中島義道 経歴

中島義道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/09 19:14 UTC 版)

経歴

1946年、福岡県門司市生まれ[1]。1965年、神奈川県立川崎高等学校を卒業。東京大学文科I類に入学した。1971年、東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学分科を卒業。その後は同大学大学院人文科学研究科に進んだ。1973年、東京大学大学院人文科学研究科哲学専攻修士課程を退学。東京大学法学部に移って1976年に卒業した。1977年、 東京大学大学院人文科学研究科哲学専攻修士課程を修了し、文学修士号を取得。その後、オーストリアに渡り、1983年にウィーン大学基礎総合学部哲学科を修了し、ウィーン大学に学位論文『カントの時間構成の理論』を提出して哲学博士号を取得。

翌1984年、東京大学教養学部助手に採用。1987年、帝京技術科学大学助教授となった。1995年4月から2009年まで電気通信大学教授を務めた。2008年より広く哲学を志す人のための「哲学塾カント」を開講して執筆活動と併せて活動をしている。

職歴

研究内容・業績

哲学研究

  • 著作として『カントの人間学』、『哲学の教科書』及び『ウィーン愛憎』が一般にはよく知られている。これらの著作ではカント哲学の読み解き、また留学体験を通して感じたヨーロッパ文明に対する批判を平明な文体で展開している。
  • 現在は「哲学塾カント」を開設している。

時間論

中島は一貫して未来は本質的にどんなに近い未来だとしても、無だと主張している。例えば、「明日はピクニックがある」の明日あると了解することは、我々が今まで帰納的に導いたことであって、寸毫も明日が確実にあると実証することはできないという。すなわち、未来本物論者は未来完了形的に、いままで明日は偶然にもあった(存在した)ので、その過去を延長して未来(明日)があると思い込んでいるだけだという。(例えば、明日突然地球がなんの前触れもなく崩壊した場合、自分が死んだ場合は未来は無である。)中島によれば、こういった未来の描写はあくまでも概念的にしか捉えられていないので、いささかも未来の実在性を証明してはいないとされる[要出典][2]

日本の現代社会に関して

  • 研究の主とするカント哲学やヨーロッパ文明批判以外に、日本社会における騒音景観に対する無頓着さへの批判でも知られる。1996年、様々なありがた迷惑な騒音を是とする現代日本に異議を申し立てたエッセイ『うるさい日本の私』により認知される(タイトルは、川端康成の『美しい日本の私―その序説』と、大江健三郎の『あいまいな日本の私』の、2人のノーベル文学賞受賞記念講演のパロディである。この「うるさい」ということばは、「日本」だけでなく「私」をも形容しているのだ、と本人自身が述べている)。
  • 大学の哲学科が無くなることには肯定的であり「哲学はまったく役に立たず、自他の幸福を望むこととは無関係であり、反社会的で、危険で、不健全なもの」であり「それにもかかわらず哲学をしなければ死んでしまう全人口の1パーセント未満の人のためにのみ哲学を学ぶ「真の場所」を設置すること」を推奨している[3]

人物

  • 教養学部文科一類では、西田典之(刑法学者、東京大学名誉教授)と同級生であった[4]
  • 大の偏食家であり、8割以上の食物が苦手である[5]。アナウンスなどの騒音も大嫌いで、JRなど各地に抗議を繰り返し「闘い」を行っていた。「静かな街を考える会」に参加している[6]
  • 2023年3月21日、脳梗塞で倒れ左半身不随となり、河北総合病院に入院した[7]

  1. ^ 新潮社プロフィール
  2. ^ 中島義道『時間を哲学する―過去はどこへ行ったのか』講談社現代社新書、1996年、172頁
  3. ^ 哲学が人類を「幸福にしない」これだけの理由 | 哲学塾からこんにちは | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
  4. ^ 中島義道『孤独について』(文春新書、1998年)、『東大助手物語』(新潮社、2014年)
  5. ^ 中島義道『ぼくは偏食人間』(新潮社、2000年)
  6. ^ 闘う哲学者と「うるさい日本の街」の30年戦争 | 哲学塾からこんにちは | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
  7. ^ 中島 義道 主宰 哲学塾カント - ウェイバックマシン(2023年4月10日アーカイブ分)


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