ヴィスマール 歴史

ヴィスマール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/14 06:50 UTC 版)

歴史

ハンザ都市

ヴィスマールは1229年都市権を獲得したと言われ、1241年には市参事会の存在が、1256年には市章の使用が証明されている[3]1301年メクレンブルクの領地となった。1259年、バルト海を横行する海賊から都市と船舶を守るためリューベック及びロストックと協定を結び、それが後にハンザ同盟へと発展した。かくて1358年以降ヴェンド地方の都市グループの一都市としてハンザの中核地域の一部となった[4]1470年 頃の人口は約8000人であった[5]。中世末期1ヘクタール当たりの住民数は150であった[6]

13世紀から14世紀にかけてこの町はビール製造・販売、樽製造、毛織物を主産業として繁栄した。1376年に疫病によって1万人もの死者を出したにも拘わらず、16世紀まで栄えた。

1510年頃にはじめて出版されたドイツの民衆本『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』、その第65話で主人公は馬の仲買人として市場に登場するが、舞台がヴィスマールに設定されている[7]

1532年には宗教改革が行われた[8]

スウェーデン統治下

1648年ヴェストファーレン条約で、ヴィスマールはその支配権と都市領主の称号を神聖ローマ帝国からスウェーデンに譲渡された。こうしてスウェーデンの君主神聖ローマ帝国内に所有する事となったヴィスマール及び他の領地の「公」または「帝国諸侯」として帝国議会に参加するようになった。1653年には、スウェーデン諸領の最高裁判所がヴィスマールに設置された。1803年スウェーデンはヴィスマールとその支配権をメクレンブルクに「100年後に買戻す権利を自国が保有する」という条件を付きで、125万8千リグスダレルの担保として譲渡した。このスウェーデンの付けた条件のため主権の所在が曖昧となり、ヴィスマールは1897年までメクレンブルクの議会に代表を送ることが出来なかった。1903年スウェーデンは最終的にその権利を放棄した。

ヴィスマールは都市固有の旗を掲揚する権利など古くからの都市の特権の名残を今日まで持ち続けている。

19世紀の過渡期におけるヴィスマールの主要な生産品は、鉄鋼、機械、紙、ルーフィング原紙(屋根葺きの下地用に加工された紙)、アスファルトであった。また、とりわけ海の近くに位置する立地条件の良さから穀物、脂肪種子、バターの輸出及び石炭、材木、鉄の輸入などの交易が盛んに行なわれていた。ヴィスマール港は喫水5メートルの船舶が通航可能な水深があり、船を直接港に横付けしての積み荷の揚げ降ろしが可能だった。

ヴィスマールの聖ゲオルギウス教会

近現代

第二次世界大戦末期の1945年5月2日、ヴィスマールはイギリス軍に占領され、5日後の5月7日にはソ連軍もヴィスマールに到達している。そのためヴィスマールは東西連合軍の接触ラインとなったが、7月にソ連占領地域となることが決まったため、イギリス軍はヴィスマールから撤退している。

その後、東ドイツロストック県の管轄となった後、1990年ドイツ再統一後はメクレンブルク=フォアポンメルン州の一部となった。2002年には旧市街地がシュトラールズント歴史地区とヴィスマール歴史地区として、世界遺産に登録された。


  1. ^ Statistisches Amt M-V – Bevölkerungsstand der Kreise, Ämter und Gemeinden 2021 (XLS-Datei)
  2. ^ Dieter Berger: Duden, geographische Namen in Deutschland: Herkunft und Bedeutung der Namen von Ländern, Städten, Bergen und Gewässern. Mannheim/Leipzig/Wien/Zürich: Dudenverlag, 1993 (ISBN 3-411-06251-7), S. 278.
  3. ^ Lexikon des Mittealters. Bd. IX. München: LexMA Verlag (ISBN 3-89659-892-9). Sp. 259.
  4. ^ エーディト・エネン『ヨーロッパの中世都市』(佐々木克巳訳)岩波書店、1987年、(ISBN 4-00-002373-X) 、232-233頁。
  5. ^ Lexikon des Mittealters. Bd. IX. München: LexMA Verlag (ISBN 3-89659-892-9). Sp. 259.
  6. ^ エーディト・エネン『ヨーロッパの中世都市』(佐々木克巳訳)岩波書店、1987年、(ISBN 4-00-002373-X) 、278頁。
  7. ^ 阿部謹也訳『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』岩波文庫 1990年 (ISBN 4-00-324551-2) 226-228頁。- 藤代幸一訳『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』法政大学出版局 1979年 185-186頁。
  8. ^ Lexikon des Mittealters. Bd. IX. München: LexMA Verlag (ISBN 3-89659-892-9). Sp. 259.


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