天明の大飢饉 史跡

天明の大飢饉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/18 05:32 UTC 版)

史跡

餓死萬霊等供養塔と戒壇石

当時の詳細を後世に伝えるために記した石碑、餓死萬霊等供養塔(がしばんれいとうくようとう)および戒壇石(かいだんせき)が、西暦1785年(天明5年)青森県八戸市内の対泉院に建立された。両碑の裏面には、天明の大飢饉に於ける当時の八戸領内の天候や作物の状況、食生活、餓死者や病死者の数、放火強盗といった治安悪化の様子、飢饉で得た教訓を後世に伝える内容が記されている。かつて人肉を食す様子を記した部分が存在したが、意図的に削られている。削られた時期は「当時の八戸領領主に対して配慮し、建立後間もなく」とも「明治時代」とも言われているが、正確な時期は不明である。昭和63年(1988年1月16日、青森県史跡に指定された。

放生池

天明大飢饉における等順大僧正の民衆救済を伝える放生池

信州善光寺(長野市)大勧進表大門の手前にある放生池は、時の第79世貫主・等順大僧正が天明の大飢饉において、善光寺貯蔵の米麦を放出して民衆を飢餓から救済したことから、等順の恩に感謝した人々が集まり、極楽への道筋を可視化するために掘った池と伝えられている[10][11][12][13]

参考資料

江戸時代の日本の人口

(江戸幕府「人別調べ」、関山直太郎による)

  • 1774年(安永3) 2,599万
  • 1780年(安永9) 2,601万
  • 1786年(天明6) 2,509万
  • 1792年(寛政4) 2,489万
  • 1798年(寛政10)2,547万     

東北地方の人口

  • 1750年(寛延3) 268万
  • 1786年(天明6) 237万
  • 1804年(文化1) 247万
  • 1828年(文政11)263万

八戸藩の収穫

  • 1782年(天明2)7,243石(表高2万石)
  • 1783年(天明3)19,236石
  • 1784年(天明4)16,457石(耕作しない)

八戸藩の天気 1783年(天明3)8月

  • 2日・朝のうち雨
  • 3日・夜中まで大雨
  • 4日・薄曇り
  • 5日・村雨
  • 6日・沖雲
  • 7日・曇り小雨
  • 8-14日・雨
  • 15日・曇り、大寒冷
  • 16日・雨
  • 17-19日・大雨
  • 20日・晴れ
  • 21-31日・雨

1993年(平成5年)作況:平年比

  • 東北全体56(収量304kg):青森28(下北0)、岩手30、宮城34、福島61(浜通り49、中通り南部51、会津82)、山形79、秋田83:北海道40、関東甲信85、栃木81、茨城87、新潟89、福岡・佐賀74、長崎・鹿児島75、島根79、山口80、全国74[注釈 2]

1993年(平成5年)八戸の気象

参考までに、冷夏となった1993年と、猛暑に見舞われた1978年1994年2010年の気象諸条件を示した。

  • 1978年
    • 6月 降水量120.0mm、平均気温17.6℃、最低気温 8.2℃、最高気温31.6℃、平均雲量7.6、日照時間197.4、全天日射量16.7 (MJ/m2)
    • 7月 降水量 55.0mm、平均気温24.3℃、最低気温15.5℃、最高気温34.7℃、平均雲量5.7、日照時間299.5、全天日射量21.0
    • 8月 降水量 67.5mm、平均気温24.3℃、最低気温15.0℃、最高気温37.0℃、平均雲量5.4、日照時間270.9、全天日射量17.9
  • 1993年
    • 6月 降水量 20.0mm、平均気温15.0℃、最低気温7.9℃(6/7)、最高気温25.6℃、平均雲量8.2、日照時間135.8、全天日射量16.4 (MJ/m2)
    • 7月 降水量 102.0mm、平均気温16.5℃、最低気温9.0℃(7/1)、最高気温26.0℃、平均雲量8.8、日照時間101.2、全天日射量13.4 (MJ/m2)
    • 8月 降水量 50.5mm、平均気温17.0℃、最低気温9.7℃(8/3)、最高気温32.6℃、平均雲量8.0、日照時間155.9、全天日射量15.2 (MJ/m2)
  • 1994年
    • 6月 降水量140.0mm、平均気温15.9℃、最低気温 8.8℃、最高気温27.4℃、平均雲量7.5、日照時間178.2、全天日射量18.3 (MJ/m2)
    • 7月 降水量 49.0mm、平均気温21.6℃、最低気温14.8℃、最高気温35.0℃、平均雲量7.4、日照時間200.4、全天日射量19.3
    • 8月 降水量125.0mm、平均気温25.0℃、最低気温18.0℃、最高気温35.9℃、平均雲量7.2、日照時間190.2、全天日射量16.4
  • 2010年
    • 6月 降水量124.0mm、平均気温17.6℃、最低気温 7.4℃、最高気温31.9℃、日照時間181.2(2008年以降の平均雲量・全天日射量のデータはない)
    • 7月 降水量131.0mm、平均気温22.6℃、最低気温16.3℃、最高気温33.7℃、日照時間113.6
    • 8月 降水量 70.0mm、平均気温25.6℃、最低気温17.4℃、最高気温36.7℃、日照時間194.7

脚注


注釈

  1. ^ 凶作が予想されるときは商人が藩外へ米を売るのを禁止する「穀留め(こくどめ)」が行われるのが普通であった[7]
  2. ^ 1981-2009の30年間のほかの記録は1982年の87、2003年の90。戦後最低は1945年の67

出典

  1. ^ 藤沢周平『藤沢周平全集 第23巻』、文藝春秋、1994年、198-199ページ
  2. ^ 石弘之『歴史を変えた火山噴火 -自然災害の環境史-』、刀水書房、2012年、109-110ページ
  3. ^ 『詳説日本史研究』、山川出版社、289頁
  4. ^ 石井寛治『日本経済史』、東京大学出版会、77頁
  5. ^ 松井今朝子「江戸の異常気象」、日本経済新聞2015年7月24日付夕刊
  6. ^ 松岡正剛の千夜千冊”. 松岡正剛の千夜千冊 - 古今東西1700夜を超える千変万化・前人未到のブックナビゲーションサイト (2005年12月30日). 2023年3月27日閲覧。
  7. ^ 石弘之著『歴史を変えた火山噴火 ー自然災害の環境史ー』刀水書房 2012年 109ページ
  8. ^ 「天明三葵卯歳大凶作天明四辰歳飢饉聞書」
  9. ^ 天明3年(1783年)浅間山噴火 国土交通省 利根川水系砂防事務所
  10. ^ 「善光寺さん」P2山門(善光寺・大勧進教務部刊)
  11. ^ 「大勧進の名僧・等順大僧正」 善光寺本坊大勧進2020年2月23日閲覧
  12. ^ 御開帳に等順を思う ―浅間山の大噴火と等順― 麻績ポータル
  13. ^ 上毛新聞2018年8月7日9面(文化)「善光寺の名僧、等順」天明の浅間山噴火 鎌原で被災者救済





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