一様空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/02 03:01 UTC 版)
一様収束性
本節では集合Xから一様空間への写像全体の集合F(X,Y)に一様構造が入る事を見る。この一様構造がF(X,Y)に定める位相におけるネットの収束をネットの一様収束という。本節では一様収束のいくつかの関連概念をまとめて扱うため、Xの部分集合の集合を考え、「の元に関する一様収束」という概念を導入する。具体的にはとして以下の3種類を考える:
- の一点集合
- のコンパクトな部分集合
最後のものに関してはXに位相構造が入っている事を仮定している。通常の一様収束は最初のものであり、2番目は各点収束、3番目はコンパクト収束である。
定義・定理 (一様収束性(の一様構造、位相構造)) ― Xを集合とし、をXの部分集合の集合とし、を一様空間とし、Dをを定める擬距離の集合とする。さらにF(X,Y)をXからYへの写像全体の集合とする。
さらに、に対し、
とする。このとき
が生成するF(X,Y)上の一様構造をの元に関する一様収束の一様構造(英: uniformity of uniform convergence on members of )といい、この一様構造がF(X,Y)に定める位相をの元に関する一様収束の位相構造(英: topology of uniform convergence on members of )といい、さらにこの位相におけるネットの収束をの元に関する一様収束(英: uniform convergence on members of )という[46][47]。
特に、の元に関する一様収束(の一様構造、位相構造)において、
- のとき、単に一様収束(の一様構造、位相構造)という。
- の一点集合のとき、各点収束(の一様構造、位相構造)という。
- のコンパクトな部分集合のときコンパクト収束(の一様構造、位相構造)という。
の元に関する一様収束の一様構造は以下のように擬距離により特徴づける事が可能である。よって特に擬距離空間においては我々の考えている一様収束音概念が通常の一様収束の概念と一致する事がわかる:
定理 (擬距離の集合による一様収束性の一様構造の特徴づけ) ― Xを集合とし、をXの部分集合の集合とし、を一様空間とし、Dをを定める擬距離の集合とする。
、に対し、F(X,Y)上の擬距離d*を
により定義する。このとき、擬距離の集合
コンパクト収束に関しては以下が成立する:
一様収束の一様構造は以下の性質を満たす:
定理 ―
出典
- ^ a b c d “固有な作用の一様連続性について”. pp. 5-6. 2021年4月7日閲覧。
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- ^ a b #Schechter p.490.
- ^ #Kelly p.198.
- ^ #Schechter pp.505-506.
注釈
- ^ 関数解析では一様収束の位相を一様位相と呼ぶことがあるので注意。
- ^ 離散一様構造があるので、を含む一様構造は少なくとも1つ必ず存在する。しかしを含む一様構造の中で最小のものが存在するとは限らない。
- ^ a b Kellyは一様構造の基底、準基底という概念を定義しているが、これらはいずれも前一様構造とは別概念である。参考までに基底、準基底の定義を載せると以下の通りである:を一様空間とする。このときの部分集合がの基底[訳語疑問点](英: base)であるとは、任意のに対し、となるが存在する事をいう[1]。またの部分集合がの準基底[訳語疑問点](英: subbase)であるとは、の有限個の元の共通部分全体の集合がの基底になっている事をいう[1]。
- ^ 前一様構造である事は保証されるものの、一般には一様構造になると事は保証されない[12]。
- ^ すなわちが可算集合であり、しかも#Kelly p.177の意味での基底(英: base)[注 3]になっているという事。
- ^ 例えばを完備な擬距離空間とし、u0∈Xを任意の点とし、さらにu1をXに属さない任意の点とするとき、とし、上の距離を とする(すなわち、と定義し、それ以外は)と定義する)と、も完備となる。よってXの完備化はX自身ととで2つあることになる。
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