ズワイガニ 漁業

ズワイガニ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/01 04:08 UTC 版)

漁業

漁獲

水深200m程度から2000m程度が主な漁場で主に沖合底びき網[15]、カニカゴ漁[16]で捕獲される[6]

TAC制度(漁獲可能量制度)のため、海域により、漁獲量の上限が定められている。日本海での漁は沖合底びき網漁が主体となっているものの、カニカゴ漁、刺し網、板びき網漁も行われている[17]。資源保護のため、省令により、細かく制限されている。例えば、新潟県以東の海域と富山県以西の海域では異なる。

  • 新潟県以東の海域:雌雄とも漁期は10月1日 - 翌年5月31日、共に甲幅90mm未満のオスと未成体のメスにおける漁獲の禁止。
  • 富山県以西の海域:メスにおける漁期は11月6日 - 翌年1月10日、オスにおける漁期は11月6日 - 翌年3月20日、さらに富山県以西の海域では漁業者の自主協定により、漁獲量の上限、禁漁区の設定、漁期の短縮、初産のメスにおける漁獲の禁止、省令より厳しい甲幅の制限、ミズガニ(最終脱皮前または最終脱皮後1年以内のオス)における漁獲の禁止[18]

漁期以外の季節にカレイなどの底びき網漁で混獲されてしまうものの、日本の漁船での捕獲は禁じられているため、海に再放流している。生存率は30%で実態は死んだカニの投棄に近いという疑問から、京都府農林水産技術センターらが2009年から2010年に行った調査では80%の生存率となる[19]。この状態を解決すべく、混獲されるカニを減らすための技術開発も行われている[20]

資源回復を目指し、1964年頃から福井県や兵庫県などで飼育研究が行われている[21]

統計

平成28年(2016年)漁業・養殖業生産統計 魚種別漁獲量(ズワイガニ[22]) 単位=t
総漁獲量 (底引き網漁) 2016年漁獲量順位 漁獲量
2004 5,959 (4,455) 1 兵庫県 1,016
2005 4,849 (3,636) 2 鳥取県 939
2006 5,996 (4,226) 3 北海道 894
2007 5,970 (4,367) 4 福井県 433
2008 5,308 (3,806) 5 石川県 388
2009 4,717 (3,288) 6 新潟県 197
2010 4,809 (3,352) 7 島根県 110
2011 4,439 (3,122) 8 京都府 76
2012 4,353 (2,976) 9 山形県 42
2013 4,181 (2,734) 10 富山県 34
2014 4,348 (2,745) 11 秋田県 14
2015 4,412
2016 4,153

  1. ^ a b c d 三宅貞祥『原色日本大型甲殻類図鑑 II』保育社 1983年 ISBN 4586300639
  2. ^ a b c d 武田正倫、古田晋平、宮永貴幸、田村昭夫、和田年史「日本海南西部鳥取県沿岸およびその周辺に生息するカニ類」『鳥取県立博物館研究報告 48』29-94, March 30, 2011, ISSN 0287-1688
  3. ^ a b c 水産総合研究センター 『おさかな瓦版 No.2』 2004年12月
  4. ^ a b 武田正倫ほか『新装版 詳細図鑑 さかなの見分け方』講談社 2002年 ISBN 4062112809
  5. ^ 加賀料理の一つ。香箱のように小さい、子を抱くメスという子箱、日本海の香りを秘める、など語原は諸説みられる。泉鏡花の『卵塔場の天女』に近江町市場(石川県金沢市)で売られるコウバコガニが登場し、茹でられた真っ赤なカニが並ぶ美しさを 「珊瑚畑に花を培ふ趣がある」と表現されている。
  6. ^ a b 平成28年度ズワイガニ オホーツク海系群の資源評価 水産庁増殖推進部漁場資源課
  7. ^ 山崎淳、桑原昭彦「大和堆におけるズワイガニの分布と最終脱皮サイズ」『日本水産学会誌』Vol.59 (1993) No.12 P.1977-1983, doi:10.2331/suisan.59.1977
  8. ^ 京都府農林水産技術センター海洋センター. “ズワイガニの生態と漁業 - 成熟と産卵(応用編)”. 2011年5月27日閲覧。
  9. ^ 小金隆之、浜崎活幸、野上欣也「ズワイガニ幼生の生残と発育日数に及ぼす水温の影響」『日本水産学会誌』第71巻第2号、公益社団法人日本水産学会、2005年3月15日、161-164頁、doi:10.2331/suisan.71.161NAID 110003162894 
  10. ^ 今攸、安達辰典「若狭湾沖に生息するズワイガニの産卵数」『日本水産学会誌』第72巻第4号、公益社団法人日本水産学会、2006年7月15日、673-680頁、doi:10.2331/suisan.72.673NAID 110004818347 
  11. ^ オオズワイガニ、浦河・様似沖で大発生 カレイ漁に打撃、巨額損害か”. 北海道新聞 (2023年5月30日). 2023年6月23日閲覧。
  12. ^ 水揚げされる主な魚の紹介 香住ガニ(標準和名:ベニズワイガニ) 但馬漁業協同組合
  13. ^ 本尾洋『日本海の幸 -エビとカニ-』(あしがら印刷出版部、1999年)60-63頁
  14. ^ 食材図鑑
  15. ^ 沖合底びき網漁業とは 水産研究・教育機構 開発調査センター
  16. ^ ベニズワイガニ漁業 鳥取県
  17. ^ 平成27年漁期TAC(漁獲可能量)設定に関する意見交換会 (PDF) 水産庁
  18. ^ ズワイガニ漁業(応用編)京都府
  19. ^ 山崎淳、宮嶋俊明、藤原邦浩、「京都府沖合における底曳網によるズワイガニ水ガニの入網数とリリース直後の生残率」『日本水産学会誌』Vol.77 (2011) No.3 P.372-380, doi:10.2331/suisan.77.372
  20. ^ 宮嶋俊明、岩尾敦志、柳下直己、山崎淳「京都府沖合におけるカレイ漁に使用する駆け廻し式底曳網の選別網によるズワイガニの混獲防除」『日本水産学会誌』第73巻第1号、公益社団法人日本水産学会、2007年1月15日、8-17頁、doi:10.2331/suisan.73.8NAID 110006163730 
  21. ^ ズワイガニ種苗生産研究 兵庫県立農林水産技術総合センター
  22. ^ 平成28年漁業・養殖業生産統計
  23. ^ 広尾克子:高級食材カニ 出世の歩み◇かつては肥料 高度成長期に「かにすき」誕生、産地の努力で変身日本経済新聞』朝刊2021年1月8日(文化面)同日閲覧
  24. ^ a b c d e f g h i j 1「ズワイガニ」ってどんなカニ? - 京都府海洋センター
  25. ^ a b c わが国の水産業 - 日本水産資源保護協会
  26. ^ マツバガニとズワイガニについての説明 - 鮮魚の産直通販:のん気な魚屋
  27. ^ 高級なズワイガニのブランド名と地域を知りたい”. 一般社団法人大日本水産会 魚食普及センター. 2024年1月1日閲覧。
  28. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab 日本海西部におけるズワイガニのブランド名”. 国立研究開発法人水産研究・教育機構. 2024年1月1日閲覧。
  29. ^ a b c 「新潟県産ズワイガニの価格向上を目指して」-肥満度を使った新しい選別-1”. 新潟県. 2024年1月1日閲覧。
  30. ^ ズワイガニ - 鳥取県水産試験場
  31. ^ 石川県漁業協同組合. “香箱ガニ”. 2022年12月30日閲覧。






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