ニコン産業用・特殊用レンズの一覧 ニコン産業用・特殊用レンズの一覧の概要

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ニコン産業用・特殊用レンズの一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/18 23:29 UTC 版)

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エーロ・ニッコール

エーロ・ニッコールAero-Nikkor )は戦前に生産された航空写真用レンズ。現在一般のカナ表記ではエアロ・ニッコールであるが、日本光学では「エーロ・ニッコール」と称した。50cmF4.8と70cmF5は初めてニッコールブランドが使われたレンズの一つ。

  • エーロ・ニッコール7.5cmF3.5(1937年発売)
  • エーロ・ニッコール10cmF5.6(1939年発売)
  • エーロ・ニッコール18cmF4.5(1933年発売)
  • エーロ・ニッコール20cmF3.5
  • エーロ・ニッコール50cmF4.8(1932年発売) - 3群3枚。東京天文台(現国立天文台)の彗星捜索儀に1951年8月以後搭載された八つ切り写真乾板用アストロカメラ用レンズとして使われた[1][注釈 1]
  • エーロ・ニッコール70cmF5(1932年発売) - 3群3枚。

R・エーロ・ニッコール

  • R・エーロ・ニッコール50cmF5.6 - Rは偵察を意味する「Reconnaissance」の頭文字と言われている[要出典]

アポ・ニッコール

アポ・ニッコールApo-Nikkor )は業務用の写真製版用レンズ[2]。基準倍率は等倍。大きなものは11x14in判やそれ以上の超大判フォーマットをカバーするイメージサークルを持つため、シャッターを取り付け大判カメラで利用されることがある。下記イメージサークルは等倍時のものである。

アポ・ニッコール前期型

テッサー型3群4枚。1940年3月21日設計完了していたニッコール38cmF8を基本として1946年4月に製造に着手した38cmF9が最初の製品。その後従来のd線、g線、c線の3色色消しを写真湿板の有効感光域である380-440nmまで拡げる必要があり、東京大学の小穴純教授の指導を受けてクルツフリントガラスを1枚使用した45cmF9が1953年に完成、さらに10月15日出図した60cmF9以降はクルツフリントガラス2枚を使用するようになった[2]。特殊形状絞りやシートフィルターを差し込むためのウォーターハウス絞り用スロットを備えているものもある。前期型のアポ・ニッコールのほとんどは、絞り環が通常のバレル・レンズと同様の形状をしている。

下記製品のうち焦点距離がcm表記の製品は、製造時期によりmm表記のものが存在する。

  • アポ・ニッコール12cmF9(1961年5月6日出図)
  • アポ・ニッコール15cmF9(1960年9月24日出図[2]) - φ53mmP=0.75ねじマウント。アタッチメントはφ47mmP=0.5ねじ込み。ウォーターハウス絞りスロットあり。12枚多角形絞り。
  • アポ・ニッコール18cmF9(1962年6月21日出図) - イメージサークルφ250mm。
  • アポ・ニッコール21cmF9(1959年7月18日出図[2]
  • アポ・ニッコール24cmF9 - イメージサークルφ350mm。
  • アポ・ニッコール30cmF9(1949年11月28日出図[2])- φ53mmP=0.75ねじマウント。アタッチメントはφ47mmP=0.5ねじ込み。ウォーターハウス絞りスロットあり。12枚真円絞り。最小絞りF90。寸法もねじマウントもカール・ツァイス・イエナのアポ・テッサー30cmF9と全く同様である。
  • アポ・ニッコール38cmF9(1946年4月製造着手) - 1940年3月21日に設計完了したニッコール38cmF8を改良したもので、アポ・ニッコールと名のつけられた最初の製品となった[2]
  • アポ・ニッコール-Q.C.45cmF9(1948年3月19日出図[2]) - φ71mmP=1.0ねじマウント。アタッチメントはφ67mmP=0.75ねじ込み。レンズキャップは金属製専用ねじ込み被せ式。ウォーターハウス絞りスロットあり。前側の化粧リングを外すと後側と同じサイズのネジが切られており、容易に逆マウントが可能。最小絞りF90。前期型アポ・ニッコールの中でも初期の製品であるこのレンズは真円絞りで中期以降の多角形絞りとは形状が異なる。
  • アポ・ニッコール450mmF9 - φ71mmP=1.0ねじマウント。アタッチメントはφ67mmP=0.75ねじ込み。
  • アポ・ニッコール60cmF9(1948年4月28日出図[2]
  • アポ・ニッコール75cmF9(1957年4月23日出図[2]
  • アポ・ニッコール90cmF9(1953年10月12日出図[2]
  • アポ・ニッコール120cmF9(1961年5月6日出図[2]
  • アポ・ニッコール180cmF9(1962年6月21日出図[2]

アポ・ニッコール後期型

アポ・ニッコール240mmF9

1961年9月21日以降出図された製品は絞りを挟んで完全対称のダイアリート型4群4枚となっている[2]色収差補正波長域380-750nm。焦点距離はmm表記では中途半端な数字に見えるが、ヤード・ポンド法の北米市場を強く意識したものであった。

全品が特殊形状絞りやシートフィルターを差し込むためのウォーターハウス絞りスロットを備えている。後期型アポ・ニッコールのほとんどの物が、絞り環が大きく張り出した傘状の形状をしており、レンズ取り付け座金を紛失しても、カメラなどに取り付けられるように、絞り環にねじ穴が開けられている。1970年代には写真製版のみならず、大型写真館にも意欲的に販売された、そのためコパル#3などのレンズシャッターに取り付けされたものも市場にあった。販売当初の後期型アポ・ニッコールも前期型と同様に専用木箱に入れられ多数の付属品が同梱されていたが、後に紙箱パッケージとなり、差し込みフィルターなどのアクセサリは含まれず、樹脂製の前後かぶせキャップ、座金および座金取り付けねじのみで販売された。

栃木ニコンへの電話取材で、1984年にアポ・ニッコール全品種の製造が終了したとされている。しかしながら1988年に社名変更した株式会社ニコン名の検査証が付属したレンズが多数存在しており、製品の販売はその後も継続して行われたことがわかっている。

ニコンの社内基準でアポクロマートであるとしてアポを名乗る大判用ニッコールは、ほかに大判用ニッコールAMシリーズがあるが、これらはオルソメター型を基本とした光学系から見て、アポ・ニッコールの後継ではなく、アポ・エル・ニッコールの系譜といえる。

  • アポ・ニッコール180mmF9 - 7インチ。φ53mmP=0.75ねじマウント。イメージサークルφ300mm。アタッチメントはφ44mmP=0.5(前側)φ47mmP=0.5(後側)ねじ込み。
  • アポ・ニッコール240mmF9 - 9.5インチ。φ53mmP=0.75ねじマウント。イメージサークルφ410mm。アタッチメントはφ47mmP=0.5ねじ込み。鏡胴の外形寸法は180mmと同一。
  • アポ・ニッコール305mmF9 - 12インチ。φ72mmP=1.0mmねじマウント。イメージサークルφ520mm。アタッチメントはφ64mmP=0.75(前側)φ67mmP=0.75(後側)ねじ込み。[注釈 2]
  • アポ・ニッコール360mmF9 - 14インチ。φ72mmP=1.0mmねじマウント。イメージサークルφ600mm。アタッチメントはφ67mmP=0.75ねじ込み。
  • アポ・ニッコール420mmF9 - 16.5インチ。φ90mmP=1.0mmねじマウント。イメージサークルφ710mm。アタッチメントはφ86mmP=0.75ねじ込み。
  • アポ・ニッコール455mmF9 - 18インチ。φ90mmP=1.0mmねじマウント。イメージサークルφ770mm。アタッチメントはφ86mmP=0.75ねじ込み。
  • アポ・ニッコール480mmF9 - 19インチ。φ90mmP=1.0mmねじマウント。イメージサークルφ820mm。アタッチメントはφ86mmP=0.75ねじ込み。
  • アポ・ニッコール610mmF11 - 24インチ。φ110mmP=1.0mmねじマウント。イメージサークルφ1030mm。アタッチメントはφ105mmP=0.75ねじ込み。
  • アポ・ニッコール760mmF11 - 30インチ。φ110mmP=1.0mmねじマウント。イメージサークルφ1170mm。アタッチメントはφ105mmP=0.75ねじ込み。
  • アポ・ニッコール890mmF11 - 35インチ。φ162mmP=1.5mmねじマウント。イメージサークルφ1360mm。アタッチメントはφ153mmP=1ねじ込み。
  • アポ・ニッコール1210mmF12.5 - 47.5インチ。φ162mmP=1.5mmねじマウント。イメージサークルφ1750mm。アタッチメントはφ153mmP=1ねじ込み。
  • アポ・ニッコール1780mmF14 - 70インチ。φ213mmP=1.5mmねじマウント。イメージサークルφ2310mm。アタッチメントはφ153mmP=1ねじ込み。

ワイドアングル・アポ・ニッコール

ワイドアングルアポニッコール150mmF8

ワイドアングル・アポ・ニッコールWide-Angle-Apo-Nikkor )は小型製版カメラ向けの広角版のアポ・ニッコール。オルソメター型もしくはプラズマート型4群6枚。

  • W.A.アポ・ニッコール150mmF8 - φ53mmP=0.75ねじマウント。アタッチメントはφ47mmP=0.5ねじ込み。イメージサークルφ350mm。製造時期により単層コートとマルチコートのものがある。製造番号160001~がマルチコートであるとみられる。
  • W.A.アポ・ニッコール210mmF8 - φ72mmP=1.0mmねじマウント。アタッチメントはφ67mmP=0.75ねじ込み。イメージサークルφ460mm。
  • W.A.アポ・ニッコール300mmF9 - φ90mmP=1.0mmねじマウント。アタッチメントはφ86mmP=0.75ねじ込み。イメージサークルφ610mm。
  • W.A.アポ・ニッコール360mmF9 - φ90mmP=1.0mmねじマウント。アタッチメントはφ86mmP=0.75ねじ込み。イメージサークルφ730mm。

アストロ・ニッコール

アストロ・ニッコールAstro-Nikkor )は天文カメラ用レンズ。テッサー型3群4枚。

  • アストロ・ニッコール200mmF4 - ニコン50mmアストロカメラに固定装着されている[3]

  1. ^ 『天体望遠鏡のすべて'81年版』の記載は「口径11cm焦点距離50cm」。
  2. ^ 製品カタログには前側アタッチメントがφ64mmであると記載があるが、前後ともφ67mmの現物が存在している。
  3. ^ 記載してある倍率数値は投影用レンズとしてのものであるから、撮影用レンズとして使用する場合は逆数で読み替えることになる。例えば基準倍率8倍の場合、撮影用レンズとしての基準倍率は1/8倍となる。
  4. ^ ただし『ニコンの世界第6版』の製品名は「プロニッコール」。
  5. ^ 撮影倍率1倍時、実効F値は無限遠時の2倍となる。
  6. ^ 現存し確認できているものとしてはNo.135443・No.135448が「β」で、No.135495では「M」刻印である。なお、製造番号の先頭4桁「1354」は捨て番である。
  1. ^ 『天体望遠鏡のすべて'81年版』p.74。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 『ニコン党入門p.254。
  3. ^ 『ニコン50mmアストロカメラカタログ』。
  4. ^ a b c d 『ニコン党入門p.253。
  5. ^ 『ニコンの世界第6版』p.257。
  6. ^ a b c d e f g 『ニコンの世界第6版』p.258。
  7. ^ a b c d 『ニコンの世界第6版』p.259。
  8. ^ 第九夜NIKKOR13mmF5.6ニッコール千夜一夜物語
  9. ^ Nikon|知られざるニコンの歴史|Ultra Micro-NIKKOR





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