三倍増醸清酒 製造手法

三倍増醸清酒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/18 23:43 UTC 版)

製造手法

米と米麹で作ったもろみに清酒と同濃度に希釈した醸造アルコールを入れ、これに糖類(ぶどう糖・水あめ)、酸味料(乳酸・こはく酸など)、グルタミン酸ソーダなどを添加して味を調える。こうしてできた増醸酒は約3倍に増量されているため、三倍増醸酒・三倍増醸清酒などと呼ばれる。

三倍増醸清酒は、そのままの状態で出荷されることはなく、アルコールを添加した清酒などとブレンドされて製品化される。

普及の背景

第二次世界大戦後、外地米の輸入が途絶えた上に引揚者復員兵によって人口が増加したため米不足が深刻となった。そのため、戦時中から認められていたアルコールの添加による清酒の増量に加えて、増醸酒の製造が認められた。

米不足が解消した後も、酒造米の配給制度が続き自由に酒造米を購入できなかったこと、低コストで清酒を製産できるので利益率が高いこと、大量に生産できるので消費の拡大に対応ができたこと、消費者が米不足のため低精白になり雑味などが増えた純米酒よりは三倍増醸清酒を好んだことなどにより、戦後の清酒の主流であり続けた。

しかし、1970年代半ばにおこった地酒ブームなどを通じて、次第に清酒へ高い品質を求める消費者が増え始めたため、アルコール添加量が少なく糖類などを添加していない本醸造酒や、純米酒などの生産が増え始めた。

改正前の酒税法では、醸造アルコールを含む副原料の使用量は白米重量を超えない量とされていたが、2006年の酒税法改正により、副原料の使用量は白米重量の50%以下に変更されたため、現在は3倍までは増量できなくなった(三増酒は清酒ではなくなった)。現在は実質的に醸造アルコールの使用量は白米1トンあたり280リットル以下に制限されており、国税庁の2012年統計によれば、特定名称酒以外の清酒の醸造アルコールの平均使用量は白米1トンあたり約280リットルになっている。この添加量は、アルコール添加率にすると約45%であり、ここまでアルコール添加した清酒は、いわば二倍増醸清酒(二増酒)という事になる。

関連項目




「三倍増醸清酒」の続きの解説一覧




三倍増醸清酒と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「三倍増醸清酒」の関連用語






6
74% |||||





三倍増醸清酒のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



三倍増醸清酒のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの三倍増醸清酒 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS