デリー級駆逐艦 デリー級駆逐艦の概要

デリー級駆逐艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/28 00:41 UTC 版)

デリー級駆逐艦
艦級概観
艦種 駆逐艦 (ミサイル駆逐艦)
建造期間 1992年 - 1995年
就役期間 1997年 - 就役中
前級 61ME型 (ラージプート級)
次級 15A型 (コルカタ級)
性能諸元
排水量 満載:6,700トン
全長 163.00 m
全幅 17.40 m
吃水 6.5 m
機関 COGAG方式
DT-59ガスタービンエンジン(16,000hp 4基
可変ピッチ・プロペラ 2軸
速力 最大32ノット
航続距離 5,000海里 (18kt巡航時)
乗員 360名(士官40名)
兵装 AK-100 100mm単装砲 1基
AK-630 30mmCIWS 2基
3S90ミサイル単装発射機
(9M38/9M38M2 SAM用)
2基
バラク1短SAM VLS (8セル) 4基
3M24 SSM 4連装発射機KT-184 4基
RBU-6000対潜ロケット砲 2基
533mm5連装魚雷発射管
(SET-65E対潜魚雷または53-65型対水上魚雷)
1基
艦載機 シーキング ヘリコプター 2機
C4I IPN-10戦術情報処理装置
レーダー フレガートMAE 3次元式 1基
バーラト RAWL-02 対空捜索用 1基
ガルプン 対水上捜索用 1基
MR-212/201 ヴァイガーチ-U 航海用 3基
MR-90 管制用 6基
MR-184 管制用 1基
MR-123-02(D-62)またはEL/M-2221 STGR 管制用(D-61、D-60) 2基
ソナー HUMVADあるいはスフェリオン 1基
電子戦
対抗手段
アジャンタ電波探知装置
TQN-2電波妨害装置
PK-2 デコイ発射機 2基
曳航式対魚雷デコイ装置

設計

設計にあたっては、ロシアのセヴェルノイェ設計局が協力しており、基本構成は、ソビエト連邦から輸入して運用していた61ME型(ラージプート級)をもとに船体を延長するとともに、ゴーダーヴァリ級フリゲートの開発で得られた知見を反映したものとなっている[1]。安定化装置として、非収納式のフィンスタビライザーを装備している。抗堪性に配慮して、船体は6つの区画(citadel)から構成され、それぞれ独立した動力・通信システムを備えている。またNBC(核·生物·化学)兵器に対する防御措置も講じられており、海水による洗浄システムを有する。2番艦以降では、電子機器のオーバーヒート防止の為、空調能力が強化された[2]

ウクライナ製のDT-59ガスタービンエンジン4基によるCOGAG方式となっており、減速機なども含めたシステムとしてM36Eと称される。「デリー」の海上公試では、機関出力64,000馬力、前進速力32ノット、後進速力13ノットを記録した。なお、アメリカ海軍協会(USNI)ではCODOG機関を搭載している可能性も示唆している[2]。なお、機関配置を反映して煙突は前後2本に分離されており、前部煙突は左舷、後部煙突は右舷に寄せられている[1]

装備

C4ISR

戦術情報処理装置としては、バラト社製のシカリ(Shikari)を搭載するとされる。これはイタリアのAESN社製IPN-10の派生型であり、同時に12目標を追尾して、その内6目標に対処可能とされる[2]。また本級では、全艦に旗艦設備が備えられている[1]

主センサーとしては、3次元式のフレガートMAEまたはフレガート-M2(NATO名「ハーフ・プレート」)が搭載された。またこれを補完する長距離捜索用の2次元レーダーとして、ゴーダーヴァリ級フリゲートと同様にバーラトRAWL-02も搭載された。艦対艦ミサイルの測的も兼ねて、ガルプン対水上捜索レーダーも搭載されている[1][2]

ソナーとしては、国産のHUMVADあるいはフランス製のTSM-2633「スフェリオン」ライセンス生産機が搭載されていると言われている。また2番艦では、船底装備ソナーをHUMSAに更新するとともにATAS曳航ソナーを追加装備したという説もある[1][2]

電波探知装置として搭載されたアジャンタ(Ajanta)は、エレットロニカ社のINS-3の派生型と言われている[2]

武器システム

防空システムは、当初はロシア海軍の956型艦隊水雷艇(ソヴレメンヌイ級)とほぼ同構成とされており、艦隊防空用として3K90「ウラガーン」艦隊防空ミサイル・システム(後に発展型の「シュチーリ」に更新)、近接防空用としてAK-630 CIWSを搭載していた。ウラガーン・システムの配置もソヴレメンヌイ級とほぼ同様で、艦の前後に3S-90単装発射機を各1基備え、6基のOP-3(「フロント・ドーム」)火器管制レーダーの指揮を受ける。AK-630ガトリング砲は当初、両舷に各2基、合計で4基を搭載し、それぞれ2基のMR-123-02管制用レーダーにより管制されていた。その後、2003年から2006年にかけて、4基のAK-630のうち2基をバラク1個艦防空ミサイルVLSと換装する改修が行われており、これと合わせて、火器管制レーダーも2基をMR-123-02からEL/M-2221 STGRへ換装している[2]

艦対艦ミサイルとしては、当初は超音速の3M80「モスキート」の搭載を検討したものの、これは断念された。大型のブラストデフレクターはその名残であるといわれている。結局、より小型軽量の3M24E艦対艦ミサイルが採用され、KT-184 4連装発射機4基が搭載された。これは、インド海軍にとっては本級が初度装備であり、その後、ブラマプトラ級フリゲートコーラ級コルベットなどにも搭載されている。

対潜兵器としては、RBU-6000対潜迫撃砲 2基を艦橋前に装備している。また前部煙突直後に搭載された533mm口径の5連装魚雷発射管は、対潜用のSET-65Eと対艦用の53-65のいずれも使用できる。

艦載機

ムンバイ艦上のシーキング・ヘリコプター

船体後部のヘリコプター甲板には、着艦拘束装置としてハープーン・グリッド・システムを備える。哨戒ヘリコプターは、シーキングヘリコプターまたはHAL ドゥルーブを2機搭載する。




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