北欧神話 現代への影響

北欧神話

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/07 20:59 UTC 版)

現代への影響

曜日 起源
月曜日 Monday 月の日 Moon's day
火曜日 Tuesday ティウの日 Tiw's day (北欧神話のテュール(Tyr)に相当)
水曜日 Wednesday ウォウドゥンの日 Woden's day (北欧神話のオーディン(Odin)に相当)
木曜日 Thursday 雷(神)の日 Thunder's day (北欧神話のトール(Thor)と同一語源)
金曜日 Friday フリッグまたはフレイヤの日 Frigg's / Freyja's day
土曜日 Saturday ローマ神話のサートゥルヌスより。アングロ・サクソンの神が由来ではない
日曜日 Sunday 太陽の日 Sun's day (北欧神話のソール(Sól)に相当)

ゲルマンの神々は現代において、ゲルマン語派が話されている多くの国々における生活や語彙に数々の足跡を残している。一例として、曜日の名称が挙げられる。ラテン語における曜日の名称(Sun, Moon, Mars, Mercury, Jupiter, Venus, Saturn)を基にして作られた火曜日から金曜日までの名称は、それぞれのローマ神話の神々に相等する北欧の神々に取って代わった。英語の土曜日(Saturday)はサターンが起源とローマの神に由来するが、ドイツ語では土曜日のザムスターク(Samstag)は Sabbath から付けられたもので、スカンディナヴィア地方では「洗濯日」と呼ばれている。

ゲルマン・ネオペイガニズム

最近ではヨーロッパとアメリカ合衆国の2つの地域において、「ゲルマン・ネオペイガニズム」(ゲルマン復興異教主義)として古きゲルマン宗教を復興しようとする試みが行われている。これらはアサトル、オーディニズム、ヴォータニズム、フォーン・セド(Forn Sed)またはヒーゼンリィという名の元に存在している。アイスランドでは、アサトルが1973年に国家公認による宗教として認められ、結婚や子供の名づけ方、その他の儀式においてこの宗教の介入が合法化された。アサトルはかなり新しい宗教ではあるものの、北欧諸国で公認または合法の宗教として認知されている。

現代の大衆文化

北欧神話はリヒャルト・ワーグナーの作品『ニーベルングの指環』を構成する4つのオペラの題名に使用され、同じく北欧神話をモチーフにした他の作品への基盤となった。

その後に製作された、J・R・R・トールキンの『指輪物語』も、キリスト教化以前の北方ヨーロッパにおける固有の信仰に、非常に影響を受けた作品と言える。この作品が人気を呼ぶにつれ、そのファンタジー要素は人々の感性や他のファンタジーのジャンルを、絶えず揺り動かしている。近代的なファンタジー小説にはエルフやドワーフ、氷の巨人など、北欧の怪物たちが多く登場する。のちの時代になって北欧神話は、大衆文化や文学・フィクションにおいて、多くの影響を残しているのである。


注釈

  1. ^ フィンランド人はゲルマンとは全く系統の違う民族である。
  2. ^ スノリのエッダ「詩語法」に伝えられる、ドヴェルグの兄弟ブロックとエイトリとの賭けに負けたときのロキの姿。
  3. ^ ただし「ギュルヴィたぶらかし」17章においては、さらに上に第二の天アンドラングと第三の天ヴィーズブラーインがあるとされる。
  4. ^ 「ギュルヴィたぶらかし」9章の記述による。「巫女の予言」18節によればオーディン、ヘーニルローズルの三神。
  5. ^ それぞれウルズ(ウルド)、ヴェルザンディ(ヴェルダンディ)、スクルドという名で、各々は過去、現在、未来を司る。
  6. ^ まだ若かったヤドリギ以外、この世に存在するすべてのものは、バルドルを傷つけられないと約束されていた。しかし、ロキはこの唯一の弱みを利用し、ヤドリギの矢を造ってオーディンの息子でありバルドルの兄弟でもある盲目のヘズを騙して、矢を使わせバルドルを殺すことに成功する。ヘルは全世界の人々が嘆き悲しむのであれば、彼を蘇らせようと言った、という内容の物語。
  7. ^ 底本はG.ネッケル英語版H.クーン英語版編『Edda』(Heidelberg 1962 第3版)およびA.ホルツマルクJ.ヘルガソン編『Snorri Sturluson, Edda』(Stockholm 1950 第2版)[6]。奥付の編者について、第1刷では「V.G.ネッケル, H.クーン, A.ホルツマルク, J.ヘルガソン」表記になっており、例えば国立国会図書館の書誌情報(国立国会図書館サーチR100000002-I000001274352)もその表記となっているが、正しくは「G.ネッケル, H.クーン, A.ホルツマルク, J.ヘルガソン」。近年の刷では修正されている(2021年3月25日第24刷で確認)。

出典

  1. ^ しかし時代差を含意する『古エッダ』『新エッダ』という名称は語弊があるとして近年では避けられる傾向にある。ピーター・オートン、伊藤盡訳「異教神話と宗教」151頁を参照。
  2. ^ DR 284 Archived 2006年5月4日, at the Wayback Machine.
  3. ^ 『世界の神話百科 ギリシア・ローマ/ケルト/北欧』原書房 492頁
  4. ^ 谷口 1973, p.1. 「凡例」一.
  5. ^ 小澤 2021, p. 15.
  6. ^ 谷口 1973, pp. 1, 8.
  7. ^ 小澤 2021, p. 19.






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