慶應義塾大学大学院経営管理研究科 大学院経営管理研究科

慶應義塾大学大学院経営管理研究科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/08 00:23 UTC 版)

大学院経営管理研究科

入試

経営管理専攻として、定員はMBA・EMBA合わせて140名。「一般入試」のほかに「国際プログラム重視入試」「企業派遣者対象入試」がある。(※2019年度から新卒学生選抜制度入試は中止となる)

MBAプログラムは秋期入試と春期入試があり、書類選考合格者対象に2時間の小論文と、面接が課される。

「国際プログラム重視入試」には、出願日から2年以内に受験した試験結果がTOEFLiBT90点以上またはTOEIC860点以上(TOEIC-IPテストは不可)が必要。

EMBAプログラム入試には、所属する企業、団体等の推薦による出願(出願方式A)と個人の資格による出願(出願方式B)がある。いずれも、書類審査と面接試験があり、出願方式Bでは加えて筆記試験がある。「職務経験15年相当以上」を必要条件とする。

修士課程

2年間全日制のMBAプログラムと、「職務経験15年相当以上」を必要条件とする、2年間土曜日中心のExecutive MBA (EMBA) プログラムがある。

MBAプログラム

KBSは、単なる経営技術の専門的教育ではなく、企業の進むべき方向を確立し、それの実現に向けて各職務・部門の活動を最高度に発揮させる「総合的管理能力」を育成するための教育、訓練を行う。

修士課程における授業のおよそ3分の2は、講義中心ではなくケース・メソッドで行われる。それは、経営の原理原則だけに依存せず、そこからは予測できない要因も含めて自ら分析し合理的な意思決定を下す訓練をするためとしている。

1年次では、経営学を8つの領域「会計管理」「マーケティング」「経営科学」「組織マネジメント」「経済・社会・企業」「財務管理」「生産政策」「総合経営」に分け、基礎科目、必修科目として全員が学ぶことになる。1年次後半から2年次にかけて、それぞれの教育領域ごとに専門科目が配置され、各学生は、自分に必要な科目を選択して履修する。また、2年次にはいずれかの教員のゼミナールに所属し、1年間をかけて修士論文に取り組む。各ゼミナールの学生は4〜7名程度である。

KBSの入学者は卒業までに500を越えるケースに取り組む。授業では、KBS教員や学生が教員の指導の下に作成した国内外企業の独自ケースと、ハーバード・ビジネススクールを中心とした欧米ビジネススクールのケースの両方が用いられる。KBSには過去40数年の間に開発された1000本を越えるケースが蓄積されており、外部に向けた販売も行っている。

定員100名の一学年が、2クラス、さらに10人程度のグループに分けられる。KBSのケース・メソッド授業は、事前の個人予習を前提としたグループディスカッション、教員がファシリテートするクラスディスカッション、教員による要点の整理と理論の補完のための講義の3点で構成される。1年次は、3回のクラス替えと5回のグループ替えが行われるため、2年生に進級するまでに同学年のほぼ全ての生徒と議論を交わすこととなる。また、約1週間の入学合宿(4月)と2泊3日のビジネス・ゲーム合宿(12月)等がある。

専門科目は多岐に渡り、専任教員のほか、各分野の第一線で活躍するビジネスマン等も外部講師として授業を受け持つ。授業内ゲストスピーカーとして、国内外企業の経営幹部やKBSのOB・OGが登壇することもある。慶應義塾大学大学院理工学研究科との合同授業も行われている。

教員はケース・メソッドの指導能力だけでなく、論文指導の能力が求められる。日本国内のビジネススクールの中では専任教員に占める博士号保有者の割合が高いという特徴がある[5]

KBSは学部を持たない独立した研究科で、入学者の卒業大学および専攻、国籍、年齢、出身業界はバラエティに富んでいる。修士課程の基本言語は日本語だが、提携校から交換留学生を受け入れる2・3学期には英語科目も開講される。日本語を母語としない入学者には、経営議論ができる程度の高い日本語能力が必要とされる。以前は入学生の9割が数年以上の実務経験者であったが、2020年に公開された KBS REPORT Vol 18「失われた日本の30年とKBS」によると、近年では留学生あるいは職業経験のない学生がそれぞれ全体の過半を占めるようになっている[2]

2008年9月にキャンパスを協生館に移転してからは、同じ建物内にある社会人大学院、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 (KMD)、同大学院システムデザイン・マネジメント研究科 (SDM) と交流がある。慶應義塾大学大学院では他研究科の授業も履修可能であるため、KBSの学生がKMD、SDMやその他の塾内研究科の授業を受講することや、その逆もある。KMD、SDMとは学生主体の交流イベントも存在する。

EMBAプログラム

グローバル化が加速する中で、経営を専門的に学んだ異文化の人たちと対等に交渉・議論できる中核経営人材を育成するプログラムが根本的に不足しているのではないか、との構想の下、2015年度に設立された。

長期的な視点の下、地球規模の視点に立ち、次世代、あるいは次々世代の日本そして世界を先導し、自分の社会生活を充実させていくリーダーの育成を目標としている。

豊富な職務経験を積んだ入学生でも、1年目には基礎領域全8分野のコア科目から、ケースメソッドを通じてもう一度、経営に必要な知識を体系的に学ぶ。こうした学習と、日々の仕事とを両立させながら、学んだ成果をすぐに実践し、一方で日々の仕事で直面する課題を学習に反映できる点にも、EMBAプログラムの特徴がある。

2年目は実際に企業の経営の内部に入り込み、その企業の今後の変革目標や長期戦略を練り、不足点あるいは改善点を調査し、社長や役員に最終提言をプレゼンテーションする科目「国内フィールド」を用意している。この科目は、1年目に学んだ知識を実践的に活用しながら、オンサイトで調査検討を進める過程から、経営実務の問題発見・解決力に加え、実践力や責任感を体得してもらうことを目的としている。また、ビジネスと社会を両立させる視点から、科目「ビジョナリー」や「海外フィールド」を通じて、ビジネスが社会に与えるインパクトを公正に評価し、プラスの価値を長期的に生んでいくようなビジネスを設計・構想し実現できるリーダーを育成している。

50単位取得が修了要件というタフなプログラムとなっている。修了すると修士(経営学) (MBA) が授与される。

博士課程

経営管理に関する実務家の養成を目的とした修士課程(MBAコース)と異なり、博士課程は経営に関する研究者・高度の専門家を育成することを目的としている。博士課程では、経営管理に関する専門科目の履修、ケースと呼ばれる教材の作成、事例研究論文を作成して発表する特別実習科目の履修、2つの専攻(主領域と副領域)の専攻、博士論文作成を行う。なお、博士課程は全日制の大学院であり、原則的に週日はキャンパスで授業に出席することが求められる。

プログラム

国際単位交換プログラム

国際化の進展に伴い、1988年度に海外の定評あるビジネススクールとの間で、国際単位交換プログラムを発足させた。修士課程に在籍するKBS生は選抜の上、2年次の2学期に提携先である世界のトップビジネススクールに留学することができる。毎年15~20名程度の生徒がこの制度によって留学している。また、毎年2学期と3学期に提携校から20名ほどの留学生を受け入れており、KBS生と共に授業に参加している。提携先は2018年現在以下の通りである。

<北米>

<南米>

<アジア・オセアニア>

<欧州>

<中東>

<アフリカ>

ダブルディグリー・プログラム

グローバルに活躍できるビジネス・リーダー育成の本格的なプログラムとして、2009年度よりダブルディグリー・プログラムも開始した。ダブルディグリー・プログラムは、KBSと提携校で1年ずつ学び、2年(WHUとのプログラムは計2年半)で両校の正規卒業生として計2つのMBAが授与されるプログラムである。2009年度より開始された。提携校は、2018年現在以下の通りである。

デュアル・ディグリープログラム

医学研究科
慶應義塾大学大学院医学研究科との間で、ビジネスと医学双方に通じた人材を育成することを目的としてつくられたプログラム。両研究科に設置された共通科目を履修することにより、修士(経営学)取得後最短1年で修士(医科学)が授与される。
薬学研究科
慶應義塾大学薬学部を卒業した者が本制度により同大学院薬学研究科に入学した場合、最短で1年間で修士(薬科学)を修了し、計3年間で2つの学位を取得できるプログラム。
健康マネジメント研究科
経営管理研究科の学生で、保健・医療・福祉の分野で2年以上の実務経験のある者(新卒者は除く)が、本制度により経営管理研究科修了後引続いて健康マネジメント研究科に入学した場合、最短1年間で健康マネジメント研究科(修士(公衆衛生学))を修了することができるプログラム。

MBA協定

  • 慶應義塾大学・京都大学・神戸大学によるMBA連携[6]
2010年に、京都大学経営管理大学院、神戸大学大学院経営学研究科との3校の間でMBA連携協定を締結している。「三大学連携による新教材開発や学生交流を通じて、高度経営人材育成に関する教育システムの向上を図っていきたい。」としている。






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