日本の学校制服
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種類
公正取引委員会「公立中学校における制服の取引実態に関する調査報告書」[1](以下、「公取調査」と略す)によれば、制服を指定している学校は98.4%、制服と私服の自由選択制とする学校は 0.2%、制服を指定せず私服を着用してもよい学校は1.3%であり、全国のほとんど全ての学校で制服が指定されている。
男子生徒用の制服は詰襟学生服かブレザー、女子生徒用の制服は女子通学服に大別されている。なお、学校の制服全般を男女形状タイプに関係無く「学生服」、小学生向けのものは「学童服」と呼ぶ場合もある。ジェンダーレスで性別に関係なく制服が選べる制度導入が促進されている[2][3][4][5][6][7][8]。女子の制服制度としてはスラックスを選択可能にしている自治体のほか、申し出があれば認める例もある[9]。一方で、制服を男子用女子用と区分けせず選択制にして、男子がスカートを着用できる高校も存在する[10]。
公取調査によれば、男子生徒の制服については、詰襟が76.6%、ブレザーが23.1%であり、女子生徒の制服についてはセーラー服が54.6%、ブレザーが35.8%、イートン服が9.3%であった。制服の仕様は学校ごとに定められているところ、一部の自治体では学校単位でなく自治体単位で制服の仕様の共通化が実施され、この場合、同一自治体内で転校した場合でも制服の買い替えをしなくてもよくなる[1]。
制服の仕様
- 学生服(学ラン、詰襟)・学生帽
- おもに男子用。中学校では主流であるが、高等学校はブレザーのほうが主流となりつつある[11]。
- 日本被服工業組合連合会が一定の仕様を定めた「標準型学生服」があり、それを制服として定めている学校も全国的に多く見られる[1]。
- ブレザー
- 高等学校で主流のタイプ[11]。高等学校の新設校やモデルチェンジによって採用されることが比較的多い制服である。学校独自の仕様を定めるもの、色・種類のみを定めるもの等、仕様は学校間でまちまちである[1]。
- 女子用はこれにリボンを合わせることが多い。一部の学校では、スラックスを組み合わせることも可能である。また、数は少ないが、スラックスを標準としている学校もある(札幌市立南が丘中学校、[12] [13]姫路市立山陽中学校[14]など)。
- セーラー服
- 女子用のボトムスについては大部分の学校では通年スカートを組み合わせるが、一部の学校(仙台市常盤木学園高等学校など[15])では冬期にスラックスを選択することが可能である。また、冬期のスラックス着用を義務づけている学校もある(坂井市立鳴鹿小学校、安曇野市立明科中学校[要出典]など)。
- フェリーチェインターナショナルスクール(群馬県)が、男子児童の制服としてセーラー服を採用している(夏服のシャツは男女共通。冬服の上着は男女で若干異なるが、類似したデザイン。)[16]
- 吊りスカート
- 吊りスカートは本来女子小学生の制服として採用されている事例が多いが、男子小学生もスカートを制服として選択することができる小学校(みやま市立瀬高小学校など)においては、男女関係なく吊りスカートが着用できることが予想される[6][7][8]。全国的に吊りスカートの制服の中学校が2020年頃からモデルチェンジで新制服導入(新入生がスラックスやスカート選択可能)と同時に上級生対応(新規購入を大抵は認めているが)でスカートのサスペンダー自由化、取り外し可能となっている(小学生用吊りスカートはサスペンダーが縫い付けられている場合が大半で外せないが中学生用吊りスカートはボタン式で製造されている為)。
- イートンジャケット
- ジャンパースカート ・ ベスト
主なメーカー
日本の学生服メーカーは岡山県に本社を置く企業が多く、岡山県の地場産業ともなっている。公取調査によれば、大手4社で制服シェアの70%超を占めるとされる[1]。
- 大手学生服メーカー4社
- 菅公学生服(カンコー学生服)
- トンボ (企業)(トンボ学生服)
- 明石スクールユニフォームカンパニー(富士ヨット学生服)
- 瀧本(スクールタイガー)- トンボの子会社
- その他
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- 1 日本の学校制服とは
- 2 日本の学校制服の概要
- 3 歴史
- 4 多様化
- 5 制服に関する諸問題
- 6 脚注
- 日本の学校制服のページへのリンク