体操 各国での体操の発展

体操

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/01 18:05 UTC 版)

各国での体操の発展

日本

日本では、1867年に幕府が招聘したフランス軍事顧問団によりフランス式操練が伝習され、それが諸藩の兵制改革とともに普及する過程で、西洋式軍事訓練に耐えうる身体能力向上のための基礎訓練が、体操・体術・筋節運動などの呼称で実施された[6]。それらは主に徒手体操であったが、明治初期には陸軍戸山学校での体操器械を備えた体操場設立をはじめ、陸軍士官学校や各地の陸軍営所でも体操器械が設置され、器械体操が軍事訓練の手段として推奨・導入された[7][8]

一方、学校教育においては、文部省が学校体操の選定と指導者養成を目的として、1878年体操伝習所を設立、アメリカの医学士リーランドを教師として招聘した。リーランドは日本人の体格に適当な体操として、軍隊式器械体操(重体操)ではなく、木唖鈴・球竿・棍棒・木環などの軽手具を使用する「軽体操」(徒手体操を含む、のち普通体操に改称)を選定、伝習所の他にも、東京女子師範学校東京師範学校大学予備門東京外国語学校でも指導して体操教員養成と軽体操の普及に尽力した。リーランド帰国(1881年)後は通訳を務めていた坪井玄道がその後を継いだ[9]。しかし、1883年徴兵令改正(兵役年限短縮条項)を契機として、中等学校での陸軍式の「歩兵操練科」設置が企図され、1885年には「兵式体操」と改称、初代文部大臣森有礼は心身の集団的規律訓練の手段としてその導入を積極的に推進し、翌1886年に普通体操(軽体操)と併行して師範学校を中心とする中等学校体操科(男子)に正式に導入された。

20世紀になると、川瀬元九郎や、井口あくりら海外留学者が指導者となり[2]永井道明を中心に研究されたスウェーデン体操が学校体操教授要目として1913年に公布され、1941年国民学校発足までの約30年間にわたり主流となった。国民学校発足後、体操は一流一派に偏ることなく体操の学理に基づき、良いものを自由に取り入れる方針が立てられ、各種の体操の長所が取り入れられるようになった。

また、ラジオ体操1928年NHKラジオ放送によって国民保健体操を全国に普及指導したのが始まりで、第二次世界大戦後は一時廃止されたが、1951年に新ラジオ体操が復活し、今日に至っている。

チェコ

ソコル体操は民族の団結と国民の体力増進を目的として開発したもので、「人間の集団美」を追求した体操である。チェコでは6年に1回、ソコル体操の大会が行われる。


  1. ^ a b c d e f 村山鉄次郎「体操とヤーンについて」『明治大学教養論集』第37号、明治大学教養論集刊行会、1967年、14-24頁、hdl:10291/93762019年6月8日閲覧 
  2. ^ a b c d e f 平凡社 編「体操」『大百科事典』 16巻、平凡社、1935年。全国書誌番号:47008399 
  3. ^ 松尾順一『ドイツ体操祭と国民統合 近代ドイツにおける全国体操祭に関する史的研究(1860〜1880)』創文企画、2010年9月。ISBN 978-4-86413-001-1 
  4. ^ ドイツ体操連盟 編『ドイツ体操祭 ドイツ体操運動の構築』吉中康子、今村悟 訳、晃洋書房、2003年4月。ISBN 4-7710-1438-8 
  5. ^ a b デンマーク体操の歴史”. アンセル(デンマーク体操愛好グループ). 2015年5月24日閲覧。
  6. ^ 木村吉次 編著「6章-[4]日本の近代学校体育の成立(大熊廣明)」『体育・スポーツ史概論』市村出版〈体育・スポーツ・健康科学テキストブックシリーズ〉、2001年11月。ISBN 4-9900743-4-3 
  7. ^ 村山鉄次郎「わが国の体操の歴史−特に昭和初期までの器械体操について−(その1)明治時代の体操の展開」『明治大学教養論集』第220号、1989年、1-16頁、hdl:10291/8890 
  8. ^ 大久保英哲「近代日本体育の形成における幕末フランス軍事顧問団の影」『体育学研究』第54巻第1号、日本体育学会、2009年、1-14頁、doi:10.5432/jjpehss.a540107 
  9. ^ 1882年6月、体操伝習所はリーランドの教授・実践をふまえ『新撰体操書』(坪井玄道訳述)および『新制体操法』の2書を刊行。


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