ニホンノウサギ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/18 05:50 UTC 版)
生態
亜高山帯まで(主に低山地から山地)の草原や森林などに生息する[2]。群れは形成せず単独で生活する。特定の巣は持たないが、ねぐらを中心に半径が約400メートルの範囲で行動する。夜行性[2]で、昼間は藪や木の根元などで休む。天敵としてはオコジョ、イヌワシ、クマタカなどが挙げられる。
北部の地域のニホンノウサギは冬から夏にかけて、南部の地域のニホンノウサギは1年中、繁殖を行う。メスは複数のオスと交尾をし、特定のつがいを作らない[5]。
繁殖形態は胎生。妊娠期間は42 - 47日[2]。1回に1 - 4頭(主に2頭)の幼獣を年に3 - 5回に分けて産む[2]。幼獣は生後1週間ほどで自分で植物を食べ始めることができ、1ヶ月ほどで独立し、8 - 10ヶ月で性成熟し、繁殖に参加できるようになる[5][6]。寿命は4年未満[2]。
人間との関係
簡単な罠で捕獲することができ、食用としてや毛皮が利用された[5]。2016年現在も狩猟対象の鳥獣(獣類20種)の一つである[7]。農作物やスギやヒノキなどの植林の苗木を食害する害獣とみなされることもある。植林が盛んであった時期、例えば1967年の林野庁の統計では全国で6万1千ヘクタールの被害があったが[8]、2014年の統計では71ヘクタールとなっている。
開発による生息地の減少や害獣として駆除されるなどによって生息数は減少している。1959-1963年に食害対策として人為的に移入されたホンドテンの影響によって亜種サドノウサギは生息数が減少したため、新潟県のレッドデータブックでは準絶滅危惧に指定されている[4]。
東京都版レッドデータブック -Cランク
- L. b. brachyurus キュウシュウノウサギ
- 埼玉県版レッドデータブック - 地帯別危惧(RT)
- 山口県版レッドデータブック - 準絶滅危惧
- 鹿児島県版レッドデータブック - 分布特性上重要
- L. b. angustidens トウホクノウサギ
- 山口県版レッドデータブック - 情報不足
- L. b. lyoni サドノウサギ 準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)[9]
脚注
- ^ “Lepus brachyurus (Japanese Hare)”. International Union for Conservation of Nature and Natural Resources.. 2010年12月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月31日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 阿部永監修、阿部永・石井信夫・伊藤徹魯・金子之史・前田喜四雄・三浦慎吾・米田政明 『日本の哺乳類【改訂2版】』 東海大学出版会、2008年、151頁。
- ^ a b c d e f 川道武男、山田文雄 「シリーズ 日本の哺乳類 種名検討編、日本産ウサギ目の分類学的検討」『哺乳類科学』Vol.35、日本哺乳類学会、1996年、197-198頁。
- ^ a b 新潟県環境生活部環境企画課 『レッドデータブックにいがた -新潟県の保護上重要な野生生物-』新潟県、2001年、36頁。
- ^ a b c d 日高敏隆監修、日本動物大百科1 哺乳類I、平凡社、2002年3月22日 初版第3刷、P54-64、ISBN 4582545513
- ^ a b 小宮輝之、日本の哺乳類、学習研究社、2002年、P66-67
- ^ “狩猟制度の概要”. 環境省. 2016年8月24日閲覧。
- ^ 社団法人国土緑化推進委員会『国土緑化20年の歩み』社団法人国土緑化推進委員会、1970年、p53頁。
- ^ “レッドリスト 哺乳類” (PDF). 環境省. 2019年3月31日閲覧。
ニホンノウサギと同じ種類の言葉
- ニホンノウサギのページへのリンク