ロシア・アヴァンギャルド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/02 08:22 UTC 版)
音楽
帝政末期のスクリャービンに続いて、ニコライ・ロスラヴェッツ、アルトゥール・ルリエー、アレクサンドル・モソロフ、セルゲイ・プロトポポフ、イワン・ヴィシネグラツキーなどが1920年代を通じて革新的な音楽語法を展開した。1923年にはロスラヴェッツにより現代音楽協会が設立された。この時期はドミートリイ・ショスタコーヴィチでさえ、実験的な作風を試みている[6]。「スターリン文化革命」とともにロシア・アヴァンギャルドの音楽部門は終息を余儀なくされる。
映画
演劇
- フセヴォロド・メイエルホリド(1874年 - 1940年)
- プロレトクリトの劇団として1921年、モスクワのエルミタージュ公園に最初の劇団が結成された。[7]またこれにはセルゲイ・エイゼンシュテインも関わった。
デザイン・美術
ロシア・アヴァンギャルドに含まれる芸術理念には、主に次の3つがある。いずれも過去の様式を断ち切り、革命以後の新たな生活様式をデザインしようとした。
主な美術家
- ミハイル・ラリオーノフ
- ナタリア・ゴンチャロワ
- ワシリー・カンディンスキー(→バウハウス)
- リュボーフィ・ポポーワ
- ウラジミール・タトリン
- アレクサンドル・ロトチェンコ(写真でも知られている)
- ワルワーラ・ステパーノワ
- エル・リシツキー
- パーヴェル・フィローノフ
- カジミール・マレーヴィチ
- アレクサンドル・ニコラエヴィチ・ヴォルコフ(1886年生まれ-1957年没)
- ミハイル・クルジン(1888年生まれ-1951年没、Михаил Курзин Mikhail Kurzin[8])
建築
アバンギャルド運動は少々遅れて建築分野にも及び、社会主義革命によって新生するユートピアの都市・建築が夢見られた。有名な建築物には、モスクワのナルコムフィン・アパートなどがある[9]
ウラジーミル・シューホフらの作品の他、ウラジーミル・タトリンの「第三インターナショナル記念塔」(1920年)、ヴェスニン兄弟の「労働宮殿計画」(1923年)、エル・リシツキーの「空中オフィス計画」(1924年)等々、西欧で勃興しつつあったモダニズム建築をよりラジカルに採り入れ、意欲的な計画が続々と現われた。コンスタンチン・メーリニコフの自邸なども、二つの円筒を抱き合わせて垂直に立て、六角形の窓をボツボツ到り貫いた住宅で、レンガ造なのだが、表面が真っ白なモルタルで平滑に仕上げられ、円筒の単純な幾何学的形態が際立つデザインで、彼らは、球や円筒の殻をぽんと地面に置いただけのものが建築たりうると確信し作品を残していく。
なかでも先釦的だったのが、イワン・レオニドフのヴフテマスでの卒業制作「レーニン研究所」設計案で、これなどは球体、細長い角棒、縦横に走るワイヤーの直線という全体が単純幾何学形態の組み合わせだけで構成されている。一応は国事館や研究所、大会諌場、プラネタリウムなどの複合施投案である。ところが、これらの建築はあまりに意欲的に過ぎて、コストや当時の技術水準を度外視したため、大半が建てられず終いとなる。
さらに、束の間、華々しい展開を見せていたこれらの建築は、スターリンが独裁体制の基盤を固めた1930年代には一転、政治的に排除の対象とされる。建築家の場合は、演劇のメイエルホリドのような「銃殺」や詩人のマヤコフスキーのような「自殺」といった結末ではなく、「緩やかに排除」がなされていった。
最も有名な例が、ソビエト・パレスのコンペティションである。第一次五カ年計画の締めくくりとして、大会議場を連邦国家の威信をかけてクレムリンの傍らに建設計画が持ち上がった建築は1930年から数段階にわたって行われ、当時近代建築の革命家ル・コルビュジエもパリから招待される。その渾身の力作は、かすりもせずに落とされてしまい、結局、一等に収まったのは、地元ロシア人建築家ボリス・イオファンの仰々しくモニュメンタルな案で、結婚式の披露宴でよく見かける円筒を階段状に積み上げたデコレーションケーキを派手に巨大化したようなデザインで、アヴァンギャルドの匂いを欠片もなくしてしまっている。コンペという一見民主的な手続きを通して、アヴァンギャルドは、無視という形で軒並み排除されて行き、不遇の後半生を過ごさねばならなかった。
- ^ Hatherley, Owen (2011年11月4日). “The constructivists and the Russian revolution in art and achitecture” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077
- ^ Cubo-Futurism art movement Retrieved 2 May 2023
- ^ Douglas, Charlotte. “The New Russian Art and Italian Futurism”. Art Journal 34 (3): 229–239. doi:10.2307/775994. ISSN 0004-3249. JSTOR 775994.
- ^ A Revolutionary Impulse: The Rise of the Russian Avant-Garde The Museum of Modern Art Retrieved 2 May 2023
- ^ http://www.theartstory.org/artist-malevich-kasimir.htm
- ^ 例として交響曲第2番が挙げられる
- ^ ロシアの演劇ー起源、歴史、ソ連崩壊後の展開、21世紀の新しい演劇の探求. 生活ジャーナル. (2013)
- ^ ヌクス美術館・イゴール・サヴィツキー・コレクション (ヌクス美術館、ヌクス カラカルパクスタン共和国 ウズベキスタン)
- ^ ロシア・アバンギャルド建築 2 May 2023閲覧
- ロシア・アヴァンギャルドのページへのリンク