力 (物理学) 古典力学

力 (物理学)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/28 09:03 UTC 版)

古典力学

古典力学
量記号 F
次元 M L T −2
種類 ベクトル
SI単位 ニュートン (N)
CGS単位 ダイン (dyn)
FPS単位 パウンダル (pdl)
MKS重力単位 重量キログラム (kgf)
CGS重力単位 重量グラム (gf)
FPS重力単位 重量ポンド (lbf)
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定義

古典力学における英語: force)の、最も初等的な定義は質量加速度の積を力とするものである。

力の合成dT と力 dN を合成した力 dF は平行四辺形の法則によって対角線として計算できる。

力の合成とは、ある点に働く複数の力を 1 つの等価な力として表すことを言う。またその逆の操作を力の分解 (decomposition of force) と呼ぶ[17]。合成された力のことを合力 (resultant force) という[18]。 力はベクトルとして定義されているので[19]ベクトル空間における加法の規則に従い合成と分解を行うことができる[20]。力と運動量がベクトルであることにより、運動方程式を任意の成分に分解することができる。この原理を運動の独立性 (independence of motions) という[19]

分解された力と元の力、あるいは合成される力とそれらの合力の関係を図形的に表すものとして、力の平行四辺形がしばしば用いられる。力の分解に関して、2 成分に分解された力は平行四辺形の辺をなし、その対角線は元の力となる。同様に、2つの力が同じ点に働くと、それらは平行四辺形の辺をなす。2つの力の合力は2つの力のなす平行四辺形の対角線として図示される[20]。力の分解や合成を平行四辺形の組み合わせによって表すことができる、という法則を平行四辺形の法則 (parallelogram law) と呼ぶ[14]。平行四辺形の法則はまた、ニュートンの第4法則 (Newton's fourth law) とか力の重畳原理 (superposition principle of force) とも呼ばれる[14]

分類

連続体力学などの分野では、力は次の 2 つに分類される。

面積力
面を通して作用し、その大きさが面積に比例する力[21]。表面を横切る微視的な運動量流束とも言え[22]表面力とも呼ばれる。物体の面を介して作用するので近接作用力である[23]。例としては圧力応力表面張力などが挙げられる。
体積力
物体の体積に比例する力[24]物体力とも呼ばれる。物体には直接触れずに作用する力なので遠隔作用力である[23]。例として重力遠心力コリオリ力電磁力などがある。

注釈

  1. ^ ステヴィンによるこの問題の証明は Epitaph of Stevinus (ステウィヌスの碑)と呼ばれる。Stevinus はステヴィンのラテン語名。
  2. ^ ただし現在用いられるベクトルの記法が発達したのは19世紀以降である[3]
  3. ^ a b 太字の変数はベクトル量を表す。
  4. ^ 力、質量、加速度の順序や記号は単に慣習的なものであり、文献によって様々な表現がある。例えば ma = F のように書かれている文献も数多くある。いずれにせよ、数学上あるいは物理学上の意味は同じである。
  5. ^ 古典力学のうち、非相対論的な力学をニュートン力学と呼ぶ。ただし文献によっては古典力学に相対論を含めないものもある。
  6. ^ この運動量は四元運動量の空間成分である。
  7. ^ 科学技術分野で一般的な国際単位系では質量の基本単位はキログラムである。従ってこの場合の単位質量は 1 kg となる。ヤード・ポンド法では質量の基本単位はポンドとなるため、単位質量は 1 lb となる。
  8. ^ 記号に対する上付きの添字はその量のベキを表す。たとえば A2A × A を意味する。負数のベキは逆数のベキを表し、たとえば B−21/B × 1/B、つまり 1/B×B を意味する。折衷的な表現として B−21/B2 と表すこともしばしばある。
  9. ^ 作用点はまた着力点とも呼ばれる[13]
  10. ^ 関数 f(u) のベクトル u による微分は、ベクトル u の各成分 ui, i = 1, 2, ..., d に対する偏導関数 f/ui を成分に持つベクトル (f/u1, f/u2, ..., f/ud)、つまり勾配を与える。
  11. ^ ここで ·q(t)関数 q(t)t による微分を表す。この微分の記法はニュートンの記法と呼ばれる。
  12. ^ この記法はあまり一般的ではない。一般化力を表す記号としてはしばしば Q が用いられる。

出典

  1. ^ a b c 培風館物理学三訂版 2005, 【力】.
  2. ^ 小出 1997, p. 18.
  3. ^ 湯川 1975, pp. 58–62.
  4. ^ Barbour 2001.
  5. ^ 内井 2006.
  6. ^ Newton's Mathematical Principles of Natural Philosophy, Axioms or Laws of Motion, Corollary I. ウィキソース
  7. ^ Clausius 1850.
  8. ^ Rankine 1853.
  9. ^ 江沢 2005, p. 91.
  10. ^ 新井 2003, pp. 151–152.
  11. ^ 新井 2003, p. 152.
  12. ^ a b 江沢 2005, p. 7.
  13. ^ a b 新井 2003, p. 150.
  14. ^ a b c 新井 2003, p. 151.
  15. ^ ランダウ & リフシッツ 1974, pp. 17–18.
  16. ^ ランダウ & リフシッツ 1974, pp. 18–19.
  17. ^ 江沢 2005, p. 9.
  18. ^ 江沢 2005, p. 6.
  19. ^ a b 江沢 2005, p. 62.
  20. ^ a b 江沢 2005, pp. 4–6.
  21. ^ 巽 1982, pp. 33–31.
  22. ^ Ferziger & Perić 2003, p. 5.
  23. ^ a b 京谷 2008, p. 31.
  24. ^ 今井 1997, p. 13.
  25. ^ "Any external agent that causes a change in the motion of a free body, or that causes stress in a fixed body." Glossary - Earth Observatory, NASA


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