NHK | ビジネス特集”. NHKニュース. 2023年3月21日閲覧。
- ^ a b c 日本放送協会 (2023年6月30日). “さらば100万キロのエンジン | NHK | ビジネス特集”. NHKニュース. 2023年7月1日閲覧。
- 1 日産・セドリックとは
- 2 日産・セドリックの概要
- 3 初代 30型系(1960年 - 1965年)
- 4 2代目 130型系(1965年 - 1971年)
- 5 3代目 230型系(1971年 - 1975年)
- 6 4代目 330型系(1975年 - 1979年)
- 7 5代目 430型系(1979年 - 1983年)
- 8 6代目 Y30型系(1983年 - 1999年)
- 9 7代目 Y31型系(1987年 - 2014年)
- 10 8代目 Y32型系(1991年 - 1995年)
- 11 9代目 Y33型系(1995年 - 1999年)
- 12 10代目 Y34型系(1999年 - 2004年)
- 13 車名の由来
- 14 脚注
固有名詞の分類
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