協定世界時 歴史

協定世界時

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/03 02:06 UTC 版)

歴史

旧協定世界時

旧協定世界時 (UTC) は標準電波の報時信号を同期する国際協定に基づき1960年頃から試験的に運用され、1961年1月1日に制度を開始し、1964年1月1日から正式に採用されて1971年末まで[31][28][32]使用された。

1950年代セシウム原子時計が実用化され、標準電波の周波数は原子周波数標準器を基準とし、時刻は地球の自転に基づく UT2 世界時を基準とする報時信号が発射されていた[33]が各国の報時機関がそれぞれ独立に発射して相互に無関係[34]だった。人工衛星の国際観測が興隆し、世界のデータを整約するため国際的な統一方法で UT2 の時刻利用が強く望まれ、1959年アメリカ合衆国イギリスを中心に標準電波の周波数や報時信号の同期を合議して報時信号は ±1 ms、標準周波数は ±1×10−10 を目標に同期[31]を図った。

旧協定世界時の周波数オフセットとステップ調整[35][36]
年月日 オフセット値 (×10−10) ステップ調整 (s)
1960 −150 なし
1961-01-01 −150 なし
1961-08-01 −150 +0.050
1962-01-01 −130 なし
1963-01-01 −130 なし
1963-11-01 −130 −0.100
1964-01-01 −150 なし
1964-04-01 −150 −0.100
1964-09-01 −150 −0.100
1965-01-01 −150 −0.100
1965-03-01 −150 −0.100
1965-07-01 −150 −0.100
1965-09-01 −150 −0.100
1966-01-01 −300 なし
1967-01-01 −300 なし
1968-01-01 −300 なし
1968-02-01 −300 +0.100
1969-01-01 −300 なし
1970-01-01 −300 なし
1971-01-01 −300 なし

1960年国際電波科学連合 (URSI) 第13回総会や1961年国際天文学連合 (IAU) 第11回総会で報時信号の国際同期に関する問題が討議され具体化され、セシウム原子振動標準の周波数 (9192631770 Hz) が公認[37][38]される。

天測航法測地、人工衛星観測などは地球の自転に基づく世界時を要するが、物理学などは時間単位だけが必要で世界時は不適当であることから、標準電波の周波数は原子時に基づき、時刻は世界時に基づくものになり、公認されたセシウム原子の振動数を F0 とすると、周波数や秒間隔は

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