トヨタ・ランドクルーザー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/09 09:24 UTC 版)
前史
太平洋戦争中に陸軍の指示によってトヨタが少数を生産した四式小型貨物車こと「AK10型」四輪駆動車は[7] [8]、フィリピンで鹵獲された通称「バンタム・ジープ」をコピーして設計された。その際軍部から、敵方との識別のため「外観はジープに似せないこと」とする旨の指示があった。機能がそのまま外観に表れるジープを模倣する上でそれは容易なことではなかったが、生産型は資材の窮乏も伴い、木材なども用いた簡易な外装に一つ目ランプという、いわゆる「戦時型」となり、結果的にまったく別物の外観となった。
AK10型では、1939年(昭和14年)以降に試作されていた中型乗用車のトヨタ・AE型乗用車[9]に搭載されていた初代C型エンジン(水冷直列4気筒 2,585 cc)と3速手動変速機、2速副変速機、トランスファーが組み合わされており、機構的にBJ型以降のランドクルーザーとは直接のつながりはない。しかし、AK10型の試作により設計主任の森本真佐男技師をはじめ、トヨタの技術者が得られた経験値は大きく、AK10型の残存部品はBJ型の開発の際にも大いに役立ったとされている[10]。
また、トヨタは戦時型のKC型トラック[11][注 5]の開発と並行して、これのドライブトレインを四輪駆動(総輪駆動)化したKCY型四輪駆動トラック[12]を設計し、1943年(昭和18年)6月に試作車を完成させた。しかしKCY型は量産されず、このシャシは水陸両用軍用トラックのスキ型4輪駆動水陸両用車[注 6]として日の目を見た。これらはAK10型とは異なり、大排気量の初代B型エンジンを搭載したトラックが母体となっており、後のBJ型にも通ずるシャシ構成であり、トヨタ自身もKCY型やスキ車の設計がBJ型やランドクルーザーの直接の基礎となったと記述している[10]。
注釈
- ^ トヨタ自身もWeb広告に「ランクルなら辿り着ける世界がある。(2014 - 15年)」、「ランクル史上最高傑作(プラド、2016年)」というキャッチコピーを使用しており、半ば公式略称の様相を呈している。
- ^ 1955年(昭和30年)1月登場・命名の「クラウン」の68年11か月、1957年(昭和32年)4月登場・命名の「日産・スカイライン(←プリンス・スカイライン)」の65年7か月よりも古い。
- ^ 主に業務用途という表現は、ピックアップトラックを有すること、及び、バンタイプのバックドアに上下開きが存在しないことをその理由とする。また、70ヘビー系、70ライト系という表現は、70プラドが発表された1990年発行のトヨタ新型車解説書の表記に基づく。
- ^ 消防ポンプ車の架装ベースとなる、ロングホイールベースのキャブシャーシにはガソリンエンジン車(3F型エンジン搭載のFJ75)が設定されていた時期がある。
- ^ 準戦時型として1942年(昭和17年)から生産されていたKB型やLB型トラックの資材をさらに切り詰めた設計で、車体には木材が多用され、前照灯も途中から一つに減らされた。
- ^ 同年11月から1944年(昭和19年)8月までに198台を生産。
- ^ 水冷 直列6気筒 OHV ガソリンエンジン。排気量 3,386 cc 最高出力 85 hp/3,200 rpm 最大トルク 22.0 kgm/1,600 rpm。
- ^ 水冷 直列6気筒 OHV ガソリンエンジン 3,878 cc 105 PS/3,200 rpm・27.0 kgm/2,000 rpm(初期)、125 PS/3,600 rpm・29.0 kgm/2,000 rpm(後期)
- ^ ただし、日本国内向けにおいては、2002年(平成14年)以降、排出ガス規制の強化に伴ってガソリンエンジン車が販売の主軸となり、70系は国内販売を一旦終了、200系の日本国内向け、期間限定で国内販売が復活した70系にもディーゼルエンジンは設定されていない。
- ^ この変更は日本国内向けのBJ60型も同様で、型式がK-BJ60V-Kから、4速車がN-BJ61V-K、5速車(GX)がN-BJ61V-Mとなった。
- ^ 1967年から1980年まで生産された二代目FJ45と同じ、ホイールベース2,950 mmのモデル。
- ^ 乗用車として販売された仕向地では最初から上下開きの設定があり、北米は上下開きだけで観音開きの設定は無かった。
- ^ 日本国外向けには、ライトブルーメタリックの設定があった。
- ^ 車両総重量3.5トン以下の小型貨物自動車及び乗用自動車等に対し「追突時突入防止装置」の装着が必要。
- ^ シフト操作時における急発進や急加速を抑制して衝突時の被害軽減をサポートする機能(トランスファーギア位置がL4以外で且つ、TRCがONの時に作動)
- ^ 「AX」は200系で初設定された乗用最上級グレードで、70ヘビー系貨物登録時代のグレードは、「STD」・「LX」・「ZX」の3種。
- ^ ただし、L型エンジンはこの時点でハイエース バン・トラック、タウンエース バン・トラック、ダイナ/トヨエースなどトヨタの商用車に幅広く使われている。トヨタのワンボックスバンやトラックは建設関連の業者に多用されたため、特に4WDモデルはSUVほどではないものの、充分な頑丈さとある程度の不整地走破能力が求められた。
- ^ 78はヘビー系ロング、79はヘビー系スーパーロングなど、ホイールベースの異なる車型との型式重複を起こしている。
- ^ A343Fは、乗用車的な使われ方をし、走行距離に比して発進・停止頻度の少ない北米の交通事情にマッチしたもので、トヨタ・タンドラ/セコイアとも共通で、他の米国製フルサイズライトトラックやSUVのATの仕様も大同小異であり、耐久性に遜色はない。これに対してA442Fは、長距離のオフロード走行や業務用途、架装による車両総重量の増加をも視野に入れた設計である。
- ^ このため、60系のパーツリストでは生産終期が「90-01」となっている。
- ^ オーストラリアなど、独立懸架化を不安視するユーザー層を無視できない一部の市場では、エンジンや足回りを80系のままとした「105型」が併売された。
- ^ 日本国内でも200系へのディーゼルエンジンの導入を熱望する声は多いものの、平成22年排出ガス規制への対策コストの関係から見送られている。
- ^ 公式サイト上にも発売日以降に注文した場合の納期が1年以上となる見込みであることが記載されている[44]。
- ^ イグニッションがOFFの状態でクルマから降車するときは作動しない。
- ^ なお、他の「GR SPORT」グレードの車種とは異なり、リア以外は「GR SPORT」エンブレムではなく「GR」エンブレムが装着されている。
- ^ JBLプレミアムサウンドシステム(14スピーカー/JBL専用12chアンプ)も同時に装備される。
出典
- ^ マリオ高野 (2018年1月26日). “常に盗難ランキング上位! トヨタ・ランドクルーザーが盗まれやすい理由とは”. WEB CARTOP. 交通タイムス社. 2020年9月6日閲覧。
- ^ 世界中の裏組織からも羨望の眼差し?ランドクルーザーが盗まれやすい理由livedoor News 2018年1月24日
- ^ a b "TOYOTA、ランドクルーザー"70"シリーズ誕生30周年を記念し、期間限定発売 -同時にランドクルーザー、ランドクルーザープラドに特別仕様車を設定-" (Press release). トヨタ自動車株式会社. 25 August 2014. 2023年12月1日閲覧。
- ^ a b 『ランドクルーザー"70"を発売 -伝統を継承しつつ時代に合わせ進化-』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2023年11月29日 。2023年11月30日閲覧。
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第7号3ページより。
- ^ 『トヨタ自動車、ランドクルーザーシリーズのグローバル累計販売台数が1,000万台を突破』(プレスリリース)トヨタ自動車、2019年9月20日 。
- ^ AK10 画像1
- ^ AK10 画像2
- ^ “AE型中型乗用車「新日本号」の試作”. トヨタ自動車75年史 > 文章で読む75年の歩み > 第1部 > 第2章 > 第5節 > 第8項 各種自動車の試作. トヨタ自動車. 2021年6月20日閲覧。
- ^ a b 文章で読む75年の歩み 第1部 第2章 第5節 戦時下の研究と生産 第8項 各種自動車の試作 - トヨタ自動車75年史。
- ^ “KC型トラック”. トヨタ自動車. 2023年12月21日閲覧。
- ^ KCY型トラック 画像
- ^ “SA型乗用車、SB型トラック”. トヨタ75年史 第1部 > 第2章 > 第8節 > 第1項 S型エンジン搭載の小型車開発. トヨタ自動車. 2021年6月10日閲覧。
- ^ “トヨペット トラック SB型(カタログあり)”. トヨタ自動車75年史 車両系統図. トヨタ自動車. 2021年6月10日閲覧。
- ^ “トヨタトラック BM型(カタログあり)”. トヨタ自動車75年史 車両系統図. トヨタ自動車. 2021年6月10日閲覧。
- ^ “トヨタ バス BL型”. トヨタ自動車75年史 車両系統図. トヨタ自動車. 2021年6月10日閲覧。
- ^ a b “第8項 B型エンジン、GB型トラックの開発”. トヨタ75年史 第1部 > 第2章 > 第8節 > 第1項 S型エンジン搭載の小型車開発. トヨタ自動車. 2021年6月10日閲覧。
- ^ 取材・文 寺田昌弘/写真 寺田昌弘・宮城トヨタ (2017年11月8日). “57年前に地球を縦断したランドクルーザーFJ28VA 長い眠りから覚め再び動き出すまでの軌跡”. GAZOO. 2021年5月31日閲覧。
- ^ 小林和久 (2017年11月15日). “2017日本自動車殿堂「殿堂入り」は宮川秀之氏、高島鎮雄氏、鈴木孝幸氏、木村治夫氏の4名に決定”. clicccar. 2019年7月12日閲覧。
- ^ ランドクルーザー「40系」の補給部品を復刻GAZOO 2021年8月2日
- ^ a b トヨタ自動車. “ランドクルーザーカタログ1984年11月” (PDF). 京都トヨタ自動車. 2023年10月20日閲覧。
- ^ “ランドクルーザー60”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
- ^ “ランドクルーザー60(トヨタ)のカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
- ^ “「ランクル」激似の新型4駆をフランス軍が大量調達のワケ プジョーの後継 伝説また1つ”. 乗りものニュース. 2022年7月6日閲覧。
- ^ a b 『新型ランドクルーザー"250"を世界初公開-あわせてランドクルーザー"70"の日本再導入を発表-』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2023年8月2日 。2023年8月3日閲覧。
- ^ “トヨタ、「ランドクルーザー“70”」を今冬に日本再導入 エンジンは2.8リッター直噴ターボディーゼルに”. Car Watch (2023年8月2日). 2023年8月2日閲覧。
- ^ 『90年代国産車のすべて』三栄書房 46頁参照。
- ^ “ランドクルーザーシグナス(トヨタ)のカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
- ^ “ランドクルーザー100”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
- ^ 『TOYOTA、ランドクルーザーをフルモデルチェンジ』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2007年9月18日 。
- ^ 『TOYOTA、ランドクルーザーに「ZX」を新設定-あわせて、動力性能と燃費性能を両立した新型エンジンを搭載-』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2009年4月16日 。
- ^ 『TOYOTA、ランドクルーザー生誕60周年記念パッケージを新設定-あわせて、5人乗りの新グレード「GX」も設定-』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2010年7月13日 。
- ^ 『TOYOTA、ランドクルーザーをマイナーチェンジ-「マルチテレインセレクト」などの先進技術を導入しオフロードの走行性能を進化-』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2011年12月19日 。
- ^ 『TOYOTA、ランドクルーザーを一部改良』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2013年1月8日 。
- ^ 『TOYOTA、ランドクルーザー“70”シリーズ誕生30周年を記念し、期間限定発売-同時にランドクルーザー、ランドクルーザープラドに特別仕様車を設定-』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2014年8月25日 。
- ^ 『TOYOTA、ランドクルーザーをマイナーチェンジ-歩行者も検知する衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を初採用-』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2015年8月17日 。
- ^ 『TOYOTA、トヨタ店創立70周年記念の特別仕様車を発売-クラウン、ランドクルーザー、ランドクルーザープラドに設定-』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2016年8月29日 。
- ^ 『TOYOTA、ランドクルーザーを一部改良』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2017年7月20日 。
- ^ 「トヨタランドクルーザー カタログ」、2018年4月発行。TQ011500-1808
- ^ 椿山和雄 (2021年6月1日). “トヨタ、新型「ランドクルーザー」を世界初公開へ UAE現地時間6月9日にオンライン発表”. Car Watch. 2021年6月10日閲覧。
- ^ a b “新型ランドクルーザーを世界初公開”. トヨタ自動車 (2021年6月10日). 2021年6月10日閲覧。
- ^ “トヨタ新型「ランドクルーザー」世界初公開! 14年ぶり全面刷新で300系へ 2つの顏&新エンジン搭載”. くるまのニュース (2021年6月10日). 2021年6月10日閲覧。
- ^ 椿山和雄 (2021年6月10日). “トヨタ、新型「ランドクルーザー(300シリーズ)」世界初公開 2021年夏以降に各地で発売”. Car Watch. 2021年6月10日閲覧。
- ^ <新型ランドクルーザー>納期目途に関するご案内
- ^ “ランクルがついに注文停止!「納車前に仕様変更」を回避するため”. ドライバーWeb (2022年7月1日). 2022年7月1日閲覧。
- ^ “トヨタ、新型「ランドクルーザー」とレクサス「LX」の注文停止 世界各国から生産能力を大幅に上まわる注文”. Car Watch (2022年7月1日). 2022年7月1日閲覧。
- ^ 椿山和雄 (2021年6月10日). “新型「ランドクルーザー」世界初公開、チーフエンジニアの横尾氏「ランクル80の持つ悪路走破性を超えたい」”. Car Watch. 2021年6月10日閲覧。
- ^ 『新型ランドクルーザーを発売』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2021年8月2日 。
- ^ “Classement du Paris Dakar 1979”. DAKAR D'ANTAN. 2020年9月6日閲覧。
- ^ PHILIPPE GACHE: “MY FATHER WAS SUPPORTED BY MOTUL AND SO AM I”
- ^ “BDF100%で完全走破! 環境を考える人の輪でさらに前進するTLCの取り組み”. TEAM LAND CRUISER TOYOTA AUTO BODY. トヨタ車体株式会社. 2020年9月6日閲覧。
- ^ [https://www.toyota-body.co.jp/dakar/bdf/ 環境に配慮したモータースポーツ活動への取り組み ~BDFでダカールラリー走破を目指す!~]
- ^ Cortinovis, Giovanni (2015年12月28日). “ダカール・ラリーを走った珍車 ベスト10!”. レッドブル. Red Bull GmbH. 2020年9月6日閲覧。
- 1 トヨタ・ランドクルーザーとは
- 2 トヨタ・ランドクルーザーの概要
- 3 概要
- 4 前史
- 5 BJ・FJ型(1951年 - 1955年)
- 6 20系(1955年 - 1960年)
- 7 40系(1960年 - 1984年)
- 8 55、56型(1967年 - 1980年)
- 9 60系(1980年 - 1990年)
- 10 70系(1984年 - 2004年、2014年 - 2015年、2023年 -)
- 11 80系(1989年 - 1997年)
- 12 100系(1998年 - 2007年)
- 13 200系(2007年 - 2021年)
- 14 300系(2021年 - )
- 15 250系(2024年 - 予定)
- 16 備考
- 17 脚注
固有名詞の分類
- トヨタ・ランドクルーザーのページへのリンク