北陸トンネル
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記念切手
開通の当日、郵政省から10円の記念切手が1962年6月10日[17]に発行された。新路線開業ではなく従来線を付け替えたトンネルであったが、当時日本国内の鉄道トンネルとしては清水トンネルの開通以来31年ぶりに最長記録を更新する存在だった。図柄はトンネルを出るキハ80系特急「白鳥」である。また、当初は4月10日発行予定であったが開通が伸びて延期されていた[17]。
しかし、この図柄は以下に示すような多数の間違いが指摘され、エラーの多い切手として名を残すことになった[17][18]。
- トンネルの天井に実際より多くの架線・送電線があり、支持具の形状も実際とは異なる。
- トンネル内の照明が天井にある(実際はトンネルの側壁に設置)。
- 道床が枕木を並べた砂利道床である(実際はコンクリート道床)。
- 車両の乗務員室ドアが描かれていない。
- 車両の車体下部の裾絞りが明確に描かれていない。
- 車両ヘッドマーク下部の換気口が実際より大きい。
- トンネル開通とともに電化開業を伴っているにもかかわらず、気動車であるキハ80系を描いている[12]。キハ80系も北陸トンネルを通過しており間違いではないが、北陸トンネル開通にあわせて新形式のEF70形電気機関車が新製投入されており、同形が牽引する列車を描くべきであったとの指摘がある[18]。
原因であるが、図案作成者の長谷部日出男が前年に撮影した写真と完成予想図だけで描いたものとされている[17]。
マイクロ水力発電
北陸トンネルの南側(敦賀側)では毎秒180リットルの湧き水が流れでて排水路に流している。これに水車形水力発電機を設置して発電に最適な条件を探っている。2014年1月から2015年3月までの間、実証実験を行った。年間約1万kW時(一般家庭3世帯分)の消費電力が生み出される見込みで、発電された電気は近くにあるJR西日本の事務所の照明などに利用する。この実証試験の結果を踏まえて、ほかのトンネルでも導入を検討、余剰電力は電力会社への売電も考える[19]。
新北陸トンネル
新北陸トンネルは福井県南越前町奥野々と敦賀市樫曲を結ぶ延長19,760 m[7][20][注釈 2]の北陸新幹線 越前たけふ駅 - 敦賀駅間にあるトンネルである。
北陸新幹線(高崎駅 - 敦賀駅間)では飯山トンネル(22,225 m)に次ぐ2番目に長いトンネルであり[21][22]、越前たけふ駅 - 敦賀駅間30.150 kmの6割強を占める[23]。ハピラインふくい線の北陸トンネルよりも西方海岸線寄りを貫通する。
2012年6月29日に工事実施計画が認可された[24][25][26]。
工区は奥野々、大桐[7]、清水(南越前町)と葉原[7]、田尻、樫曲(敦賀市)の6工区に分割され[27][28]、2014年[22]12月22日の葉原工区を皮切りに順次着工し、掘削が進められた[29]。
トンネル全体の貫通は2020年3月を予定していたが[27][28]、トンネル周辺の地盤対策のため、当初予定より約4か月遅れて、2020年7月10日に貫通した[27][28][22]。その後、コンクリート覆工や路盤整備などの工事を進め、2021年1月ごろに完成した[27][28]。開通後は日本国内の陸上鉄道トンネルとして6番目の長さとなった。北陸新幹線は2024年(令和6年)3月16日より運行を開始している。
注釈
- ^ 1982年(昭和57年)にスイスのフルカ・オーバーアルプ鉄道(現マッターホルン・ゴッタルド鉄道)にフルカベーストンネル(長さ15,442 m)が開通するまでの20年間は、狭軌の鉄道トンネルとして世界最長であった。
- ^ 当初計画では20,009 m。また、一部報道等で約19.7 kmとの記載も見られる。
出典
- ^ a b c “データで見るJR西日本2020 施設” (PDF). 西日本旅客鉄道. p. 127 (2020年9月). 2021年5月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月3日閲覧。
- ^ a b c 敦賀市 1988, p. 613.
- ^ 北國新聞 2007, p. 254.
- ^ a b 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 I』JTB、1998年10月1日、91頁。
- ^ “福井で並行在来線の準備会社設立 社長「県民を元気に」”. 日本経済新聞. (2019年8月13日) 2021年10月2日閲覧。
- ^ “北陸新幹線敦賀延伸に向け「福井県並行在来線準備株式会社」設立”. マイナビニュース (2019年8月22日). 2021年10月2日閲覧。
- ^ a b c d “【日本の元気 山根一眞】新北陸トンネル「貫通しちゃいました」報告に唖然… 金沢~敦賀間の開業へ進む延伸工事”. ZAKZAK (2019年11月9日). 2021年8月3日閲覧。
- ^ a b 敦賀市 1988, p. 612.
- ^ 福井新聞 2000, p. 623.
- ^ 『北國新聞に見るふるさと110年(下)』北國新聞社、2003年8月5日、31頁。
- ^ 福井新聞 2000, p. 625.
- ^ a b 稲見眞一 (2021年2月17日). “稲見駅長の鉄道だよ人生は!! - 各駅停写の旅 - 切手と消印(13)北陸トンネル開通記念。”. 中京テレビ放送. 2021年7月13日閲覧。
- ^ a b “運転士、緊張の一瞬 デッドセクションを切り抜けろ 交直切り替え、JRに7カ所”. 産経ニュース. (2018年3月4日) 2021年8月3日閲覧。
- ^ “北陸トンネル、auだけつながる謎 JR西日本金沢支社に質問”. 福井新聞ONLINE. (2020年6月10日). オリジナルの2021年7月11日時点におけるアーカイブ。 2021年8月3日閲覧。
- ^ a b c d e f “つるがの四季 No.97” (PDF). 日本原子力研究開発機構敦賀本部. pp. 6-8 (2012年8月). 2021年10月2日閲覧。
- ^ 北國新聞 2007, p. 41.
- ^ a b c d 日本郵趣協会監修『ビジュアル日本切手カタログVol.1記念切手編』、郵趣サービス社、2012年、96頁。
- ^ a b 荒井誠一 切手に見る世界の鉄道 補遺〔7〕 北陸トンネル開通記念切手、鉄道ピクトリアル1964年3月号(通巻155号)pp36-37、電気車研究会。
- ^ 出典・読売新聞2013年12月29日[要ページ番号]・鉄道ファン2014年3月号148頁
- ^ “WORKING REPORT ~北陸新幹線~ 現場との連携で困難な地質を発破掘削で切り開く” (PDF). 鉄道・運輸機構だより 平成28年新春号(No.48). 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 (2017年1月). 2017年6月11日閲覧。
- ^ “北陸新幹線の新北陸トンネルが貫通 金沢ー敦賀間で最長”. 中日新聞Web. (2020年7月10日). オリジナルの2020年8月24日時点におけるアーカイブ。 2021年8月3日閲覧。
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- ^ “北陸新幹線〔津幡・敦賀間〕路線概要図”. 北陸新幹線建設促進同盟会. 2015年2月26日閲覧。
- ^ “整備新幹線の手続き状況”. 鉄道建設・運輸施設整備支援機構. 2019年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月2日閲覧。
- ^ “北陸新幹線の概要”. 新潟県交通政策局交通政策課 (2019年3月29日). 2021年10月2日閲覧。
- ^ 『整備新幹線の工事実施計画の認可について』(プレスリリース)国土交通省、2012年4月4日 。2014年12月16日閲覧。
- ^ a b c d “新北陸トンネル、10日貫通 南越前ー敦賀を結ぶ19.8キロ”. 中日新聞Web. (2020年7月8日). オリジナルの2020年7月12日時点におけるアーカイブ。 2021年8月3日閲覧。
- ^ a b c d “新北陸トンネル福井貫く、北陸新幹線 2023年開業区間で最長、6年がかり”. 福井新聞ONLINE. (2020年7月11日). オリジナルの2020年8月8日時点におけるアーカイブ。 2021年8月3日閲覧。
- ^ 『北陸新幹線 新北陸トンネル(葉原)工事安全祈願の開催のお知らせについて』(PDF)(プレスリリース)鉄道建設・運輸施設整備支援機構、2014年12月16日 。2014年12月16日閲覧。
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