マノウォー 音楽性

マノウォー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/04 04:02 UTC 版)

音楽性

マノウォーの楽曲は、バンドの中心人物にしてメインソングライターであるジョーイ・ディマイオの思想信条に基づく明確なキャラクター付けが特徴であり、多少の演奏スタイルやモチーフの変化はあるにせよ、1980年のバンド結成から一貫しているのは「偽メタルに死を」 (Death to False Metal)の合言葉に対応した「真のヘヴィメタル」 (True Metal)を表現せんとする王道的なヘヴィメタルであり、手法としてのパワーメタルエピックメタルであり、彼らのファンとの信義則に基づくものである。

特徴

1stアルバム『バトル・ヒムズ』にはロックンロール色の強い楽曲も収録されており、まだバンドの持つ音楽的イメージが十分には固まっていなかったが、2ndアルバム『イントゥ・グローリー・ライド』から筋骨隆々とした闘士のイメージを確立。以降モチーフを中世ヨーロッパの闘士、北欧神話ギリシア神話インディアンなどに求めた勇壮・雄大で高揚感の溢れる作品作りを中心に行う一方、各アルバムには必ずと言っていいほどバラードも収録され、戦士の孤独や倒れていった者達への哀悼などを哀愁漂う楽曲で表現することで、これら楽曲がアルバムに緩急をもたらすとともに、作品としての深みを持たせることに寄与している。これら叙事詩的なスタイルは主にヨーロッパで人気を博す一方、本国アメリカにおいては欧州ほどの支持は得られていないのが実情である。

他にはバンド自身や世界中のファンのことをモチーフにした楽曲、特にライヴにおける観衆との掛け合いを前提とした曲作りが多いのも特徴である。特筆すべきは『ヘル・オン・ウィールズ・ライヴ』に収録されたWarriors of the World (2002年発表の同名アルバムとは異なる)で、この楽曲はライヴで収録された観客の歓声だけで構成されたチャプターであり、ファンを大切にするバンドの姿勢が顕著に現れている。

ライヴ・パフォーマンス

彼らのライヴは大音量で知られ、過去に『ギネス世界記録』に登録されたことがある。ライヴのオープニングは「Ladies and Gentlemen, from the United States of America, all hail Manowar!」のナレーションに続けてのManowarの演奏で始まるのがお約束となっており、この決まったナレーションによる開演、そして照明効果やパイロテクニクスを多用する演出は同郷ニューヨーク出身の世界的ロックバンドであるキッスの強い影響がうかがえる。

演奏中はステージを縦横無尽に動きまわりながら感情豊かに歌い上げるエリック・アダムスと、基本的には無表情だが要所要所で歌舞伎役者が見得を切るようにポーズを決めるジョーイ・ディマイオのアクションに特徴がある。演奏や音響に対して妥協がなく、機材に不調があればライヴ中でも演奏を中断して調整を行うことがある。

他にはアンコールの前にジョーイの演説の時間が設けられており、現地語によるスピーチ、他のバンドのTシャツを着たファンを壇上でマノウォーTシャツに着替えさせる、現地の興行主を舞台に上げての乾杯、缶ビールを滝のように注ぎ飲むといったパフォーマンスが行われる。

ライヴの最後はジョーイがエレクトリックベースの弦を一本ずつ引き千切り、今日のライヴが最高のまま終わったことを儀式的に表現して退場した後、The Crown and the Ring (Lament of the Kings)の音源が流れて終演となるのが通例である。

これらの要素に見られるとおり、彼らのライヴは単なる演奏会というより、音響と視覚効果とを綿密に計算しながらの決め台詞・決めポーズなどのお約束と、その上で若干のアドリブを加えた、一種の演劇のようにそれ自体が作品としてステージ上で展開されるところに特徴がある。

使用機材

  • Guitar:カール・ローガン
自身のオリジナルギターを使用し、Magic Circle Guitarsから彼のシグネイチャーモデルが販売されている。マノウォー加入前の1984年から使用しているV型の変形ギターを含め、全てがマノウォーのチーフテクニシャンであるジョン“ドーク”スティルウェルの手によりカスタマイズされている[9]
  • Bass:ジョーイ・ディマイオ
デビュー当初よりジョン“ドーク”スティルウェルの手により改造が施されたリッケンバッカー・4001を使用しており、現在主に使用しているモデルはフォルム以外は全くの別物と言っていいほどにカスタマイズされている。

  1. ^ a b Monger, James Christopher. “Manowar - Biography & History”. AllMusic. 2019年8月29日閲覧。
  2. ^ a b Marshall, Colin (2013年12月12日). “Orson Wells Recorded Two Songs with the 1980s Heavy-Metal Band Manowar”. Open Culture. 2019年8月29日閲覧。
  3. ^ Blabbermouth (2002年6月4日). “MANOWAR Enter German Album Chart At #2”. BLABBERMOUTH.NET. 2021年5月4日閲覧。
  4. ^ Blabbermouth (2007年3月5日). “MANOWAR: 'Gods Of War' European Chart Positions Revealed”. BLABBERMOUTH.NET. 2021年5月4日閲覧。
  5. ^ 豪州正統派メタルバンドELM STREETが新作をリリース”. HMV&BOOKS online. Lawson Entertainment (2016年6月20日). 2019年8月29日閲覧。
  6. ^ Manowar Recruits Former Hammerfall Drummer Anders Johansson”. Blabbermouth.net (2019年3月27日). 2021年11月11日閲覧。
  7. ^ “Port of Los Angeles fire that threatened warehouse and ship contained”. LA Times. (2014年9月22日). http://www.latimes.com/local/lanow/la-me-ln-port-of-los-angeles-fire-threatens-warehouse-and-boat-20140922-story.html 2014年11月3日閲覧。 
  8. ^ “MANOWAR出演キャンセルのお知らせ”. LOUD PARK 14公式サイト. (2014年10月10日). http://www.loudpark.com/14/news/#1010c 2014年11月3日閲覧。 
  9. ^ 『YOUNG GUITAR』第662号、シンコーミュージック・エンタテイメント、2015年2月、42-43頁。 
  10. ^ a b Chilton, Martin (2020年1月31日). “史上最もラウドなバンド10組:ギネス記録や会場の天井にヒビが入り、地震計に計測されたライブ”. uDiscoverMusic. 2021年11月11日閲覧。
  11. ^ “AC/DCのコンサート、うるさいとの苦情が100件以上”. BARKS. (2009年5月20日). https://www.barks.jp/news/?id=1000049493 2014年6月21日閲覧。 
  12. ^ “キングス・オブ・オール・キングス、マノウォーが再びギネスに挑戦!”. CDJournal.com. (2008年7月11日). http://www.cdjournal.com/main/news/manowar/19809 2014年11月2日閲覧。 






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