セイヨウツゲ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/23 08:36 UTC 版)
人とのかかわり
1970年代から利用されるようになった比較的新しい造園木。萌芽力があり、刈込みに耐えることから、生垣などに多用される[5][3]。他に街路樹、庭園樹、公園樹、花壇の縁取り、トピアリーとして利用されている[5]。容易に移植できる。
耐乾性・耐火性があり、煙にはやや強い。ツゲと同様に挿木や実生で殖やされる[5]。耐寒性は強い[3]。水捌けのよい土が適している。
園芸品種
- ‘マルギナタ’ Buxus sempervirens cv. Marginata) - 白覆輪葉[5]
- ‘エレガンティシマ’ Buxus sempervirens cv. Elegantissima - 白覆輪葉
- ‘ハンドスウォルセンシス’ Buxus sempervirens 'Handsworthensis' [3][8]
- ‘スフルティコサ’ Buxus sempervirens 'Suffruticosa' [8]
害虫
ハマキムシ(ハマキガの幼虫)、ツゲノメイガ Cydalima perspectalis (メイガ科)の食害を受ける[10]。
材の利用
材は黄色くて緻密で堅い[7]。印材、櫛などに利用される。彫刻、旋盤加工、象嵌細工などの加工がなされる[7]。磨くとよく艶が出るため、かつて珍重された[7]。現在でも、マレットのヘッドや定規などに用いられる[7]。
英語で「箱」を意味する名詞 box は、ラテン語の buxus、更には古代ギリシア語の πυξίς (pyxis; ピュクシス)に由来する[4]。さらにこの語は本種、セイヨウツゲを指す πύξος (pyxos; ピュクソス)から派生したものである[4]。それは、古くから細工物に使われ、本種の材で作られた小箱を「ピュクシス」と呼んだものが、のちに小箱一般を指すようになったのである。古典ラテン語においても、buxus は植物としてのツゲだけでなくツゲ材、そしてさらには笛・駒や櫛などのツゲ製品をも意味する[4][11]。
薬用
かつて薬用にも供された[7]。葉が解熱剤であるキニーネの代用として使われていた[12]。
注釈
- ^ ただし、これらの名で植栽されるものはツゲ Buxus microphylla の栽培個体とされることもある[6]。
出典
- ^ a b Chadburn, H. & Barstow, M. 2018. Buxus sempervirens. The IUCN Red List of Threatened Species 2018: e.T202944A68067753. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2018-1.RLTS.T202944A68067753.en. Downloaded on 01 January 2021.
- ^ a b GRIN 2021, Buxus sempervirens L.
- ^ a b c d e f 英国王立園芸協会 2001, p. 509.
- ^ a b c d e f Webster 1958, p. 217.
- ^ a b c d e f g h 鈴木・横井 1998, p. 66.
- ^ 林 2020, p. 165.
- ^ a b c d e f g “Box (Buxus sempervirens)”. British-Trees.com. 2022年3月4日閲覧。
- ^ a b c d 英国王立園芸協会 2001, p. 152.
- ^ a b 英国王立園芸協会 2001, p. 177.
- ^ 丸山 1992, pp. 56–58.
- ^ 水谷 2009, p. 86.
- ^ Lawrence, E. (1985). The Illustrated Book of Trees & Shrubs. Gallery Books. p. 171. ISBN 0-8317-8820-8
- 1 セイヨウツゲとは
- 2 セイヨウツゲの概要
- 3 人とのかかわり
- 4 脚注
- 5 外部リンク
固有名詞の分類
- セイヨウツゲのページへのリンク