ハンガリー 国名

ハンガリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/09 08:10 UTC 版)

国名

正式名称はハンガリー語で Magyarország [ˈmɒɟɒrorsaːɡ] ( 音声ファイル)。カタカナの大まかな発音は「マジャロルサーグ」。通称、Magyar [ˈmɒɟɒr] ( 音声ファイル)(マジャル)。

日本語の表記はハンガリーであるが、20世紀中盤まではハンガリアと表記する例も散見された。漢字表記では洪牙利で、と略される。中国語では、ハンガリーのフン族語源説が伝えられて以降、フン族と同族といわれる匈奴から、匈牙利と表記するようになった。

ハンガリー語で「ハンガリー」もしくは「ハンガリー人」を指す名詞「Magyar」は、日本の教科書などにおいて「マジャール」と誤ってカタカナ表記されているものが見られるが、どの母音も伸ばさずに「マジャル」と表記・発音するのが正しいカタカナ表記となる。ハンガリー語では長母音の場合は母音字にエーケゼット[注釈 1]をつける規則があるため、そうでない場合は長母音ではない(「Magyar」であって「Magyár」でないため、長母音として発音しないのが正しい)。

歴史上、ハンガリー王国多民族国家であり、今日のハンガリー人のみで構成されていたわけではなかった。そのため、その他の民族とハンガリー民族を特に区別する際に「マジャル人」という表現が用いられることがある。

「ハンガリー」の語源として一般に認められているのは、俗説にある「フン族」ではなく、7世紀のテュルク系オノグル (Onogur) という語であり、十本の矢(十部族)を意味する。これは初期のハンガリー人がマジャル人7部族とハザール3部族の連合であったことに由来する。「ウンガーン」(: Ungarn)、「ウンガリア」(: Ουγγαρία)に見られるように、もともとは語頭のhがなかった。

2012年1月1日より新たな憲法ハンガリー基本法」が施行され、国名が変更された[4]

  • 1920年 - 1946年 ハンガリー王国(Magyar Királyság [ˈmɒɟɒr ˈkirɑ̈ːjʃɑ̈ːɡ](マジャル・キラーイシャーグ))
  • 1946年 - 1949年 ハンガリー共和国Magyar Köztársaság [ˈmɒɟɒr ˈkøstɑ̈ːrʃɒʃɑ̈ːɡ](マジャル・ケスタールシャシャーグ)
  • 1949年 - 1989年 ハンガリー人民共和国Magyar Népköztársaság [ˈmɒɟɒr ˌne̝ːpkøstɑ̈ːrʃɒʃɑ̈ːɡ] (マジャル・ネープケスタールシャシャーグ))
  • 1989年 - 2011年 ハンガリー共和国(Magyar Köztársaság [ˈmɒɟɒr ˈkøstɑ̈ːrʃɒʃɑ̈ːɡ](マジャル・ケスタールシャシャーグ))
  • 2012年 - ハンガリー(Magyarország [ˈmɒɟɒrorsɑ̈ːɡ](マジャル・オルサーグ))

注釈

  1. ^ ハンガリー語: ékezetアクセント
  2. ^ ナチス・ドイツ主導によるチェコスロバキア共和国(Second Czechoslovak Republic)解体(チェコスロバキア併合)の課程でカルパト・ウクライナは独立しカルパトのシーチウクライナ語版軍が守っていたが、独立直後にハンガリー王国はカルパト・ウクライナへ侵攻し、併合した。
  3. ^ 観光客は推計1067.5 万人、観光の経済効果はおよそ5,1億米ドル。 (2013年)UNWTO World Tourism Barometer”. World Tourism Organization. 2016年9月20日閲覧。
  4. ^ 下戸遺伝子とは、アセトアルデヒド脱水素酵素 (ALDH) の487番目のアミノ酸を決める塩基配列がグアニンからアデニンに変化したもので、モンゴロイド特有の遺伝子であり、コーカソイド(白人)・ネグロイド(黒人)・オーストラロイド(オーストラリア原住民など)には存在しない。よってこの遺伝子を持つということは、黄色人種であるか、黄色人種との混血であることの証明となる原田勝二 (筑波大学社会医学系助教授) (2005年). “北海道・東北・九州・沖縄に酒豪が 中部・近畿に下戸が多いそのわけは…。”. at home. 2016年9月20日閲覧。

出典

  1. ^ a b UNData” (英語). 国連 (2021年10月). 2021年11月5日閲覧。
  2. ^ a b c d e f Report for Selected Countries and Subjects: October 2021”. 2021年11月5日閲覧。
  3. ^ 農林水産省. “ハンガリーの農林水産業概況” (HTML). 2008年8月9日閲覧。
  4. ^ 在ハンガリー日本国大使館案内. “ハンガリーの国名変更” (HTML). 2012年1月15日閲覧。
  5. ^ Kristó Gyula – Barta János – Gergely Jenő: Magyarország története előidőktől 2000-ig (History of Hungary from the prehistory to 2000). Pannonica Kiadó, Budapest. (2002). ISBN 963-9252-56-5 
  6. ^ 「鉄のカーテン」 撤去までの道のり”. AFP (2020年11月7日). 2020年5月12日閲覧。
  7. ^ 先週のハンガリー 2008年7月6日~12日 (北海道大学ハンガリー文化センター)リンク切れ
  8. ^ 外務省 ハンガリー基礎データ
  9. ^ ウクライナ軍事支援を拒否 ロシアに融和的―ハンガリー首相”. 時事通信 (2022年3月26日). 2022年3月27日閲覧。
  10. ^ EUなのに親ロ路線?「ハンガリーのプーチン」のしたたかな外交戦略”. JBpress (2022年4月22日). 2022年5月26日閲覧。
  11. ^ Hungary:A Growing Tolerance for Anti-Semitism”. 名誉毀損防止同盟 (1991年). 2016年9月20日閲覧。
  12. ^ ANALYSIS - Hungary in the Organization of Turkic States: A Bridge between East and West”. www.aa.com.tr (2021年11月18日). 2022年12月22日閲覧。
  13. ^ Search – Global Edition – The New York Times”. International Herald Tribune (2009年3月29日). 2009年9月20日閲覧。
  14. ^ Magyarország közigazgatási helynévkönyve, 2012. január 1.” [Gazetteer of Hungary, 1st January 2012]. Hungarian Central Statistical Office. 2022年2月22日閲覧。
  15. ^ 独立行政法人日本貿易振興機構 (2019年12月25日). “EU 基礎的経済指標” (Excel). 2020年1月22日閲覧。
  16. ^ 世帯調査からの推計に基づく貧困ライン以下で生活する人口の割合。Poverty headcount ratio at national poverty lines (% of population)”. 世界銀行. 2016年9月20日閲覧。
  17. ^ 赤と白と緑”. ハンガリー政府観光局. 2016年9月20日閲覧。
  18. ^ “[https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hungary/data.html ハンガリー(Hungary) 基礎データ]”. 外務省 (2018年6月1日). 2019年3月10日閲覧。
  19. ^ 科学朝日『モンゴロイドの道』朝日選書 (523)、1995年。 より。北方モンゴロイド特有の酒が飲めない下戸遺伝子 日本人: 44%、ハンガリー人: 2%、フィン人: 0%
  20. ^ 木村正人 (2015年9月11日). “難民の子供を蹴ったハンガリーの女性カメラマンが陥った「恐怖」と「嫌悪」のワナ”. オリジナルの2021年8月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210814161428/https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20150911-00049424 
  21. ^ ドナウ挟み国民争奪 ハンガリー、国籍与える新法 スロバキアは二重国籍禁止法案可決 朝日新聞 2010年7月21日朝刊9ページ
  22. ^ ルーマニア』 - コトバンク
  23. ^ ハンガリー語はヨーロッパで最も話者の多い非インド・ヨーロッパ語族の言語である Globally speaking: motives for adopting English vocabulary in other languages – Google Books. Judith Rosenhouse、Rotem Kowner (編). Google Books. p. 82. https://books.google.com/books?id=nlWU3CkTAi4C&lpg=PA82&ots=wiY3TdhJ5F&dq=%22largest%20non-indo%20european%22%20europe%20hungarian&pg=PA82#v=onepage&q=%22largest%20non-indo%20european%22%20europe%20hungarian&f=false 2016年9月20日閲覧。 
  24. ^ Doppelt so viele Ungarndeutsche - Endergebnisse der Volkszählung 2011 in Ungarn veröffentlicht im Funkforum
  25. ^ a b c Fercsik Erzsébet: The Traditional and Modern Forms in the Naming of Hungarian Women., In: Maria Giovanna Arcamone – Donatella Bremer – Davide De Camilli – Bruno Porcelli (eds). Atti del XXII Congresso Internazionale di Scienze Onomastiche Pisa, 28 agosto – 4 settembre 2005. vol. IV. Antroponomastica. Edizioni Ets. Pisa., pp. 131-140.
  26. ^ ハンガリー 安全対策基礎データ”. 外務省. 2021年10月10日閲覧。
  27. ^ チャルカ『ハンガリーのかわいい刺しゅう』産業編集センター、2011年、19頁。 
  28. ^ a b c 田代文雄『東欧を知る事典』平凡社、2001年、692頁。 






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