世界都市博覧会 会場予定地のその後

世界都市博覧会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/31 10:05 UTC 版)

会場予定地のその後

会場予定地だった場所は、相次いで分譲され、日本科学未来館フジテレビ湾岸スタジオヴィーナスフォートダイバーシティ東京などが相次いで建てられた。

2020年東京オリンピックでは、3x3バスケットボールスポーツクライミングの会場、同パラリンピックでは5人制サッカーの会場として使われた仮設施設「青海アーバンスポーツパーク」は、青海地区R区画。スポンサー企業が出展したパビリオン・ブースや、スポーツ体験コーナーなどで構成された「2020ファンパーク」は、P・O・N区画。「2020ファンアリーナ」はUV区画に配置された[9]。いずれも世界都市博会場予定地だった場所である。開催中に聖火台が設置された「夢の大橋」も、世界都市博会場の一部となる予定だった[10]。メインプレスセンター(MPC)・国際放送センター(IBC)として使用された東京国際展示場は、世界都市博ではテーマ館として使用される予定だった。

関連の話題

  • 博覧会には「東京大使」というマスコットキャラクターが存在し、東京都庁のロビーにも博覧会のPR用にプラスチック製の人形が設置されたが博覧会中止を受け直ちに職員によって撤収され、お蔵入りとなった。
  • 開催までの日数を示す「残日表示計」が都庁や銀座など全国23カ所に設置されていたが、中止が決まった5月31日を境に「あと298日」という文字が消えた[11]
  • イメージキャラクターは女優の戸田麻衣子戸田菜穂の妹)でCMにも出演していた。
  • 都内121社が加盟する「世界都市博記念品協会」が関連商品を制作し、博覧会中止が決まるまでに既に約350種の関連商品が発売されていた[7]。最終的に1000種を超える関連商品が出る予定で、売上目標は30億円とされていた[7]。中止か開催かでもめていた頃には急激にグッズの売り上げが伸び、中止になると「グッズを買いたい」という問い合わせが相次ぎ、青島知事はグッズ製造業者に「責任もって買います」と発言し、記念品協会事務局では売店から返品された関連商品を販売した[7]
  • 記念テレホンカード[注 1]は1994年末に6000枚が製作され、以後は作られなかった[7]。博覧会が中止と決まるとすぐに都庁の売店などで売られていたそれらは売り切れになり、コレクターにも人気になった。
  • 都営バスの側面に広告ステッカーがつけられていたが中止になると全面撤去された。
  • イメージソングはスティーヴィー・ワンダーの「For Your Love英語版」(アルバム「カンバセーション・ピース」に収録)で、横山輝一の日本語ヴァージョンも作られた[注 2]シングルCDも発売[注 3]され、日本語ヴァージョンのディスクジャケットには世界都市博覧会のロゴや開催予定日、東京大使も印刷されていた。ポリドールによれば博覧会中止が決まるまでに、日本でスティーヴィー・ワンダー版のシングルCDは約3万枚、アルバムは約20万枚弱が発売された[7]
  • 中止決定前、梶原しげるの本気でDONDONでアシスタントが都知事選について「誰が当選しても行われる都市博」と発言した。実際に中止になったことでこの発言は虚偽となったが特に批判は起こらなかった。
  • 中止当時のニューヨーク市長ルドルフ・ジュリアーニはおわび行脚で青島知事と初対面した際には「公約を守ったことを尊敬している」と話した。
  • 1995年12月9日に公開された映画『ゴジラvsデストロイア』は、臨海副都心を舞台の一つとしているが[12]、当初都市博の会場の一部が舞台に設定されていたが博覧会の中止によって脚本段階で変更を余儀なくされた[13]。これに伴い羽田空港が舞台に追加された[14]
  • 1996年、としまえんで開園70周年を記念し「としまえん博覧会'96」、略して「とし博」と題したイベントが行われた[15][16][17]。CMには三波春夫が出演しており[18]、「グローバルダイちゃん」(練馬大根がモチーフ)というマスコットキャラクターが存在した[19]
  • 1999年、台場で開催されたフジテレビ主催のイベント「BANG PARK(フジテレビ番組博覧会)」のCMに青島幸男が登場し、「BANG PARKやります!」と宣伝していた[20]
  • 漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』では、基本的に4年に1度の夏季五輪の年にしか起きない日暮熟睡男が登場した第100巻[21]で都市博中止の話題が出るなど、作中の会話内で複数回「都市博」という単語が出ている。
  • ニッポン放送キャイ〜ン天野ひろゆきのMEGAうま!ラジオバーガー!!」では「世界ドジ博」という企画が存在した。
  • 青海南ふ頭公園には、都市博のために34億7000万円をかけて造られた巨大な地下駐車場(218台収容可)が現存する[22]。ごくまれにイベントスペースとして使われることがあるが、採算性の問題から駐車場としては一度も供用されていない[23]
  • 高知県は「世界都市博の中止」を公約した青島都知事が当選したことを受けて出展申し込みを延期[24]神戸市は出展予定だったが、阪神・淡路大震災を受けて準備作業を凍結。最終的には復興を優先するため出展辞退を決めた[25]
  • 東京都新宿区にある東京都道新宿副都心四号線の地下通路にある動く歩道は、元々は世界都市博覧会で設置されて博覧会終了後に移設される予定だったものである。博覧会が中止になった後は東京都が予算を講じて予定通り動く歩道の設置を決めた。1996年1月24日には、工事をめぐって地下通路に居座っていたホームレスとの衝突が発生した[26]

注釈

  1. ^ 東京大使が印刷されたもの。
  2. ^ レーベルはスティーヴィー・ワンダー版がポリドール、横山輝一版がポリスター
  3. ^ 規格品番はスティーヴィー・ワンダー版12センチCD:POCT-1054、同8センチCD:PODT-1021、横山輝一版8センチCD:PSDR-5211。

出典

  1. ^ a b c d e f g 『世界都市博覧会-東京フロンティアー   -構想から中止まで-』東京フロンティア協会、1996年、296-頁。 
  2. ^ a b c d e 『世界都市博覧会-東京フロンティアー 事業ガイド』東京フロンティア協会、1994年、9-10頁。 
  3. ^ a b 川島佑介「必然でも偶然でもなく : 1995年「世界都市博覧会」中止の政治学的分析」『名古屋大学法政論集』第269巻、名古屋大学大学院法学研究科、2017年1月31日、309-328頁、doi:10.18999/nujlp.269.13hdl:2237/25763ISSN 0439-5905 
  4. ^ “春秋” (日本語). 日本経済新聞 電子版. (2013年9月24日). https://www.nikkei.com/article/DGXDZO60090420U3A920C1MM8000/ 2018年11月23日閲覧。 
  5. ^ “都市博中止の損害補償8億、都、国内外都市分。”. 日本経済新聞. (1995年11月9日) 
  6. ^ “都市博中止での都緊急融資、20億円未回収”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2009年12月14日). オリジナルの2009年12月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20091215074031/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091214-OYT1T00494.htm 2009年12月14日閲覧。 
  7. ^ a b c d e f g 「やじうまウォッチャー 第10回 テレカ“東京大使”人形からCD、チケットまで 都市博中止でお役御免のグッズはどうした!」『週刊宝石』1995年6月29日号、56-59頁。
  8. ^ 『臨海副都心物語』平本一雄著、2000年中公新書。ISBN 9784121015419
  9. ^ 青海地区東京都港湾局、2022年1月20日閲覧
  10. ^ 『東京2020オリンピック公式ガイドブック』p140~141、『東京2020パラリンピック公式ガイドブック』p118~119、いずれも2021年、KADOKAWA
  11. ^ “青島都知事の都市博中止決断 ぼう然、事務局職員 長い1日を追う”. 読売新聞朝刊. (1995年6月1日) 
  12. ^ VSデストロイアコンプリーション 2017, p. 63, 「暴走スポットガイド」
  13. ^ VSデストロイアコンプリーション 2017, p. 83, 「スタッフインタビュー 大森一樹」
  14. ^ VSデストロイアコンプリーション 2017, p. 86, 「スタッフインタビュー 富山省吾」
  15. ^ 豊島園70周年記念「とし博96」 アサヒビールとスイスがパビリオン出展、日本食糧新聞、1996年7月26日。
  16. ^ とし博開催日決定東京コピーライターズクラブ - 2021年4月2日閲覧。
  17. ^ 年表で振り返る平成エンタメ史・前編 指南役のエンタメのミカタ 第19回、FRIDAYデジタル、2019年4月10日。
  18. ^ とし博 とし博 開催前東京コピーライターズクラブ - 2021年4月2日閲覧。
  19. ^ furusato_nerimaのツイート(1455765032009043969)
  20. ^ 青島前知事が“ばんぱく”CMに - ウェイバックマシン(2000年10月28日アーカイブ分)
  21. ^ コミックス第100巻収録「日暮巡査の潜在能力!?の巻」。1996年アトランタ五輪の回
  22. ^ 革新都政をつくる会〔会の機関紙「都民がつくる革新都政」2007年11月15日発行〕”. kakushintosei.org. 2019年6月22日閲覧。
  23. ^ 東京台場にもあった都市伝説!? 閉鎖された地下駐車場に潜入!”. clicccar.com(クリッカー) (2011年6月27日). 2019年6月22日閲覧。
  24. ^ “世界都市博中止宣言 高知県、申し込み延期”. 読売新聞朝刊. (1995年4月13日) 
  25. ^ “都市博、神戸は出展辞退 阪神大震災の復興を優先”. 読売新聞朝刊. (1995年5月3日) 
  26. ^ 東京地方裁判所 平成8年(刑わ)235号 判決 - 大判例






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