トヨタ・ランドクルーザー
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55、56型(1967年 - 1980年)
乗用車ムードあふれるユニークなボディースタイル、クロスカントリー車という特異な車であるにもかかわらず、乗用車を上回る安全性。 高出力エンジンと理想的な車両重量配分と抜群の高速性能、と当時の解説書にはある。
北米市場を強く意識したモデルでランドクルーザーシリーズとしては初めて、工業デザイナー(社内)によるスタイリングを採用している。
北米でムース(ヘラジカ)とあだ名されることとなったフロントまわりや大きくへこんだスライド式(電動昇降式)のリアウインドウなどそれまでの常識にとらわれない独特のスタイルとなった。
しかし現場経験のない若手デザイナーが担当したことから、パネル割りに不慣れな部分が多く、生産開始後もライン上でハンマーによる修正が必要となり、品質が安定するまでには多くの月日を要する結果となった。
北米の保安基準に適合させるため、インストゥルメントパネルは発泡ウレタンのパッドで覆われ、ステアリングホイール中央にも大型パッドが設けられた(その後40系と共通の小ぶりのものに変更)。
パワートレインとドライブトレインは40系と全く同じで、当時125馬力となっていたF型ガソリンエンジンにコラムシフトの3速M/Tが標準の組み合わせで、オプションでフロアシフトの3速又は4速M/Tが選べた。3速M/Tは1速とリバースがノンシンクロであった。ファイナルレシオ(デフの減速比)は3.700が標準とされた。トランスファーはギア伝達のオフセット式で2速の副変速機を備える。トランスファーコントロールレバーはフロア配置の1本のみで、PTOウインチなどの使用を考慮したニュートラルポジションを持つ2H・4H・N・4Lの4ポジションである。
- 1967年(昭和42年)7月 - FJ45V(初代・4ドア)の後継車として登場。バックドアはスライディングウインドウ(電動昇降式)を持つテールゲート(下開き)とスイングアウトドア(観音開き)の二種類が設定された。
45(初代)で好評だった消防車用シャーシ(国内向け)も55ベースに代わった。 - 1969年(昭和44年) - エンジンの出力が130馬力に向上。
- 1972年(昭和47年)4月 - ステアリングギアをウオーム&ローラーからリサーキュレーテッドボール(ボールナット)に変更。
- 1973年(昭和48年)2月 - バックアップランプを大型化し、輝度も上げられた(安全対策)。
- 1973年(昭和48年)9月 - エンジンを無鉛仕様に変更(環境対策)。
- 1975年(昭和50年)1月 - 排出ガス対策に適合させるため、全モデルが4,230 cc、140馬力の2F型ガソリンエンジンに変更となり、3速M/Tが廃止されてフロアシフトの4速M/Tのみとなる。型式認定の都合上、エンジンの変更で日本国内のみ型式がFJ56Vとなった。また、フロントドアの三角窓が廃止となり、フロントターンシグナルランプの形状が変更され、ターンシグナルランプとクリアランスランプを分離。クーラーがオプションで設定された。
- 1977年(昭和52年)5月 - フロントドアガラスとサッシの前側の角の形状をR付きに変更(安全対策)。
- 1977年(昭和52年)9月 - アウターリアビューミラーが角型かつ可倒式に、リアコンビネーションランプが縦長の大きなものになり、位置も低くされ(安全対策)、当時開発中であった60系に似た形状となった。
- 1979年(昭和54年)4月 - エンジンを改良しロッカーアーム、プッシュロッドを軽量化、ロッカーアームカバーを鋼板プレスからアルミダイキャストに変更。
この改良は次期モデルの60系に2F型を引き続き搭載するにあたり、騒音対策の一つとして行われたもの。エンジン音が乗用車風になったため、旧来からのファンを嘆かせることになった。又、排気ガス再循環装置(EGR)を採用し、昭和54年排出ガス規制に適合。外観ではワイパーアームがシルバーからブラックに変更された。
北米以外の仕向け地についても、トヨタは55型にディーゼルエンジンを最後まで与えなかった。その点にこのモデルのポジショニングが良く表れている。
より実用的なモデルが必要な仕向け地には、1973年からH型ディーゼルエンジン搭載のHJ45[注 11]の各タイプが用意され、それを補っていた。
当初の予定どおり、生産台数のほとんどが北米をはじめとする世界各国へ輸出された。国内では業務用として多くの納入実績を誇ったが、高価であったこと、小型車枠を超えていたこと、ディーゼルエンジンがなかったことがネックであったと言われ、個人向けの販売は振るわなかった。
-
FJ55LG(北米仕様)
日本国内向けFJ55V相当モデル -
FJ55LG(リア)
下開きバックドア -
消防車仕様(56型)
-
消防車仕様(車内)
幻の50「系」
50「系」の開発計画は当初、ショートホイールベースの2ドアハードトップとロングホイールベースの4ドアステーション・ワゴンの二本立てであり、その時点では50「系」であった。2ドアモデルは1/10クレイモデルによるスタイリング検討まで行われており、このモデルが生産されていれば、FJ50型を名乗るはずであった。しかし、北米での販売が好調であったFJ40とのバッティングの可能性、販売価格、荒川車体の生産能力などを考慮した結果、2ドアモデルの計画は中止されることになった。現在50番台の55、56型が50「系」ではなく、「型」と呼ばれる理由はここにある。
ちなみに50「系」(Series J5#)はトヨタ・ド・ブラジル(en:Toyota do Brasil)が生産する、ランドクルーザーのノックダウンから発展した「バンデランテ(Bandeirante、ポルトガル語版、英語版)のFJ251系(1958年 - 1962年)、OJ50系(1962年 - 1994年)、BJ50系(1994年 - 2001年11月)が該当する。
注釈
- ^ トヨタ自身もWeb広告に「ランクルなら辿り着ける世界がある。(2014 - 15年)」、「ランクル史上最高傑作(プラド、2016年)」というキャッチコピーを使用しており、半ば公式略称の様相を呈している。
- ^ 1955年(昭和30年)1月登場・命名の「クラウン」の68年11か月、1957年(昭和32年)4月登場・命名の「日産・スカイライン(←プリンス・スカイライン)」の65年7か月よりも古い。
- ^ 主に業務用途という表現は、ピックアップトラックを有すること、及び、バンタイプのバックドアに上下開きが存在しないことをその理由とする。また、70ヘビー系、70ライト系という表現は、70プラドが発表された1990年発行のトヨタ新型車解説書の表記に基づく。
- ^ 消防ポンプ車の架装ベースとなる、ロングホイールベースのキャブシャーシにはガソリンエンジン車(3F型エンジン搭載のFJ75)が設定されていた時期がある。
- ^ 準戦時型として1942年(昭和17年)から生産されていたKB型やLB型トラックの資材をさらに切り詰めた設計で、車体には木材が多用され、前照灯も途中から一つに減らされた。
- ^ 同年11月から1944年(昭和19年)8月までに198台を生産。
- ^ 水冷 直列6気筒 OHV ガソリンエンジン。排気量 3,386 cc 最高出力 85 hp/3,200 rpm 最大トルク 22.0 kgm/1,600 rpm。
- ^ 水冷 直列6気筒 OHV ガソリンエンジン 3,878 cc 105 PS/3,200 rpm・27.0 kgm/2,000 rpm(初期)、125 PS/3,600 rpm・29.0 kgm/2,000 rpm(後期)
- ^ ただし、日本国内向けにおいては、2002年(平成14年)以降、排出ガス規制の強化に伴ってガソリンエンジン車が販売の主軸となり、70系は国内販売を一旦終了、200系の日本国内向け、期間限定で国内販売が復活した70系にもディーゼルエンジンは設定されていない。
- ^ この変更は日本国内向けのBJ60型も同様で、型式がK-BJ60V-Kから、4速車がN-BJ61V-K、5速車(GX)がN-BJ61V-Mとなった。
- ^ 1967年から1980年まで生産された二代目FJ45と同じ、ホイールベース2,950 mmのモデル。
- ^ 乗用車として販売された仕向地では最初から上下開きの設定があり、北米は上下開きだけで観音開きの設定は無かった。
- ^ 日本国外向けには、ライトブルーメタリックの設定があった。
- ^ 車両総重量3.5トン以下の小型貨物自動車及び乗用自動車等に対し「追突時突入防止装置」の装着が必要。
- ^ シフト操作時における急発進や急加速を抑制して衝突時の被害軽減をサポートする機能(トランスファーギア位置がL4以外で且つ、TRCがONの時に作動)
- ^ 「AX」は200系で初設定された乗用最上級グレードで、70ヘビー系貨物登録時代のグレードは、「STD」・「LX」・「ZX」の3種。
- ^ ただし、L型エンジンはこの時点でハイエース バン・トラック、タウンエース バン・トラック、ダイナ/トヨエースなどトヨタの商用車に幅広く使われている。トヨタのワンボックスバンやトラックは建設関連の業者に多用されたため、特に4WDモデルはSUVほどではないものの、充分な頑丈さとある程度の不整地走破能力が求められた。
- ^ 78はヘビー系ロング、79はヘビー系スーパーロングなど、ホイールベースの異なる車型との型式重複を起こしている。
- ^ A343Fは、乗用車的な使われ方をし、走行距離に比して発進・停止頻度の少ない北米の交通事情にマッチしたもので、トヨタ・タンドラ/セコイアとも共通で、他の米国製フルサイズライトトラックやSUVのATの仕様も大同小異であり、耐久性に遜色はない。これに対してA442Fは、長距離のオフロード走行や業務用途、架装による車両総重量の増加をも視野に入れた設計である。
- ^ このため、60系のパーツリストでは生産終期が「90-01」となっている。
- ^ オーストラリアなど、独立懸架化を不安視するユーザー層を無視できない一部の市場では、エンジンや足回りを80系のままとした「105型」が併売された。
- ^ 日本国内でも200系へのディーゼルエンジンの導入を熱望する声は多いものの、平成22年排出ガス規制への対策コストの関係から見送られている。
- ^ 公式サイト上にも発売日以降に注文した場合の納期が1年以上となる見込みであることが記載されている[44]。
- ^ イグニッションがOFFの状態でクルマから降車するときは作動しない。
- ^ なお、他の「GR SPORT」グレードの車種とは異なり、リア以外は「GR SPORT」エンブレムではなく「GR」エンブレムが装着されている。
- ^ JBLプレミアムサウンドシステム(14スピーカー/JBL専用12chアンプ)も同時に装備される。
出典
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- ^ Cortinovis, Giovanni (2015年12月28日). “ダカール・ラリーを走った珍車 ベスト10!”. レッドブル. Red Bull GmbH. 2020年9月6日閲覧。
- 1 トヨタ・ランドクルーザーとは
- 2 トヨタ・ランドクルーザーの概要
- 3 概要
- 4 前史
- 5 BJ・FJ型(1951年 - 1955年)
- 6 20系(1955年 - 1960年)
- 7 40系(1960年 - 1984年)
- 8 55、56型(1967年 - 1980年)
- 9 60系(1980年 - 1990年)
- 10 70系(1984年 - 2004年、2014年 - 2015年、2023年 -)
- 11 80系(1989年 - 1997年)
- 12 100系(1998年 - 2007年)
- 13 200系(2007年 - 2021年)
- 14 300系(2021年 - )
- 15 250系(2024年 - 予定)
- 16 備考
- 17 脚注
固有名詞の分類
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