ポビドンヨード 禁忌・一般的注意

ポビドンヨード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/26 01:58 UTC 版)

禁忌・一般的注意

添付文書によると、本剤又はヨウ素に対し、過敏症の既往歴のある患者に対しては禁忌である。また、甲状腺機能に異常のある患者には、慎重投与となっている。[血中ヨウ素の調節ができず甲状腺ホルモン関連物質に影響を与えるおそれがある。]

ヨードうがい薬液による頻回のうがいは、以下の理由から推奨されていない。

  • 高い殺菌効果と引き換えに、の粘膜細胞も傷つけてしまい、その結果、かえってインフルエンザを含む風邪を引きやすくなってしまう結果が判明している[6]
    • ただし実験では、45秒かけて通常より念入りにしており、うがい後水うがいをすれば、予防に効果が見込めるという論文もあり、一概にしないほうがマシという認識には問題があると思われる。[要出典]
  • 過剰なヨウ素の摂取によって、ウォルフ-チャイコフ効果、すなわち甲状腺ホルモン合成が抑制されて、甲状腺機能低下を招く[7]

イソジン

1950年代に開発され、ポビドンヨード (PVPI)を有効成分とした殺菌・消毒剤の世界的ブランドで、世界ではベタダインとして各国で使用されている[8]

1961年、明治製菓(2011年からMeiji Seika ファルマ)は、ムンディファーマとの連係で医療用医薬品の外用消毒剤を発売し、1983年には一般用医薬品としてうがい薬を発売、1985年からはキャラクター「カバくん」のイラストをパッケージに用い、販売を続けた[9]

2015年12月9日、ムンディファーマと塩野義製薬は、一般用医薬品のイソジンブランド品(イソジンうがい薬/―うがい薬P/―うがい薬C/―のどフレッシュF/―ウォッシュ/―きず薬/―軟膏)について、Meiji Seikaファルマからムンディファーマに承継し、新たに日本国内における独占的な販売提携契約を締結、2016年3月31日よりシオノギヘルスケアが国内における販売・流通を行うことが発表された[10]

明治はイソジンブランドを外し、中身とデザインそのままの「うがい薬」などの販売をすることとした[9]。(その後、「明治うがい薬」は健栄製薬に販売権が移管されている)

2016年8月10日、ムンディファーマは、Meiji Seika ファルマからイソジンブランドの医療用医薬品の製造販売承認を8月1日に承継し、イソジンガーグル液 7%、―液 10%、―スクラブ液 7.5%、―フィールド液 10%、―パーム液 0.5%、―産婦人科用クリーム5%、―ゲル10%を8月10日から、3月3日から発売しているシュガーパスタ軟膏(後発品)と併せて発売することを発表した[11]

2017年9月1日、ムンディファーマが開発した「イソジン除菌ウェットシートシリーズ」が、シオノギヘルスケアを通じて発売された[12]。弱酸性アルコールを使用し、イソジンブランドでポビドンヨードを含まない初めての製品でもある[12]

2018年8月1日、ムンディファーマとシオノギヘルスケアは、指定医薬部外品のイソジンクリアうがい薬A、Mを発売した[13]。有効成分はセチルピリジニウム塩化物水和物 (CPC)で、ポビドンヨードは含まれない[13]

2018年9月25日、ムンディファーマは、イソジンのど飴「フレッシュレモン」「はちみつ金柑」「ペパーミント」の発売を発表した[14]。2020年現在は前者2点と、「ペパーミント」に代わり「PREMIUMオリジナルハーブ」が販売されている[15]亜鉛ヘスペリジンを含み、ポビドンヨードは含まれない[14]

その他注意事項

  • カタカナで二文字目は濁点(゛)の「」であり、半濁点(゜)のポピドンヨードは、誤記。スペルに含まれる"v"に則り、「ポヴィドン(ヨード)」という表記もニコニコニュース[16]はじめ、個人ブログやTwitterで散見される。
  • ポビドンヨード液は、電気的な絶縁性を持つため、電気メスを使用する際は、対極板との間にポビドンヨード液が入らないよう注意をする必要がある。
  • 稀にではあるが、皮膚に使用した際に、色素沈着を起こすことがある。
  • 眼に使用する際は、希釈液を用いることが推奨されている。
  • 福島第一原子力発電所事故の際、市販品のポビドンヨード(イソジンなど)を服用することにより、安定ヨウ素剤の代用として、放射性ヨウ素による体内被曝を防止できるという虚偽の情報が、デマとしてSNSで拡散されたが、放射線医学総合研究所では、内服薬ではないため、体に有害な物質が含まれている可能性があることや、ヨウ素含有量が少なく、放射線被曝防止の効果がないので、決して溶液を飲まないよう呼びかけた[17]

  1. ^ 日本薬局方第15改正
  2. ^ テイカ製薬『医薬品インタビューフォーム ボンゴール消毒液10%(ポビドンヨード製剤)』2008年2月改訂
  3. ^ 明治公式ホームページ「明治うがい薬の歴史」
  4. ^ Betadineのアメリカ向けサイト(英語、Avrio Health [1]
  5. ^ 外用消毒薬 イソジン液10% ポビドンヨード液 (PDF) 添付文書(2016年8月改訂版)シオノギ製薬 2020年8月5日参照
  6. ^ 風邪予防にうがい薬は逆効果? 医者に聞いた正しい使い方”. 高校生新聞オンライン(スクールパートナーズ) (2018年1月17日). 2020年8月5日閲覧。
  7. ^ 習慣的なイソジン咳嗽は止めましょう”. かがやきニュース(かがやきクリニック川口) (2016年8月22日). 2020年8月4日閲覧。
  8. ^ イソジンとは ムンディファーマ
  9. ^ a b 「イソジン」が、カバくんに別れを告げた理由 明治、看板商品を襲うライセンス解消の衝撃”. 東洋経済 (2015年12月21日). 2020年8月7日閲覧。
  10. ^ 「イソジン(R)」ブランド製品販売提携のお知らせ”. ムンディファーマ (2015年12月9日). 2020年8月7日閲覧。
  11. ^ 「イソジン」ブランド製品(医療用医薬品) 発売のお知らせ”. ムンディファーマ (2016年8月10日). 2020年8月7日閲覧。
  12. ^ a b “【新製品】除菌ウェットシートを新発売‐「イソジン」ブランドで初めて ムンディファーマ”. 薬事日報. (2017年9月6日). https://www.yakuji.co.jp/entry60339.html 2020年8月7日閲覧。 
  13. ^ a b イソジンから、初めて “無色透明タイプ” で “さわやかな風味” のうがい薬 イソジンクリアうがい薬 新発売”. ムンディファーマ (2018年8月1日). 2020年8月7日閲覧。
  14. ^ a b 総合感染対策のイソジンから、のどにやさしい成分を独自に配合した イソジンのど飴 新登場”. ムンディファーマ (2018年9月25日). 2020年8月7日閲覧。
  15. ^ イソジン(R)のど飴 PREMIUM オリジナルハーブ袋(70g) UHA味覚糖
  16. ^ うがい薬買い占めで露呈する、社会の科学低見識 (2020年8月11日 niconico)
  17. ^ ヨウ素を含む消毒剤などを飲んではいけません-インターネット等に流れている根拠のない情報に注意- (PDF) 平成23 年3 月14 日. 独立行政法人 放射線医学総合研究所 .2020年8月6日閲覧.


「ポビドンヨード」の続きの解説一覧




ポビドンヨードと同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ポビドンヨード」の関連用語

ポビドンヨードのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ポビドンヨードのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのポビドンヨード (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS