スプートニクの恋人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/11 13:39 UTC 版)
登場する文化・風俗等
ジャック・ケルアック | アメリカの小説家、詩人。最初にミュウに会った頃、すみれは「いつも上着のポケットに『オン・ザ・ロード』か『ロンサム・トラヴェラー』をつっこんで、暇があればページをくっていた」[9]。 |
ラパッロ条約 | 1922年にイタリアのラパッロ(Rapallo)においてドイツとソビエト連邦との間で成立した条約。ミュウは「ラッパロ条約」とすみれに向かって言うが[10]、正確には「ラパッロ」もしくは「ラパロ」である。 |
バナナ・ダイキリ[注 5] | カクテルの種類の一つ。 すみれはバナナ・ダイキリを5杯飲んで酔っぱらい、「わたしには性欲というものがよく理解できないの」と「ぼく」にうちあける[11]。 |
グレゴリー・ペック | アメリカの映画俳優。すみれの父親を「ぼく」は、「非常にハンサムな人で、とくに鼻筋は『白い恐怖』の頃のグレゴリー・ペックを髣髴とさせた」と表現する[11][注 6]。『白い恐怖』はアルフレッド・ヒッチコックが監督した1945年公開のアメリカ映画。 |
パワーブック | Appleがかつて製造・販売していたノートパソコン。すみれが使用するPCとして登場する。 |
「すみれ」 | エリーザベト・シュヴァルツコップ歌、ヴァルター・ギーゼキングピアノ伴奏の「すみれ」を、子供時代のすみれは繰り返し聴く[13]。 |
アストラッド・ジルベルト | ブラジル出身のボサノヴァ歌手。すみれと「ぼく」が入るなじみの喫茶店でジルベルトの歌う "(Take Me to) Aruanda" がかかる[14]。 |
ミッソーニ | イタリアのアパレルメーカー。ミッソーニのデザインしたビニールのスポーツ・バッグが、ミュウの持ち物として登場する[15]。 |
『エヴゲーニイ・オネーギン』 | アレクサンドル・プーシキンの韻文小説。「諸国の歴史の出来事の/うずたかい塵の山など/あさる気はなかったけれど」という言葉が引用されている[16]。 |
ジャン=リュック・ゴダール | フランスの映画監督。すみれの声が「ジャン・リュック・ゴダールの古い白黒映画の台詞みたいに」聞こえた[17]、という箇所がある。 |
「マック・ザ・ナイフ」 | ベルトルト・ブレヒトの戯曲『三文オペラ』の劇中歌。1959年にボビー・ダーリンが歌って全米1位を記録した。 「君のいないぼくの生活は、『マック・ザ・ナイフ』の入っていない『ベスト・オブ・ボビー・ダーリン』みたいなものだ」と「ぼく」はすみれに言う[18]。 |
グルーチョ・マルクス | アメリカの喜劇役者。グルーチョが言ったという台詞「彼女はわたしに激しく恋をしていて、おかげで前後の見境がつかなくなっている。それが彼女がわたしに恋をした理由だ!」を「ぼく」は会話の中で引用する[19]。 |
フランツ・リスト 「ピアノ協奏曲第1番」 |
ローマですみれとミュウはコンサートに行く。そこでマルタ・アルゲリッチピアノ、ジュゼッペ・シノーポリ指揮の同曲を鑑賞する[20]。 |
ジュリアス・カッチェン | 米国のピアニスト。ギリシャのコテージでミュウとすみれは、カッチェンの演奏するブラームスの「バラード」を聴く[21]。 |
『ラ・ボエーム』 | ジャコモ・プッチーニ作曲のオペラ。 |
『007 ロシアより愛をこめて』 | 1963年公開のイギリス映画。「ぼく」はすみれに向かって「そんなことをしていたら、まるで『ロシアより愛をこめて』に出てきたロッテ・レーニャみたいに見えるよ」と諭す[22]。 |
『ワイルドバンチ』 | 1969年公開のアメリカ映画。サム・ペキンパー監督。出演者のアーネスト・ボーグナインがインタビューで答えた言葉をすみれが引用する[23]。 |
注釈
- ^ 登場人物のかえるくんは言う。「理解とは誤解の総体に過ぎないと言う人もいますし、ぼくもそれはそれで大変面白い見解だと思うのですが、残念ながら今のところぼくらには愉快な回り道をしているような時間の余裕はありません」[3]
- ^ すみれが飼い猫に食べられてしまった老女についての新聞記事を読み上げる場面と、ミュウが中学校のときにシスターから聞かされたカソリックの講話をすみれに話す場面は、「人喰い猫」が元になっている。
- ^ 村上は期間限定サイト「村上さんのところ」で次のように述べている。「僕はときどき夜中に聞こえるはずのない音楽を聴くことがあります。『スプートニクの恋人』の中に、ギリシャの島で真夜中にお祭りの音楽が聴こえてきて、それを探しに行く話が出てきますが、これはほんとうにあったことです」[7]
- ^ 村上は歯科医を作品の中で登場させることが比較的多い。「眠り」(1989年)の主人公の夫、『国境の南、太陽の西』(1992年)のイズミの父親など。
- ^ 村上の短編小説「ファミリー・アフェア」の語り手は、デートに誘った女の子がバーでバナナ・ダイキリを飲むことについて皮肉めいた表現をする。なおバナナ・ダイキリが登場する娯楽作品では映画『ゴッドファーザー PART II』(1974年)がよく知られている。フレド(ジョン・カザール)の悲哀をあらわす小道具として登場する。
- ^ 長編『騎士団長殺し』に語り手と友人の次のような会話がある。「記憶喪失はヒッチコックだってつかっている」「『白い恐怖』か。あれはヒッチコックの中じゃ二流の作品だ」[12]
出典
- ^ 「村上春樹『海辺のカフカ』について」、2008年11月23日閲覧。(2006年12月2日時点のアーカイブ)
- ^ 本書、講談社文庫、202頁。
- ^ 『神の子どもたちはみな踊る』新潮社、2000年4月、132頁。
- ^ 『少年カフカ』新潮社、2003年6月、451頁。
- ^ 『スメルジャコフ対織田信長家臣団』朝日新聞社、2001年4月、読者&村上春樹フォーラム299。
- ^ 『クロニック世界全史』(樺山鉱一)|講談社BOOK倶楽部
- ^ 不思議なできごとが…… (2015年1月30日) - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト
- ^ 本書、講談社文庫、8頁。
- ^ 本書、講談社文庫、10頁。
- ^ 本書、講談社文庫、14頁。
- ^ a b 本書、講談社文庫、16頁。
- ^ 『騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編』 新潮社、2017年2月24日、420頁。
- ^ 本書、講談社文庫、29頁。
- ^ 本書、講談社文庫、49頁。
- ^ 本書、講談社文庫、54頁。
- ^ 本書、講談社文庫、89頁。
- ^ 本書、講談社文庫、100頁。
- ^ 本書、講談社文庫、102頁。
- ^ 本書、講談社文庫、104頁。
- ^ 本書、講談社文庫、114頁。
- ^ 本書、講談社文庫、166頁。
- ^ 本書、講談社文庫、203頁。
- ^ 本書、講談社文庫、205頁。
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